先日、パーティーに出席した時、面白いことに気付いた。
受付で、出席者の名簿の紙を渡されたのだが、私は、それを持っていこうとしなくて、呼び止められた。
出席者は、経営者が多く、地元の有力者や議員なども何人か含まれていたと思う。
こんな場所では、名刺交換に励み、人脈を作ろうとする人、あるいは、人脈の結び付きを強くするよう心掛ける人も多いと思うのだが、私はそういったことにさっぱり関心がない。
じゃあ、なんでそんなパーティーに行ったのかというと、行かないよりは行った方が面白いことがあるかもしれないし、日常とは違うことはやった方が良いという理由だった。
今年の初音ミクさんのライブ「マジカルミライ2019」で、ミクさんが1曲目に歌った、私も大好きな歌の『テオ』で、

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クラクラクラ クラクラさせてよ
ユラユラユラ ゆらぎを見せてよ
キラキラキラ きらめいていてよ
~『テオ』(作詞・作曲・編曲:Omoi。唄:初音ミク)より~

という印象的なフレーズがあるが、揺らぐためには、いろんな変わったことをしないといけない。
東浩紀さんは、『弱いつながり』で、「弱いつながり」を持つことを薦め、その中でも、旅をすることを推薦していたように思うが、それも全く賛成である。

パーティーの話に戻るが、私は、その出席者名簿など、さっさとしまおうと思ったが、テーブルに居る人達は、やけにそれを熱心に見ている。
私のテーブルには、特に有力な人達が多く、年齢もそれなりに年配だったが、それでも、出席者に興味があるようだ。
それで、私も名簿は出しっぱなしにしていたが、パーティーが進んだ時に、一番最初に言った「面白いこと」に気付いたのだ。
それは、A4一枚の紙とはいえ、そのままでは面積を取って邪魔になるので、二つ折りにするのだが、私は、書かれている方を内側にしていたが、彼らは皆、外側にして折っていた。つまり、それほど、出席者に興味があるのだろう。

人とのつながりの大切さは、私も非常に強く感じている。
楽しい人生を送っている人というのは、良い人に巡り会い、そんな人達から良い影響を受けたり、つながり続けている人達である。
一方、不遇で辛い人生を送っている人というのは、人との出会いに恵まれなかったのであり、それは、ある程度、本人の責任なのである。
ひきこもりが悪いとは思っていないが、ひきこもりがその点で、極めて不利であることは否めない。
今は、ネットで人と出会う時代であり、さきほど取り上げた東浩紀さんも、「弱いつながり」である、Facebookなどでのつながりも肯定的に書かれていたと思う。
パーティーで出会った人達も、千人以上のFacebookのフレンドがいる人が多かった。
私など、Facebookは、今年の8月に数年振りに書き込み、フレンドは20人もいない。
まあ、プロフィールを変更するたびに、フレンド中に「○○さんが写真を変更しました」なんてこっ恥ずかしいメッセージが回るFacebookには抵抗があるが・・・
とはいえ、それでも、Facebookは、東さんが言われる通り、弱いつながりに過ぎない。いちいち余計なメッセージが回っても、あまり気にするようなことではないのだろう。ただ、Facebook等、SNSにも良い点はあるだろうが、やはり、リアルなつながりも必要なのである。
ところで、東さんは学者、批評家で、東大を大学院まで最短で出て、28歳で学術博士号を取得しているのだが、三島由紀夫賞を受賞したかなりの作家でもある。
それで、音楽家の渋谷慶一郎さんに嵌められたのだろうと勝手に推測しているが、初音ミクさんが歌う『イニシエーション』という歌を作詞していて、それが超高度だし素晴らしい。
出だしが、

腕を伸ばして空しく あの手を掴んだときから
あなたは止まった鼓動を抱えて彷徨う
奇跡の詰まった最後の交信求めて
あなたはわたしの最初のイニシエーション
~『イニシエーション』(作詞:東浩紀、作曲・編曲:渋谷慶一郎。唄:初音ミク)より~

であるが、その通り、虚しくても、腕を伸ばさなければならない。
鼓動が止まっていても、彷徨わねばならない(現実には無理だが、この鼓動は、心とか感情と思って良いだろう)。

世界的セールスマンだった夏目志郎さんが、百科事典セールスマンだった時、顧客とのつながりを継続出来なかったことを後悔したことを本に書かれていたのを思い出す。
夏目さんは、顧客とのつながりは一生であれば良かったと言っていたと思う。
そんな気持ちでセールスをしたので、成功したのだろう。