近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)という江戸時代の歌舞伎・浄瑠璃の作家を知らない人も多いかもしれないが、『曾根崎心中』という浄瑠璃のタイトルを何となく知っている人は少なくないと思う。
浄瑠璃は、三味線で伴奏する人形芝居である。
近松の作品は、ポルノと言ったら言い過ぎかもしれないが、女の情念を描いたようなものが多いと思う・・・と言っても、私も詳しいわけではないが。
その近松の「近松三姦通物の一」とも言われる浄瑠璃『鑓の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)』という作品が、1986年に、郷ひろみさんと岩下志麻さんの共演で映画化されている(映画のタイトルは『鑓の権三』)。
私は昔、その映画の最後の方をDVDか何かで見て、気になったことがあり、書籍で読んだことがあるが、記憶が断片的にしかない。
ところが、そのお話の中に、ちょっと面白い相関図があったことを憶えている。
権三(槍の達人):25歳
権三の許嫁:13歳
権左の許嫁の母:37歳
権三の許嫁の父:49歳
13歳、25歳、37歳、49歳と、全て酉年の12歳違いである。
このうち、13歳の権三の許嫁は、ほとんど登場せず、ただ、彼女にとって12歳年長の権三はおじさんに見えるといったことが書籍に書かれていた。
権三は、許嫁の母と駆け落ちとなるが、武道の達人ではあっても経済力はなく、生活に困窮する中、大刀を売り、鞘の中に竹光(たけみつ。竹の刀)を持っていたが、そこに、駆け落ち相手の夫が追ってきて、果し合いとなる。
映画の方では、権三は尋常に果し合いに応じるが、竹光しか持っていないので、やむなく、脇差を抜いて構える。
だが、本の方では、権三に戦意はなく、さりとて、逃げる気もなく、「形ばかりお相手いたしましょう」と言う。私は、この態度が好きだ。
で、映画で私が気に入ったのは、郷ひろみさん演じる権三が死に際に「せめて竹槍でもあれば、槍の権左の異名を取った槍裁き、見せてやれたものを」と悔しそうに言うところだ。
しかし、本の方では、権三は、
「竹槍でもあれば、槍裁きを見せてあげられましたが、せめて、足さばきを何かの参考にして下さい」
みたいなことを言っていたと思う。
映画の方の「せめて竹槍でもあれば、槍の権左の異名を取った槍裁き、見せてやれたものを」と言うのが、私の心を打った。
素晴らしい能力を持ちながら、理不尽な理由でそれを発揮出来ない悔しさを味あわねばならない人間は多い。
そんな者達の怨念を、この権三の姿に感じ、私は異様な感動を憶えたのだ。
だが、私は最近、本の方の、「足さばきを見て下さい」について考えることが多い。
私は少し前から、毎日、何時間も佐川幸義流四股を踏んでいるが、それにより、「やはり達人の秘密は足さばきにある」と確信するようになった。
それには、上記の他に、2つのことを思い出したことも関係する。
2つとも、個人的には、すごく怪しいと思う人達の話だが、彼らも、このことに関しては本当のことを言っているように思うのだ。
1人は、空手家の大山倍達氏である。
大山氏は著書(書くのはゴーストライターらしいが)で、空手とダンスは似ていて、自分もダンスが得意だと書いていた。
そして、似ている動きの多くは、やはり、足さばきだと思う。
もう1人は、物理学者で合気道家の保江邦夫氏(佐川幸義の直弟子でもある)だ。
保江氏は、著書で、ダンサーが戦えば格闘家より強く、武術でも、踊りながら戦うと強いといったことを書いていた。
この「踊る」も、やはり、重要なことは足さばきに違いない。
いずれも、どの本だったかは憶えていない。
だが、佐川幸義の四股は、こういった重要な足さばきを磨き上げるものに違いないと思う。
別に、武術やダンスだけでなく、足さばきを磨けば、あらゆる能力が向上するとも思えるのである。
引き寄せも、当然、その中に含まれる。
私も、身体の動きが軽く、キレキレになってきた。
佐川幸義流四股と述べたが、おそらく、決まったやり方はないと私は思う。
佐川幸義が四股を踏むところを見た者はいないらしいし、佐川が細かく四股のやり方を教えることもなかったようだ。
佐川のお弟子さん(あるいは孫弟子)が、雑誌や本、あるいは、YouTube動画で、この四股のやり方を説明しているのを、私は出来る範囲で全て見たが、全部異なっていた。
私のやり方は、喜多原歓喜地(きたはらかんきち)氏のものに近いが、実際は、かなり異なる。
3年程研究する中で、たどり着いた今の形が心地良く、本当に暇さえあれば、好きでやっている。
やり方は以下の通りだ。右足を上げることから始める場合である。
(1)足を肩幅に開いて立つ。ただ、好みに応じ、若干広く、あるいは、狭くても構わない。足は外股でも内股でもなく平行にする。
(2)右足を踵から上げる。よって、つま先が残るような感じである。つま先が床からほとんど、あるいは、全く離れないやり方でも良い。私の場合は、つま先は床から1~3センチ離れると思う。
身体は意図的には傾けないが、自然に傾く分には構わない。足と言うより、膝を上げる感じである。
(3)右足をつま先から床にそっと下ろす。それから踵をそっと下ろす。足を下ろした時に意図的に腰を沈めることはしない。
(4)左足で同じことを行う。
(5)(2)に戻る。
(1)では、最初は、膝を伸ばして立つ。
そのままでも良いが、身体が温まってきたら、膝と足首を少し曲げて行っても良い。曲げるほど負荷も大きくなるが、無理に深く曲げてはならない。
また、膝や足首を曲げて行うと、身体を左右に傾けたくなるかもしれないが、なるべく真っすぐなままでやる。
ここからは、好みに合わないならスルーでも良いが、バーチャルシンガーのIAさんの『SEE THE LIGHTS』という動画(MMDというソフトウェアで作ったアニメ)での、IAさんの足さばきがとても良いと思う。
おそらく、人間のダンサーの動きをキャプチャーして作ったのだろうが、つま先を残して踵を上げる動きがとても良くて佐川流四股に似ており、また、一瞬だが、私の解釈の佐川流四股と全く同じになる場面がある(1分3秒あたりだろうか)。
◆YouTube◆ 【IA OFFICIAL】SEE THE LIGHTS feat. IA / ASY (MUSIC VIDEO)
私は昔から、ダンスを含め、人間の軽やかな動きの秘訣はつま先の扱いにあるとずっと思っていたが、最近、総合的にそれが正しいと分かった。
浄瑠璃は、三味線で伴奏する人形芝居である。
近松の作品は、ポルノと言ったら言い過ぎかもしれないが、女の情念を描いたようなものが多いと思う・・・と言っても、私も詳しいわけではないが。
その近松の「近松三姦通物の一」とも言われる浄瑠璃『鑓の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)』という作品が、1986年に、郷ひろみさんと岩下志麻さんの共演で映画化されている(映画のタイトルは『鑓の権三』)。
私は昔、その映画の最後の方をDVDか何かで見て、気になったことがあり、書籍で読んだことがあるが、記憶が断片的にしかない。
ところが、そのお話の中に、ちょっと面白い相関図があったことを憶えている。
権三(槍の達人):25歳
権三の許嫁:13歳
権左の許嫁の母:37歳
権三の許嫁の父:49歳
13歳、25歳、37歳、49歳と、全て酉年の12歳違いである。
このうち、13歳の権三の許嫁は、ほとんど登場せず、ただ、彼女にとって12歳年長の権三はおじさんに見えるといったことが書籍に書かれていた。
権三は、許嫁の母と駆け落ちとなるが、武道の達人ではあっても経済力はなく、生活に困窮する中、大刀を売り、鞘の中に竹光(たけみつ。竹の刀)を持っていたが、そこに、駆け落ち相手の夫が追ってきて、果し合いとなる。
映画の方では、権三は尋常に果し合いに応じるが、竹光しか持っていないので、やむなく、脇差を抜いて構える。
だが、本の方では、権三に戦意はなく、さりとて、逃げる気もなく、「形ばかりお相手いたしましょう」と言う。私は、この態度が好きだ。
で、映画で私が気に入ったのは、郷ひろみさん演じる権三が死に際に「せめて竹槍でもあれば、槍の権左の異名を取った槍裁き、見せてやれたものを」と悔しそうに言うところだ。
しかし、本の方では、権三は、
「竹槍でもあれば、槍裁きを見せてあげられましたが、せめて、足さばきを何かの参考にして下さい」
みたいなことを言っていたと思う。
映画の方の「せめて竹槍でもあれば、槍の権左の異名を取った槍裁き、見せてやれたものを」と言うのが、私の心を打った。
素晴らしい能力を持ちながら、理不尽な理由でそれを発揮出来ない悔しさを味あわねばならない人間は多い。
そんな者達の怨念を、この権三の姿に感じ、私は異様な感動を憶えたのだ。
だが、私は最近、本の方の、「足さばきを見て下さい」について考えることが多い。
私は少し前から、毎日、何時間も佐川幸義流四股を踏んでいるが、それにより、「やはり達人の秘密は足さばきにある」と確信するようになった。
それには、上記の他に、2つのことを思い出したことも関係する。
2つとも、個人的には、すごく怪しいと思う人達の話だが、彼らも、このことに関しては本当のことを言っているように思うのだ。
1人は、空手家の大山倍達氏である。
大山氏は著書(書くのはゴーストライターらしいが)で、空手とダンスは似ていて、自分もダンスが得意だと書いていた。
そして、似ている動きの多くは、やはり、足さばきだと思う。
もう1人は、物理学者で合気道家の保江邦夫氏(佐川幸義の直弟子でもある)だ。
保江氏は、著書で、ダンサーが戦えば格闘家より強く、武術でも、踊りながら戦うと強いといったことを書いていた。
この「踊る」も、やはり、重要なことは足さばきに違いない。
いずれも、どの本だったかは憶えていない。
だが、佐川幸義の四股は、こういった重要な足さばきを磨き上げるものに違いないと思う。
別に、武術やダンスだけでなく、足さばきを磨けば、あらゆる能力が向上するとも思えるのである。
引き寄せも、当然、その中に含まれる。
私も、身体の動きが軽く、キレキレになってきた。
佐川幸義流四股と述べたが、おそらく、決まったやり方はないと私は思う。
佐川幸義が四股を踏むところを見た者はいないらしいし、佐川が細かく四股のやり方を教えることもなかったようだ。
佐川のお弟子さん(あるいは孫弟子)が、雑誌や本、あるいは、YouTube動画で、この四股のやり方を説明しているのを、私は出来る範囲で全て見たが、全部異なっていた。
私のやり方は、喜多原歓喜地(きたはらかんきち)氏のものに近いが、実際は、かなり異なる。
3年程研究する中で、たどり着いた今の形が心地良く、本当に暇さえあれば、好きでやっている。
やり方は以下の通りだ。右足を上げることから始める場合である。
(1)足を肩幅に開いて立つ。ただ、好みに応じ、若干広く、あるいは、狭くても構わない。足は外股でも内股でもなく平行にする。
(2)右足を踵から上げる。よって、つま先が残るような感じである。つま先が床からほとんど、あるいは、全く離れないやり方でも良い。私の場合は、つま先は床から1~3センチ離れると思う。
身体は意図的には傾けないが、自然に傾く分には構わない。足と言うより、膝を上げる感じである。
(3)右足をつま先から床にそっと下ろす。それから踵をそっと下ろす。足を下ろした時に意図的に腰を沈めることはしない。
(4)左足で同じことを行う。
(5)(2)に戻る。
(1)では、最初は、膝を伸ばして立つ。
そのままでも良いが、身体が温まってきたら、膝と足首を少し曲げて行っても良い。曲げるほど負荷も大きくなるが、無理に深く曲げてはならない。
また、膝や足首を曲げて行うと、身体を左右に傾けたくなるかもしれないが、なるべく真っすぐなままでやる。
ここからは、好みに合わないならスルーでも良いが、バーチャルシンガーのIAさんの『SEE THE LIGHTS』という動画(MMDというソフトウェアで作ったアニメ)での、IAさんの足さばきがとても良いと思う。
おそらく、人間のダンサーの動きをキャプチャーして作ったのだろうが、つま先を残して踵を上げる動きがとても良くて佐川流四股に似ており、また、一瞬だが、私の解釈の佐川流四股と全く同じになる場面がある(1分3秒あたりだろうか)。
◆YouTube◆ 【IA OFFICIAL】SEE THE LIGHTS feat. IA / ASY (MUSIC VIDEO)
私は昔から、ダンスを含め、人間の軽やかな動きの秘訣はつま先の扱いにあるとずっと思っていたが、最近、総合的にそれが正しいと分かった。