細かいことは憶えていないが、現在の上皇后陛下であらせられる美智子様が皇后陛下であられた時のことと思うが、国際的なイベントで、『古事記』の一部を語っておられたスピーチが大変に評判で、著名な人々にも、このスピーチを取り上げていることがよくある。
美智子様が引用されたのは『古事記』の次のような部分だ。

ヤマトタケルが天皇の命令で、西方の朝廷に反逆する多くの国を平定し、都に帰ったが、旅の疲れも癒えないうちに天皇は、次は、東方の朝廷に従わない国々の平定をヤマトタケルに命じた。
それで、ヤマトタケルは東方の多くの国を苦難に打ち勝ちながら征伐したが、浦賀海峡で海神が荒波を起こし、ヤマトタケルらが乗った船が翻弄され危機的な状況に陥る。
その時、ヤマトタケルの妻であるオトタチバナヒメはヤマトタケルに、自分が海に入って海神をなだめるので、あなたは立派に仕事を果たして都に戻り天皇に良い成果報告をするよう言い残し、入水した。

当時、美智子様は民間人である小学5年生の少女で、父親に子供用の『古事記』を与えられて読んだのだったが、このお話に大変に感動されたようだった。
当時、戦時中であり、美智子様は疎開されていたのかもしれない。
書物が貴重であった頃と思う。

美智子様のスピーチを表面的に見ると、なかなか美智子様の真意は伝わらないと思う。
当時の美智子様と同じ年ごろの子供が、『古事記』のこのお話を読んでも、美智子様のようには感じることは滅多にないであろう。
それどころか、大人でも、多くの人はこれを読んでも、さほどの感銘を受けず、子供でも大人でも、人によっては笑う者もいると思う。
10歳くらいの少女で、そこまで感動したのは、美智子様が強い想像力をお持ちだったことや、そもそも、IQが相当高いのだと思う。
というのは、そのお話の、そこまでの経緯や状況、そして、ヤマトタケルの苦しい心情を想像・理解し、共感する能力がなければ、そこまで感動しないはずだからである。
偉い先生の中には、ただ美智子様がオトタチバナヒメの犠牲精神に感動したというように言う人もいるが、それは、その先生のIQや想像力が低いことを示しているのだと思う。

レム睡眠
AIアート225
「レム睡眠」
Kay


IQにも、いろんな捉え方があると思うが、私は、単にパズルのような問題を解く能力ではなく、想像力を含めたものであると思う。
ある国際ITコンサルタントが、「SE・プログラマーの能力はIQだけです。高いIQによる想像力も必要です」と言われていたが、全くその通りと思う。

『古事記』の上記のお話を読んで、どう感銘を受けるかも良いIQテストである。
そして、私が普段言う、思考を消すことによってIQを高めることが重要であると思う。