運とは大切なもので、運を良くする方法が書かれた本は沢山あり、その中には優れた本もある。
特に、マックス・ギュンターの『運とつきあう』は素晴らしいと私は思うし、その他にも良い本がある。
昔から、運が良くなる秘訣や秘法が、いろいろ伝えられている。
しかし、いかなる秘法、秘術をマスターしていても、ツイていないことは必ずある。
そんな時の態度はとても大切だ。

私はテレビ放送は一切見ないが、家族が見るので、テレビの電源を入れた時、一瞬、放送が流れるが、そんな状況のある時、アメリカのメジャーリーグ野球の放送をしていた。
私は、何かの都合で、しばらくそのまま放送を流し、見るともなく見ていたが、ちょっと印象深いことがあった。
投手が主審から、新しいボールを受け取ったが、投手は、そのボールが気に入らなく、主審に新しいボールをよこすよう合図し、今持っているボールをどこかに放った。
主審は別に表情を変えず、新しいボールを投手に投げる。
投球中のボールが汚れたなどの理由で新しいボールに交換することは、別に珍しくはない。
しかし、新品のボールだ。
メジャーリーグとはいえ、不良品があったか、あるいは、何か本当に不具合があったのかもしれない。
投手が(あるいは捕手が)要求すれば、無制限に新しいボールが渡されるように思えた。
私は、ちょっとボールがもったいないなあと思ったのだった。

そういえば、日本のプロ野球で、主審への態度が悪かったのか、主審が、その若い投手のところに怖い顔で歩いていったという話が話題になったことがあった。これには、いろんな意見があったが、以下のことを考えると、判断が出来るように思う。

プロテニスでは、ボールボーイ、ボールガールと呼ばれる少年少女がいることをご存じと思う。
今は、ボールパースンと呼ぶのが正式なのかもしれない。ここでも、ボールパースンと言おう。
ボールパースンは、転がっているボールを取り除いたり、選手にボールを渡したりするが、ボールを渡す時、ワンバウンドで選手に上手く渡すことに私はよく感心する。
時には失敗し、やや離れた場所にボールが来ることもあるが、選手は、そんなことは気にしない。
しかし、コントロールが悪いボールをボールパースンから続けて放られたり、その他のことでボールパースンに不手際があることもある。
そんな時、不快感を表す選手もいるが、そんな場合は(少なくとも全英オープンでは)、主審は、権威を持って選手に注意する。
「いや、これは選手が気を悪くするのも分かる」と思える場合も、例外ではないと私は思う。
テニスは紳士淑女のスポーツであり、よほどの場合は別として、気分を態度に出すようでは選手の資格はない・・・と私は思うが、まあ、間違っていないと思う。

そして、人生も同じだ。
私は今朝、面白い夢を見た。
バレーボールで、盛りを過ぎた、かつての名選手がサーブを打つ場面だった。
1本目がアウトになり、係の者が新しいボールをその選手に転がして渡した。
(バレーボールで、どうボールを渡すのか、私は全く知らない)
ところが、そのボールが、かなり逸れてしまう。
その選手は、ボールを渡した相手に直接ではないが、かなり大きな不快感(「いい加減にしてくれよ」といった感じ)を示した。
その直後、試合が中断され、その元名選手に厳重な注意がされ、さらに、ネットでは、その選手は追放かという情報が出た。

人生においても、ツイていない時に立派な態度をとらないといけない。
いや、ツイていない時の態度次第で、その後の流れが変わるのだと思う。
幸運の秘訣があったり、「ツイてる」と言えばツクのであると言う有名人がいる。
しかし、幸運の真の秘訣は、ツイていない時に立派な態度をすることなのである。
逆に言えば、ツイていない時に腐るような者に幸運は訪れない。どれほどの数「ツイてる」と言っても、あるいは、有名な大金持ちが「こうすればツク」と言うことを全部やってもである。
どんな時でも、態度が立派であるほど良いのである。
どれだけ引き寄せの本を読んでいたって、態度が幼稚で下劣な者が上手くいくはずがないじゃないか?
悪人だって、力のある大物は、うまくいかないことがあっても、怒鳴り散らしたり、部下に当たったりしないものである。
私は、今朝の夢で見た、あの元大物選手の態度のみっともなさを憶えていよう。
あんな真似はしたくないものだ。
真の幸運の秘訣とは、「文句を言わない」であろう。
「言い訳をしない」「泣き言を言わない」と3つ合わせれば、さらに間違いがないと思う。