霊障(れいしょう。悪霊によって起こる病気や災難)というものがあるだろうか?
それを言うならまず、「悪霊というものが存在するか?」という話になるが、私は、何らかの意味ではいると思う。
もちろん、悪霊だけでなく、善霊もいるだろう。
だが、悪霊とか霊障と言っても、昔話などで語られるようなものとは、かなり異なっているかもしれない。

例えば、誰かが急に病気になった時、霊能力者を名乗る人が、それは霊障だと言うかもしれない。
だが、別の人は、「食生活に問題があるかもしれない」とか、「ストレスが大きくなってきたからではないか?」などと言う。
また、ある家で、遠い場所にあった先祖の墓から遺骨を取り出して持って帰ったら、不意に家の主人が重病になると、これはもう、霊に関心がある人なら「霊がたたった」と言うかもしれない。
しかし、冷静に考えれて、「その家の主人も、そろそろ、大きな病気の危険がある年齢だったのだ」と言う人もいるだろう。

結局のところ、霊によるものなのか、そうではなく、論理で説明出来るような原因なのかは分からない。
『トーチェ氏の心の法則』には、心の作用で病気になったり治ったりする事例が沢山ある。
例えば、ある末期癌患者がなぜか、急速に回復してしまった。これは、医学的にはあり得ない事例だったと言う。
ところが、調べてみたら、面白いことが分かった。
この癌患者は、以前、著名な人物が癌で死んだ記事を見たのだった。
その記事には、その著名人が、食欲をなくして、どんどんやせ衰えて死んだといったことが書かれていた。
それを読んだ、この癌患者は、「では、沢山食べれば死なないのだ」と思い込み、それから、モリモリ食べるようにした。
そうしたら、その思い込み通り、癌が治ってしまったのである。
また、意図的に患者を騙して病気が治ると思い込ませたところ、本当に治ってしまったというものもある。
もちろん、この本にも、失敗例については、あまり書かかれていないので、どこまで信用していいかは、はっきり言って分からない。

だが1つ、経験的に確かだろうと思うことがある。
それは、病気を含め、悪いことは、忘れてしまえば消えるということだ。
逆に、自分の病気のことや、自分の不幸な環境について意識し続ければ、状況は変わらない。
歩けずに車椅子を使っている人が、目の前で、自分の子供が極めて危ない状況になった時、立ち上がって子供を助けたという話があるが、これも、子供のピンチによって、自分の脚が悪いことを完全に忘れたのだ。
私も、身体の調子が悪い時、締め切りに追われて仕事に集中したら、驚くほど調子が良くなったことが何度かあった。これも、意識を全部、仕事に持っていかれ、体調が悪いことなど忘れてしまった結果である。

そして、心は、より魅力的なものに引き寄せられる性質がある。
上の例で言えば、脚が悪い人も、自分の脚の悪さより、子供の方が魅力がある。
私も、自分の体調の悪さより、仕事を期日通りに仕上げることに魅力があったのだ。

ただし、美味しいものとか、アダルトビデオなども、強い魅力があるかもしれないが、それらへの集中は長くは続かないので、悪いものを消し去るほどの力はないのだ。
けれども、お笑いのビデオとか、漫画を長時間集中して見ていたら、癌や膠原病などの難病が治ったという話もある。
一流のお笑いや、質の高い漫画には、人を長時間集中させる効果があるのだ。
だから、どうせなら、レベルの高い趣味を楽しめば良いと思う。

確かに、本当に好きなものがある人に悪霊が憑いたという話は聞かない(これに反する事例は、非常に珍しいので有名になる)。
一方、やりたいことがなく、不完全燃焼している人を悪霊は好むのだろう。
これが悪霊の正体ではあるまいか?
悪霊退散には、好きなことに集中することが一番である。