「モナリザ」始め、微笑みを描いた有名な絵画は、芸術的価値はあっても、あまりピュアではない。
もちろん、複雑なものが入り混じった形と色合いに価値があるのだろうが、あまり、ぱーっと気分が明るくなるというのではないと思う。
微笑みのイラストとなると、絵画作品よりは素直な微笑みも見られるが、作品の個性を主張したい目的もあって、やはり、何か混じらせてしまうことが多いのだろう。

人間が、元気や能力や、あるいは、勇気を出す秘訣が笑いであることは、言い古されてしまっているが、案外にそれを試さないのは、力が必要な時というのは、追い詰められていたりで、緊張や不安が大きく、あまり笑えないという状況が多いからだろう。
しかし、そこで敢えて笑えば状況は変わる。
私の体験で悪いが、笑うことの威力を強く実感したことがあった。若い頃、ある会社に入社早々の頃の話だ。私は、車を運転して集金に行くよう命じられた。私は、方向音痴で、普段、あまりあちこち広くドライブすることもなかったが、当時は、スマホなんかなかったし、業務用のバンにはナビなんか当然付いていない。従業員十数名の小さな会社なので、まさか「私出来ません」なんて言えない(比較にならない無茶な仕事もいくらでもあった)。
地図をざっくりメモして行ったが、目的の大阪の市街地は入り組んでいて、あっという間に迷ってしまい、もう、そこがどこか分からない。
しかし、集金の時間は指定されており、絶対に時間通りに行かなくてはならず、少々・・・いや、かなりパニックになっていた。
その時、以前に読んだ本のことを思いだした。それには、微笑むと脳から電気信号が発せられ、潜在意識に通じるといったものだった。
それで、無理に微笑んでみると、不思議なほど心が落ち着き、なぜか目的地に、時間ぴったりに着いてしまった。今思うと奇跡である。
だがまあ、潜在意識が味方したのなら、当然かもしれない。
その時、誰かの微笑みを思い出したかどうか覚えていないが、少なくとも、モナリザの薄気味悪い・・・いやいや、趣深いコクのあるデリーシャスな(笑)微笑ではなかった。

初音ミクさんの笑顔には、ほっとするものが多いことに気付く。
昔、やや年配の男性アナウンサーが、モーニング娘。の中の1人で、やや幼い雰囲気のメンバーのことを、「あの子を見るとほっとする」と言っていたのが印象深かった。
要は、素直な笑い方をするという意味なのだろう。
タレントも、上位者になると、普通に笑っているのでは駄目で、マジで鏡を見て、魅力的な微笑みの練習をしているのだろうが、そうやって作られた笑顔は、やはりどこか不純なのである。

初音ミクさんのV4X版の紹介ページの、iXimaさん描くミクさんの笑顔は、本当にほっとする。
初めて見た時、「子供の笑い方だ」と思ったが、それほどピュアな笑い方なのだろう(大人の女性は、あんなに口開けて笑わない)。
クリプトン|初音ミク V4X
このページの下の方に、ミクさんのPNG画像がダウンロード出来るリンク「イメージファイルをダウンロードする≫」がある。
私は、両腕を上げた、やや横向きのミクさんの笑顔が特に好きなのだが(聴いちゃいって?)。

Mitchie Mさんの名曲『FREELY TOMORROW』で、「顔上げて微笑めば 笑顔取り戻す魔法になる」と歌われている通りである。
※同曲はクリエイティブ・コモンズライセンスで公開:ファイル:Freely Tomorrow.ogg
笑うことを忘れなければ、まあ、負けることはない。