「芸は身を助ける」の芸は、凄い芸ではなく、食べていくための芸を指すと思われる。
つまり、大芸術家や大俳優を目指すとしても、成功までに時間がかかるかもしれないので、その間、なるべく楽に生活のお金を稼げる芸を身に付けておくことの有利さを言っているのだと思う。
だが、これは、格言になるだけあって、賢い考え方だ。
ジャッキー・チェンが俳優になるために故郷を出る時、彼の父親は、ジャッキーにペンキ塗りの技能を身に付けさせた。ペンキ塗りの需要は多く、俳優でうまくいかなくても、ペンキ塗りの腕があれば食べていけるからだ。
実際、ジャッキーは、俳優で稼げるようになるまで、ペンキ塗りの腕のおかげで、あまり苦労せず生活費を稼げ、俳優修業に専念出来たのだろう。
実を言うと、有名なスポーツ選手や俳優には、こんな話が多い。

大俳優だった丹波哲郎さんは、サラリーマンを3年やったが、仕事は全く何も出来なかったらしい。
しかし、丹波さんは、なぜか宴会の段取りだけはピカ一で、この意外な特技があったから、3年間、働かずに給料を貰えたのかもしれない。

ところで、私は、「身を助ける芸にならないかな」くらいの気持ちでプログラミングを始めた。
実際、会社では、何も出来ず、いわば雑用係みたいなものだったが、プログラミングの腕のおかげで優遇されるようになり、プログラマーで転職することも簡単だった。
ところが、大手企業のプログラマーの仕事は面白くなく、私は、ここでも、「身を助ける楽な芸」を探し、データベース型システム開発ツールのMAGICを修得した。
そうしたら、私にとっては意外だったが、MAGICでの開発は非常に素晴らしいもので、私は会社で一番のプログラマーになってしまった。
しかし、MAGICは高価なので、いつでも「身を助ける芸」になるとは限らないので、同じくデータベース型開発ツールであるが安価なマイクロソフトAccessを「身を助ける芸」のつもりで始めたら、これがもっと身を助けてくれた。
今なら、Accessは15,000円くらいだし、何より、高品質なアプリを早く作れることもあり、やたらこれを使う機会が多くなってしまった。

そんな訳で、「身を助ける一芸」が欲しい場合、今の時代、ペンキ塗りというのも何だし、コロナのせいで宴会も減っているので、丹波さんの真似もあまり良くなさそうだ(笑)。
それなら、仕方がないから、マイクロソフトAccessでも憶えたらどうだろう?(笑)
簡単な処理では、Excelの方が手早く出来ることが多いが、Accessは万能である。
Excelも非常に強力なツールであるが、用途や処理出来る規模は、AccessはExcelよりはるかに上であると思う。
また、私は、統計やAIの機械学習でもAccessが大いに役にたったが、他にも、あらゆる分野で役に立つと思う。

私は、パソコンで画像処理や動画編集が上手い人や、パソコンでイラストが描ける人も知っているが、これらは、特にイラストは、よほどのレベルでなければ、身を助けてくれない。
私も、画像編集は得意だし、動画編集もそこそこは出来る。
私は、そういったことは趣味で覚えたが、確かに、趣味でなければやる機会はないし、そして、趣味でしか使えない場合が多い。
実際は、企業のWebサイトの製作で、そういったことが出来るおかげで助かったことはあるが、厚遇されるほどではない。

Excelと、Excelに内蔵されたプログラミング言語のVBAで一目置かれている人は、優秀な人が多い。
これらを業務にうまく適用でき、他の人にやらせるのも上手い。
しかし、AccessとVBAなら、本来、全然ダメなヤツなのに、それがそこそこ出来るおかげで、かなり良い思いをしている者も見たことがある。
まあ、私がそうだと言えるかもしれない(笑)。

もう1つ、Accessの面白い使い方がある。
あまり誰もやらないが、Accessで高度なプレゼンテーション画面を作ることが出来るのである。
私も、自分のプレゼンや、偉い人が大きな舞台でプレゼンする時のものを作ったが、会場では、見たこともないような動作をするプレゼン画面が注目された。
こういったものを作るのは、割と簡単である。
そして、今は、パソコンの画面の動きを動画にし、マイクから音声を入れることも簡単に出来るので、Accessで作ったもので、そのままYouTube用の優れた動画を作ることが出来る。
今は、ほとんど動きのない動画(最初から最後まで静止画1枚で通すものもある)でも、結構なアクセスを取っているYouTubeコンテンツもあるが、今後は、もっと良いものが求められるようになるだろう。
正直、Accessは人気はいまひとつだが、当面、なくなることはないと思う。
これほどの機能で2万円以下というのは、私からすれば驚くべきことで、私は、Accessには数百万円の価値は十分にあると思う。
もし、Accessがなくなるとしても、類似のソフトは必ず求められるはずで、それであれば、Accessに代わるほどのものはないので、やはり、これがなくなることはないだろう。
特に、事務系の仕事をしていて、身を助ける芸が欲しいと思っている場合には、お薦め出来ると思う。
尚、極まったプログラマーになる人は、自分でやりたいことを勝手にやるものであるから、そんなプログラマーになりたい人は、ここに述べたこととは関係なく、自分に合った道を自分で切り開いていただければと思う。