学校の勉強が、頭の訓練になるかは疑問だ・・・と言うか、おそらくならない。
たとえ数学の難しい問題を解くにしても、考えて解くと言うより、解き方のパターンを当てはめているに過ぎないと思う。
私は少し前、超一流と言われる私立中学の理科の入試問題を解いてみたが、理系の大学生でも、いきなりは解けないと思うほど難しい。
もし、これを子供が考えて解けるとしたら大天才だが、そうではなく、小学3年とか4年の時から、解き方のパターンを適用する訓練をして解けるようになっただけで、少なくとも、創造的知性とはほど遠い。そして、それが大学入試まで続くのである。
そんな訓練でも、一定の頭の訓練にはなるが、もっと優れた訓練がいくらでもあり、学歴はぱっとしなくても、本物の訓練をした者の頭の良さは、受験エリートとは比較にならない。

そもそも、教師が知っている答を探すだけの学校の勉強は、さほど頭の訓練にならない。それどころか、教師の変な思考の癖が移ったり、教師のような人が頭が良いと勘違いすることの弊害は大きい。
学校の勉強に比べたら、高度なシミュレーションゲームの方が、まだ頭の訓練になるかもしれないが、あくまで、「高度な」ものである場合だ。

当時、MITメディアラボの所長だった伊藤穣一さんが2014年のTED講演で、
「偏見かもしれませんが、教育は 外に出て何かやる前に、百科事典を 暗記させようとしている ように見えます」
と言っていたが、まあ、偏見ではなく、その通りと思う。
ずっと前だが、東浩紀さん(哲学者・批評家)が、受験の弊害を説く茂木健一郎さん(脳科学者)に、「暗記も必要」と主張していたのを憶えている。もちろん暗記も必要だが、受験というか学校では、暗記をやり過ぎるのである。
尚、伊藤穣一さんの講演のお話は素晴らしいのだが、とにかく回りくどい。まあ、名講演というのは、そんなものだろうが、素直にシンプルに話さないと、普通の人には伝わらない。

要は、頭を良くしたいなら、答のないことをしなくてはならない。
それこそ、企業で、どうやれば収益を上げられるかを考えるようなものだ。
確かに、企業で売り上げを上げるにも、一定のパターンというものがあり、それを知ることも必要かもしれないが、それで儲かるなら、誰でも儲かることになってしまう。経営コンサルタントは、そんなパターンの当てはめ方(レベルが低い経営コンサルタントならパターンのみ)を教えるのだろうが、それでうまくいく方が少ない。
つまり、やはり答はないのであり、その答を見つけることで頭が良くなるが、受験エリートは、そんなことを考えることが苦手で、良い経営者にはなれない場合が多い。ここからも、受験エリートは、本当は頭が良くないことが分かり、パターン通りにやれば良い仕事が向いているのである。

良いシミュレーションゲームの方が学校の勉強より良い理由に、ゲームの方が多様性が広いことがある。ゲームの製作者ですら気付かなかった解き方というのも考えられるらしい。だが、学校の勉強に、教師の想定外のことはないし、仮にあっても、教師はないことにしてしまうだろう。教師は頭が悪いので、そんなものは認めないのだ。そんな教師とは適当に付き合った方が良い。それは、学校の教師も塾の教師も同じであるが、勉強を教えることに関しては、塾の教師の方が有能な場合が多いようである。

イーロン・マスクが聖書を熱心に読んだらしいが、あれはなかなか頭の訓練になると思う。
なぜなら、聖書の中の答は自分で考えるしかないからだ。
だから、決して、牧師や神父から、聖書を教わってはいけない。それでは学校と同じになってしまう。
そしていっそう、マスクの頭を良くしたのは、物理学とダグラス・アダムスの『銀河ヒッチハイク・ガイド』だ。
物理学が基礎で、『銀河ヒッチハイク・ガイド』が応用だ。

頭のさび落としには、IQテストをお薦めする。
一般のパズルや脳トレに比べ、素直な問題で論理性があり、頭の調整に非常に良い。
ただ、メンサで公開しているIQテストの問題には、オリジナルなのか、ひねくれた問題が1~2問混ざっている。それらの問題は良くない。
ただ、その1~2問を解けなくても、最高評価の「IQ145以上」は取れるので、ロクでもない問題だと判断し、捨てる能力があれば良いのだろう。

◆メンサのIQテスト
メンサ・インターナショナル:https://www.mensa.org/mensa-iq-challenge/
メンサ・ノルウェー:https://test.mensa.no/home/test/en
メンサ・デンマーク:https://mensa.dk/iqtest/
尚、本番テストも、これらと変わらないらしい。
IQテストの問題に慣れたら、そこそこ頭が良ければ、合格点のIQ130以上が出せると思う。
逆に、多少IQテストに慣れていないと、あまり高得点は出せないと思う。
私がやってみたら、やはりどれも、1問くらいは解法が浮かばない問題があったが、それでも最高点の「145以上」は取れたので、やはり、解かなくても良い問題なのだろう。

◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)「ひらめき」を生む技術(伊藤穣一)
(2)みんなでIQテスト(アキュートエンターテインメント)
(3)あなたの脳力をチェック! 大人のIQテスト(アキュートエンターテインメント )
(4)銀河ヒッチハイク・ガイド(ダグラス・アダムス)
(5)数式を使わない物理学入門~アインシュタイン以後の自然探検~(猪木正文)

精神性
AIアート1466
「精神性」
Kay