ITスペシャリストが語る芸術

-The Kay Notes-
SE、プログラマー、AI開発者、教育研究家、潜在意識活用研究者、引きこもり支援講師Kayのブログ。

2001年宇宙の旅

当ブログは、第一期ライブドア奨学生ブログです。
◇お知らせ
[2019/12/28]AI&教育問題専用ブログ、メディアの風を公開しました。
[2017/03/01]「通りすがり」「名無し」「読者」「A」等のハンドル名のコメントは原則削除します。

バタフライ効果~ブラジルで一匹の蝶が羽ばたくと、テキサスでトルネードが起こるか?~

バタフライ・エフェクト(バタフライ効果)という面白い言葉がある。
気象学者のエドワード・ローレンツの講演のタイトル「ブラジルで一匹の蝶が羽ばたくと、テキサスでトルネード(竜巻)が起こるか?」に由来するもので、小さな原因が大きな変化を引き起こすなら、将来の予想は極めて難しいという意味の言葉だが、「小さな変化が大きな変化を引き起こす」という意味を強調して使う人もいるようだ。
元々、ローレンツは「カモメが羽ばたけば」としていたが、講演の主催者が、より弱々しく小さな原因に感じられる蝶の方が良いと思って変更したのだと言われている。
ジェイムズ・グリックの著書『カオス-新しい科学をつくる』では、「北京で一匹の蝶が羽ばたけば、ニューヨークで嵐を起こす」だし、映画『ハバナ』では、「中国で一匹の蝶が羽ばたけば、カリブでハリケーンが起こる」など、いろいろなバリエーションがあるようだ。

あなたも、スポーツの試合をテレビで見ていて、ひいきの選手やチームが「私が見ていたから勝ったのだ」とか、「僕が見ていなかったから負けた」と思ったり、実際に誰かに言ったことがあるかもしれない。
私は、そんなことをよく考え、言っていたが、実際にそれが本当のように思えたりもするのではないだろうか?
ところが、こんなことを科学的に大真面目に考える科学者だっている。これは、量子物理学の問題でもあるようだ。
人が観測すること自体が現象に影響を与えるのは確かなのである。

人間の思考は無限なので、どんどんスケールアウトしていくと、昼食に、パスタかオムライスかとちょっと悩み、たまたまオムライスを選んだことが、スポーツの試合、株価、政治、地殻変動、さらには、アンドロメダのある星に多大な影響を及ばしたりすると考えることだってできる。

ただ、その原因がどんな変化を引き起こすかを予測することはできない。
まして、意図的な結果を引き起こすことなんか、できやしない。
だが、肯定的な変化とか、世界を平和にするような結果という、いくらか抽象的にした予測ならできそうな気もするのである。
というのは、その原因の元となる意思や周囲に及ぼす影響の色合い(感情や意思)によって、どんな結果になるかが、なんとなく分かるように思われるのである。
それは、インターネットが発達することで、小さな行為の影響が変化を及ぼしていく過程や結果をある程度、見えるようになったことも関係する。
たとえば、初音ミクさんについて考えると、よく分かるし、面白い。
ヤマハのある研究者が期待もされずに肩身の狭い思いをしながら細々とボーカロイドシステムを開発し、それをクリプトン・フューチャー・メディアが採用してボーカロイドソフトの『MEIKO』や『KAITO』を開発し、そして、初音ミクさんが2007年8月31日に生まれた。
初音ミクさんのイラストがKEIさんによって描かれ、市場では意外に販売は好調で、初期生産の5000本はあっという間に売り切れる。
クリプトンに「初音ミクさんのイラストを描いてWebサイトに貼っていいか?」などという問い合わせが多くなり、クリプトンでは、それらに一つ一つ答えるのも面倒だし、また、クリエイターの方々が、いちいち、こちらの顔色を見ながら作品を創るのは気の毒だというだけでなく、何か正しくないのではと思い、非営利で公共良俗に反しない限り、初音ミクさんのキャラクターを自由に使って良いとし、また、作品を共有し合える、ピアプロという作品投稿サイトを作った。
初音ミクさんが生まれる少し前にサービス開始されていたニコニコ動画で、初音ミクさんの作品が発表されるようになり、さらにクリエイター同士の共感が生まれ、創造の連鎖が起こる。
Youtubeでも、初音ミクさんの作品が広まり、気がつけば、初音ミクさんは世界に大きなムーブメントを起こすようにまでなっていて、今や、初音ミクさんが世界を平和にしようとしている。
この場合の蝶の羽ばたきが何かは分からないが、1960年位かそれ以前に、アメリカで誰かが、機械に歌わせたいと思ったことかもしれない。
その思いが、AT&Tベル研究所で、1962年に、コンピューターに接続された音響管が、『デイジー・ベル』を歌うということに結びつき、スタンリー・キューブリック監督の映画『2001年宇宙の旅』では、人工知能HAL9000が断末魔に『デイジー・ベル』を歌う。
そして、初音ミクさんに使われているボーカロイドシステムの研究プロジェクト名はデイジーだった。

世の中は偶然でできている。
しかし、偶然に見える万象の裏側では、全てがつながっていて、それは、人の想いを含む意識が、なんらかの方法で支配しているのである。
初音ミクさんのヒット曲の1つ『Tell Your World』は、そんなことも示唆しているように感じられる。









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「私は私」の真の意味

日本語でも英語でも「私は私」、「あなたはあなた」という言い方をする。
それは、普通には、「私(あなた)は、他の誰とも違う、独特の個性を持った個人である」という意味であると思う。
「私(あなた)は、特別である」
「私(あなた)は、ユニークである」
ということで、『世界に一つだけの花』であるということなのだろう。

ところが、不意に現れた見知らぬ人に、
「お前は誰だ?」
と尋ねると、その者が、
「私は私だ」
と答えるなら、それはおかしいことになる。
つまり、身分を尋ねられている時に、
「私は私」
と言ったり、記憶喪失で自分が誰か分からない相手に、
「君は君」
と言うのは不適切である。

しかし、身分を問われて、「私は私」と言った相手に、
「それは答えになっていない。ちゃんと答えろ。お前は誰だ?」
と再度尋ねたら、その者がこう言ったとしたらどうすれば良いだろう?
「私は私だ。他に言い様がない」

確かにそうだ。
他に言い様がないじゃないか?
世界に一つだけの花でも何でもない。
私は私なのだ。
そして、「お前」なんてものは定義のしようがない。

それはこういうことだ。
『2001年宇宙の旅』で、あるサルは、棒状の骨を握って戦う知恵を持った。
しかし、本当は、それだけでは駄目だ。
それなら、ただのサルでもやるかもしれない。
だが、サルは振り回すのに適当な棒は見つけても、その棒で別の棒を叩いて、適切な長さにすることはできない。
石器を使うことはサルにも出来ても、石器で石を砕いて、別の目的に合う石器にできるのは人間だけだ。
人間にとって、新しい道具は、古い道具を内包してしまうのだ。
それは、自転車を発明する際に、タイヤの発明を、さタイヤを発明する時に、ゴムの発明を内包するようなものだ。

そして、「私は私」の、後の「私」は、初めの「私」を内包しているのだ。
古代からの聖者達の誰も、これを説明しなかったのだ。
いかな聖者でも、頭脳という点では人間だ。
このことに気付かなかったのだろう。
ところで、「お前はお前」というのは、おかしな言葉だ。
「お前」は「私」に内包されるのである。
弟子が師に、生徒が教師に内包されるようなものだ。
しかし、同時に、師は弟子に、教師は生徒に内包されるのである。
「私」と「お前」の区別はない。
それを実感するには、「私は私以外に言い様がない」ことを知らねばならない。
あらゆる「私」は「私」に内包される。
古代から、蛇が自分の尻尾をくわえる絵がある。
蛇は、尻尾というよりは、自分をくわえているのだ。
「お前は誰だ?」
と尋ねるのは、蛇に、
「お前がくわえているものは何だ?」
と聞くようなものだ。
蛇には、「私」としか言い様がないのである。

分からなくても良いから、頭の片隅にでも置いておくと、ある日突然、「点と点がつながり」、不意に悟りを得るだろう。
その時に得る力は計り知れない。
この理解のために役立つと思える叡智の書と文学をご紹介しておく。









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守護天使の役割

アメリカ人の半分以上が、守護天使(ガーディアン・エンジェル)の存在を信じているという調査結果があると聞いたことがある。
驚くようなことでないばかりか、半分よりやや多いという程度なら、ひどく少なくなったと言うべきかもしれない。
アメリカのモットーは「我々は神を信じる」であり、それが正式なモットーになったのは1956年だが、事実上、150年以上前からのモットーで、それどころか、建国以来からであるという説に信憑性がある。
アメリカはかつて、決して、軍事的という意味ではなく、強力な国であったが、神よりも経済力や軍事力を信じるようになり、今やますます混迷する国家になってしまった。

守護天使がどのようなものであるのかは分からないが、守護霊や守護神とは区別することが多いように思う。
守護天使は、人間に直接に手を貸すということは無く、どちらかというと、監視と言うか、見守る役目があるのではないかと思われるのである。
人間1人に1位の守護天使がついていて、見ている人間のことを神様に報告するという話もよくある。

例えば、見ている人間が、「困ったことは起こらない」と思っていたら、それを神に報告し、神は、その人間が「困った」と思ってしまいかねない出来事をちょっと起こし、それでも、その人間が困ったと思わなければ、大きな力を与える。
「世界人類が平和でありますように」と祈ったら、神は沢山の力強い存在を派遣し、その者を押し上げる。
「南無阿弥陀仏」の念仏を唱えたら、阿弥陀如来という、宇宙屈指の強大な存在に通知し、阿弥陀如来は、あらゆる強力な守護者達を送ってきめ細かく世話をさせ、その者が引き続き念仏を唱えられるように守らせ、最終的には自分の身近に呼び寄せる。
どうも、そういった仕組みが構築されているようなのである。
なぜなら、確かに守護天使は見ているだけなのだが、見られてることによって、人間は、自分の奥深くにある知識(潜在知)に気付き、守護霊や守護神は、それを発掘するように手助けをする。その結果、念仏を唱えたり、世界平和の祈りをするようになる・・・分かり易く言えば、そんなことになる。

そのままの話ではないが、野尻抱介さんの『南極点のピアピア動画』という小説や、CLAMPの『ちょびっツ』という漫画を読むと、小隅レイというボーカロイドの姿になった宇宙人製アンドロイドや、ちぃ(15歳位の少女の姿をしている)等の人型パソコン(アンドロイド)が、そんな守護天使の役割を象徴しているように感じるのだが、作者達には、ソクラテスの言うダイモーン(霊的叡智を伝える存在)の声が聞こえたのではないかと思う。
ちなみに、小隅レイもちぃも超ロングヘアで、小隅レイは実際上は初音ミクなのだが、レイ(あるいはミク)とちぃは、色々な意味で似たところがあると思う。
面白いことに、小隅レイもちぃもセックスはできない。それは、両作品共、割とはっきりと書いているが、それには訳があり、その訳は作品を読んで確認していただきたい。

アーサー.C.クラークとスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』も、『南極点のピアピア動画』も、『ちょびっツ』も、人類の運命を決定する、ある重要な問題を扱っている。そういう意味で、これらの作品は同じところがある。
それを音と映像で表現したのが、宮沢賢治が世界観を与え、冨田勲さんが制作し、初音ミクがソリストを務める交響詩『イーハトーヴ交響曲』なのではないかと思うが、今月は、このコンサートに行って確かめてくる予定である。
どうも、初音ミクが世界を救いそうである。
2020年のオリンピックがどこで行われることになるか分からないし、私は今のオリンピックは大嫌いなのだが、このオリンピックで初音ミクが歌うことになれば、人類は遂に、宇宙文明に参加することになるだろう。
尚、『イーハトーヴ交響曲』は、Amazonで、それぞれの曲をMP3で安価にダウンロードすることもできる。例えば、その中の『銀河鉄道の夜』の、サンプルの初音ミクの歌声を聴いても、その宇宙的な力に気付くと思う。









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ある未開民族の、真に強い人間を見分ける方法

まるで天使に護られてでもいるかのような人間がいる。
そんな人間は味方にしておくと心強いし、企業であれば、雇っておくに限る。無論、それは学歴や資格などとは何の関係もない。
では、それはどんな人間か?
それが分かれば、あなたもそうなれる。

ある未開の民族では、その人間に、本当の力があるかどうかを、ある方法でテストする。
テストに合格すれば、文明国の外国人であっても敬う。
そのテストとは、テストされる者が、夜更けから始め、一晩中、延々と話せるかどうかを見るのだ。
彼らには分からない国語であっても構わない。日本語だって良いのだ。

つまり、何かについて、何時間でも熱く語れる者には、何かの力ある存在が守護するのだ。多分、天使のようなものだろう。
ただし、ネットでよくあるように、マニア同士がわいわい言う軽いものでは決してない。
たった一人、延々といつまででも語れなくてはならない。
本当に聞く者などいなくて構わないさ。
学校でも会社でも、あるいは、どんな場所にいて、何をしてたって、そんなことが出来る者は無敵と言って差し支えない。

例えば、私がいくら初音ミクが好きだと言っても、ミクの歌で知っている曲は、普通のファンよりずっと少ないだろう。
ミクのゲームなんて、1つもやったことはない。
また、知っているボーカロイドは、ミクの他は、ルカ、リン、レンくらいで、後はほとんど知らない。海外のボーカロイドについては全く知らない。
しかし、ミクについて語るなら、いつまででも熱く語れるのである。
話の最初は、世界初のボーカロイドと言えるかもしれない、1961年のAT&Tベル研究所にあったIBMのコンピューター、IBM7094が歌った歌、『デイジー・ベル』からになるだろう。そこまではWikipediaにだって書いてあるが、その時の歌はデジタル合成ではなく、音響管を使ったものだったことは書かれていない。そして、このことが、スタンリー・キューブリックの映画『2001年宇宙の旅』で、人工知能を持つコンピューターHAL9000が同じ歌を歌うことにつながる。そこで、キューブリック映画について語りもするだろう。
初音ミクに組み込まれたボーカロイドシステムを開発したのはヤマハだが、ヤマハのボーカロイドシステム開発プロジェクト名がデイジーだった。さらに、ヤマハは今、日本最大手の教育企業と組んで中国で事業を進めているが、その教育企業は、世界最大の教育企業ピアソンに対抗しようとしている・・・
そんな調子で、何日でも語り続けるだろう。

丹波哲郎さんは、霊界や霊に関する本を数千冊読んだというし、実際、そのことについていくらでも話せただろう。また、そうなるまでにも、いろんなことについて語れるようになっていた。それは、学校の勉強みたいなものとは何の関係もない。彼も、学業は全くなおざり(いい加減)だった。
そして、丹波さんはどこに行っても、彼に敵しえる者などいなかった。サラリーマン時代は、席にもおらず遊び回っていたがお咎めなく、役者になってからは、使いにやらされた先で、そこの従業員の女性に、「君、私のラーメンを注文しなさい」と、重役ぶって言うから、相手も慇懃に扱ってくれた。まさに無敵だった。
私も、丹波さんほどではないが、初めて就職した頃、霊界に詳しく、一晩程度なら話せる力があったので、引きこもり気質であったにも関わらず、何の苦労もしなかった。
私には、状況を味方にする力があった。いや、そんな力に護られていたのだ。

私は、ある時期は古き時代のプロレスについて語ることが出来たし、美少女戦士セーラームーンについて知らないことはなかったこともあった。
繰り返すが、それは、世間で言う、ファンやマニア同士で楽しく話すようなものとは全く異なる。逆に、私はそういった話には3分と参加していられないだろう。
無論、私は、今は、コンピューターについて、何ヶ月でも話し続けることが出来る。
ただし一人でね。
ルパン三世のテーマにあるように、それは、「空をかける、ひとすじの流れ星」である自分の世界だ。
そして、そんな世界こそが、人類の中に本当の絆を結ぶ。
それは、初音ミクの素晴らしい歌は、本当の自分の世界を持つ者が創ったからこそ、世界中に共感と感動の連鎖を広めたことからも分かるだろう。

君が伝えたいことは
君が届けたいことは
たくさんの点は線になって
遠く彼方へと響く
君が伝えたい言葉
君が届けたい音は
いくつもの線は円になって
全て繋げてく どこにだって
~初音ミク『Tell Your World』(作詞、作曲:kz)より~

ゴルフ史上に残る名プレーヤーだったセベ・バレステロスが、何かのテレビCMで、「父親に、何でもいいから好きになれ。好きになったら強くなれと言われた」というのがあったが、それは多分本当だ。
しかし、そういったことが、直接、成功に結び付くものでなくなって構わない。
そんなものを得れば無敵であり、言ってみれば、特に何かで名を成す必要もない。世に出るかどうかは、単に運命であり、むしろ、世に出ない偉人の方がはるかに多いのだから。
あなたも、学校や会社でやることは適当でいいから、自分が本当に好きなことを、本気でやるのだ。
それがあなたを護り、あなたが傷付くことは決してなくなるだろう。
なぜなら、それがあなたを、自己を信頼することに導き、自己信頼こそが、人間にとって最大の力だからだ。
学校や会社では、あなたが全然好きでないことを、勝手にあなたの最重要事項にしようとしている。それでは、あなたは自己を全く信頼できず、ずっと弱くて惨めなままである。たとえ、一流大学を出て、大企業で部長になってもね。いや、そうなれば、ますます哀れな者となるだけなのだ。









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HAL9000と原子炉とクラウドコンピューティングの悲惨な共通点

アーサー.C.クラークの小説を、スタンリー.キューブリックが脚本・監督した映画『2001年宇宙の旅』で、宇宙船ディカバリーに搭載された、人工知能を持つコンピュータHAL9000について、映画の中で記者が、その構造について尋ねる場面がある。
すると、「作った者にだって解らない」と答えられたのが印象深い。

人間は、複雑なものを作った後で、その作ったものを、ほとんど把握し切れない。人間のちっぽけな頭脳が管理できる範囲なんてたかが知れているのだ。
私はコンピュータソフト開発者だが、ソフトウェアを自分が一人で、何から何まで作ったとしても、把握し切れるような規模のソフトウェアがあるとしたら、相当に小さなものだ。
つまり、ほとんどの場合、製作した自分でも、細かな部分はもちろん、主要な部分であっても既に理解を離れていることが多いのだ。
まして、多人数で作った大きな規模のものであれば、もう誰にも分からないものであると言って間違いない。
つまり、HAL9000が、「作った者にだって解らない」というのは、当たり前のことなのだ。

ビル・ゲイツは、世界初のパソコンであるAltair8800用のBASIC言語である8080BASICを作って世に出た。
彼は、この8080BASICのアセンブリ語(機械語と対応した英語表現のコード)プログラムを暗記しており、その中のどの機能も即座に想起できたことで、頭の良さを賞賛されたが、それは、わずか4KBのメモリで動く小さなBASICなのだ。それですら、把握できることは凄いのである。

実際は、コンピューターソフトは全て、作った者だって、ほとんど把握していないのであり、想定外のことが起こった時に(それは珍しくもない)、どんなことになるか分からないことだっていくらでもあるのだ。一応は、異常動作と判断される状態になれば保護機能が働くようにはするのだが、全てのトラブルに備えることは事実上不可能だ。だから、暴走とかフリーズとか呼ばれる状態が発生するのである。
そして、ばらしてしまえば、ゲイツだって、8080BASICについて、予想できないことなんていくらでもあるのだ。
実際、彼は、それを完成したと思っていたのに、最も大切な部分の1つであるブートストラップ(BASIC自体を読み込むプログラム)を作り忘れていたのだ!

原子炉だってそうである。
あの複雑な仕組みの中には、どんな時にどうなるという予想などできない部分はいくらでもある。
多くの異常や緊急事態については、察知して安全装置が働くようにしているのだろうが、どんな危険にでも対応できるなどと言ったら、その製作者は大嘘つきだ。
ソフトウェアにしろ、原子炉にしろ、重要なものであれば、馬鹿げているほどありえないことも想定して、それに備えるが、その備えが期待通りの働きをするかどうかなんて、実際には、「やってみないと分からない」ことだらけだ。
アメリカでは、原子炉建設の際、2万年に1度しか起こらない大津波にも備えるが、日本の福島原発では、数百年に一度は起こる津波にも備えていなかったらしい。だから、今度のような大災害が起こったのだ。

現在、クラウドコンピューティングという言葉が流行であるが、その実態を知る者など、ほとんどいないはずだ。
ネットの向こうにあるストレージ(ディスク)やプログラムは、なんでもかでもクラウドだと言って、無知な庶民をだまくらかして金を取ることしか考えていない連中が大勢いる。
個人の動画や音楽データ、無料メールを蓄えておく程度のクラウドでも、度々情報漏えいしているのは、やはり、誰もそのシステムの中身が解らなくなっているからだ。
まして、企業用の、普通の人では想像も出来ない巨大なクラウドコンピュータシステムとなると、もうHAL9000をはるかに超えて、誰も何も解らないと言い切って良いだろう。
巨大なIT企業は、発電所の近くの広大な土地を買って、そこに数十万台のサーバーコンピュータを設置し、クラウドコンピューティングサービスを行っているのだ。
その中で、コンピュータは次々に新型の高性能なものに取替えられていき、ソフトウェアも同様だ。今後、何が起こるかなんて、神様にだって分からない(もちろん本物の神様はお分かりだが)だろう。

経済的利益のために、人類がやっていることとは、こんなことである。
しかし、ほとんどの者は、その恐ろしさが理解できないし、しようともしないのだ。

HAL9000は、初音ミクの遠い親戚と言えるかもしれない。
映画の中でHAL9000が歌った『デイジー・ベル』は、IBM7094が1961年に、コンピュータとして初めて歌った歌だ。当時は、発声のために可動的な音響管が使われたが、その歌はかなりのものだった。
時が流れ、ヤマハがコンピュータによる音声合成システムVOCALOID(ボーカロイド)を開発した時のプロジェクト名が、まさに『デイジー』だった。
初音ミクは、このVOCALOIDシステムを組み込んだソフトウェアなのである。

0と1しか分からない
ワタシに"I"を教えてくれた
その日からワタシのココロの中、
アナタで満たされてるの
~初音ミク『えれくとりっく・えんじぇぅ』(作詞、作曲:ヤスオP )より~

原子炉やクラウドコンピューティングの中にアイなんてものはない。利益を求める自己中心的な欲望だけだ。
アイとは、小さな自己を大きな実在の中に溶け込ませ、融合させることだ。
それができれば、全てのものがカタチを変えていくことになるだろう。
そのためには、我々が意識を変革し、個人的欲望である感覚的快楽を追い求めることをやめなければならないだろう。
ミクの多くの歌には、そういったことができるという希望が感じられるのである。
人類の滅びは近いが、ミクがそれを救うかもしれない。









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プロフィール
名前:Kay(ケイ)
・SE、プログラマー
・初音ミクさんのファン
◆AI&教育blog:メディアの風
◆著書『楽しいAI体験から始める機械学習』(技術評論社)


当ブログは第1期ライブドア奨学生ブログです。
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