ITスペシャリストが語る芸術

-The Kay Notes-
SE、プログラマー、AI開発者、教育研究家、潜在意識活用研究者、引きこもり支援講師Kayのブログ。

東京BABYLON

当ブログは、第一期ライブドア奨学生ブログです。
◇お知らせ
[2019/12/28]AI&教育問題専用ブログ、メディアの風を公開しました。
[2017/03/01]「通りすがり」「名無し」「読者」「A」等のハンドル名のコメントは原則削除します。

哀れな小善人にならないために

CLAMPの漫画『東京BABYLON』(1990~1993)の中で、こんな哀れな老人の話を見た覚えがある。
ある善良なおじいさん(と言っても、孫がまだ幼いので60歳そこそこか)がいた。
彼は、娘夫婦の家に住んでいたが、露骨ではないながら厄介者感扱いで、居心地は悪い。
ある時、娘の子供である幼い2人の孫が、おじいさんに不意に尋ねる。
「おじいさんはいつ死ぬの?」
孫たちは明るく無邪気な顔で悪意はなさそうだが、さすがにおじいさんは戸惑った。
すると、すぐに孫たちの方から、質問の意味を言う。
「お母さんが、おじいちゃんが死んだら、僕たちは部屋を1つずつもらえるって言ったんだ」
ショックを受け、愕然とするおじいさんだが、孫たちは自分たちが言っていることの意味も分からず「楽しみだなあ」と言って笑う。
このおじいさんは、孫たちの母親である娘を、生まれた時からずっと可愛がり、娘の幸せのためなら、何でもやってあげたようだった。
しかし、その娘が、今や、孫に、そんなことを言うようになってしまった。

結局、この作品では、主人公の陰陽師である皇昴流(すめらぎ すばる)は、このおじいさんの娘に間違いを悟らせ、事故で死んだおじいさんの霊は、娘を恨むこともなく微笑んでいたという結末であった。
だが、悪いのは、この娘だけだろうか?
この作品では、そういうことになっていると思って良い。
まあ、おじいさんの欠点を責めたら外道扱いであろう。
おじいさんの非は確かにないが、そんな辛い生き方をしなければならない理由はない。
だから、おじいさんには、非はなくても、確かに、何かが欠けていたのである。
それは個性である。
このおじいさんは、あまりに、どこにでもいるおじいさんで、際立った特徴が何もなかった。
そんな者は、自分を快適にする力を持つことは出来ない。
もっとも、ある優秀な霊能者が言うには、個性のない者の無力さを実感するため、敢えて個性のない人間になって、このおじいさんのように生きる魂もあるらしいが、我々が真似する必要はあるまい。

我々は、単なる善人であってはならない。
そんな小善人よりは、個性のある悪人の方が良い思いをして生きることが出来る。
確かに、宗教家の五井昌久氏も「小善人になるくらいなら大悪人になれ」と言ったが、現実的に悪人になどなれない。
しかし、小善人に留まらない方法を教えてくれない。
その方法は、個性を磨くことだ。

私が、最も個性があると思う人間の1人に、野球のメジャーリーグ最後の4割バッターであるテッド・ウィリアムズがいる。
彼は、少年時代から、起きている時間の全てでバッティングの練習をしたがった。
夜は、親がベッドに押し込まない限り、バッティングの練習を止めなかった。
彼が奥さんにプロポーズした時、奥さんが、
「私を1番に愛してくれる?」
と尋ねると、ウィリアムズは、
「いや駄目だ。1番は野球。2番は釣り。3番が君だ」
と答えたらしい。実に個性的で良い。
これで思い出すのが、ノーベル賞作家アルベール・カミュの傑作短編『異邦人』の主人公の青年ムルソーだ。
若く美しい娘マリーが、ムルソーに、
「結婚してくれる?」
と尋ねると、ムルソーは考えることもなく、
「いいよ」
と答えた。
しかし、マリーが喜んで、
「私を愛してる?」
と尋ねると、
「わからない。でも、多分、愛してない」
と答えた。
なんと個性的で良いではないか?(笑)
私は、このことに限らず、全編を通じて、このムルソーが大好きなのだ。
ムルソーのこの個性は、どうやって育ったのか、とても興味深い。
コリン・ウィルソンも『アウトサイダー』の初っ端あたりで分析していたが、彼の話は曖昧で分かり難い(笑)。
ムルソーは、非道者扱いされることもあるが、私は、彼は途方もなく優しいのだと思う。
途方もなく優しいと言えば、漫画『8マン インフィニティ』(2004~2007。意外に高度な作品)の主人公、光一がいる。
16歳の彼は、人を救うためなら、自分の命を何とも思わない。
何とも興味深い。

とにかく、いろんな、真に個性のある人間を見て、個性について知ると良いと思う。








なぜ山に登るのかは誰にも分からない

「なぜ山に登るのか?」「そこに山があるからだ」という有名な問答がある。
これは、一般には、「挑戦すべきものがそこにあるので、果敢に挑むのだ」という意味に思われているかもしれない。
しかし、次の2つの意味にもとれるだろう。
1つは、山に登る目的なんてないこと。
もう1つは、なぜ山に登るのか、自分でも分からないということだ。
そういう意味であれば、なかなか真理をついていることになる。
だが、もっと正確に真理を言うなら、こういうことだ。
「なぜ山に登るのか?」「それが運命だからだ」
山に登る自分なんていない。目的というものは、それを持つ誰かがいて初めて成立する。しかし、そんな者はいないのだから、目的など、あるはずがない。

この世のどんなことも同じである。
「なぜ働くのか?」
と尋ねれば、様々な答があるだろう。
「自分の才能を育てるため」
「生き甲斐のため」
「自己実現のため」
以上は、自己中心の回答であり、子供っぽい。
もう少しマシなものは、
「社会に貢献するため」
「国民の義務である」
「人々の幸せのため」
となる。
もっと真理に近い答は、
「家族の生活のため」
「食べるため」
である。
しかし、真理を言えば、
「運命だから」
である。

ラマナ・マハルシに、「私は働かないといけないのです」と言ったら、「誰が働くのかね?」と問われることだろう。
あるいは、「働かないといけないと言っているのは誰なのかね?」かもしれない。
働く誰もいないのである。
よって、働くことに目的も意味もない。
真理はそうなのであるが、我々凡人にとっては、自分が働いているという自覚があり、そんな自分にとって仕事は現実である。
だが、せいぜいが、「食べるために働く」程度に思うのが良い。
思うままに働いたり、ニートになることは出来ない。
ラマナ・マハルシが適切なことを述べていた。
「働く運命になければ、いくら仕事を探しても見つからないだろう。逆に働く運命であれば、仕事は避けられない」

少しは好転してきたと言われるが、現在は就職難であるらしい。
学生は、数多くの企業に応募するが、なかなか内定がもらえなくて苦労しているようだ。
「なぜ当社を希望したか?」の質問に、学生は「貴社の事業は今後の世界に重要だから」とか「自分に向いているから」など、おかしなことを言っているものだ。
まるで、下手なナンパ男だ。どの女の子にでも、同じことを言って口説いているのが丸分かりというやつだ。
上手いナンパ男は、そんな言い方はしない。もっと力が抜けていて、「俺と合いそうだと思わないか?」などと言うものだ。
面接では、応募の理由はこう言え。
「なりゆきです」
「運命だったようです」
企業も、こんな者を採用すれば、うまくいくのである。

女優の沢口靖子さんは、中学時代にはすでに、町で名を知らぬ者はいないほどの美少女だったらしい。
その美貌でデビューを果たすが、最初は、演技は下手で、歌を歌わせたら、あの顔がなければ聴けたものではなかったらしい。
しかし、努力を続け、素晴らしい女優になったようだ。
ところで、CLAMPの『東京BABYLON』という漫画に、若い女性の幽霊が登場する。なかなかの美人だ。
彼女も、故郷の村では評判の美少女で、自分も女優になれると思って上京したが、女優志望の少女達の中では、自分も普通でしかなかった。
食べていくために、毎日、辛いアルバイトに明け暮れながらオーディションを受けたが、全くとっかかりが掴めない。その中で、あるプロデューサーが、身体と引き換えに仕事をくれるというから応じた。彼は根っからの悪人ではなかったらしく、約束通り、仕事はくれた。大した役ではないし、罪悪感もあったが、とにかく念願のデビューが果たせるので、故郷の両親や友達に報告し、祝福を受けるとやはり嬉しかった。しかし、主演の人気女優の気紛れで撮影は変更になり、自分のデビューは消えた。いまさら両親にそんなことも言えず、友人達にも言い訳が立たずに、思い余って自殺したという訳だった。
まあ、かなりの美少女が、アイドルや女優を目指して挑戦しても、言うまでもなく、ほんの一時的にでも成功するのは、あまりに僅かだ。そんなことは、みんな分かっているだろうに、なぜ自分はうまくいくと思うのか不思議なものである。
沢口さんはなぜ成功したかというと、やはり運命だったのだ。
それは、彼女が生まれる前から決まっていたことだ。
そんな運命でない者が女優を目指したとて、決してうまくはいかない。
しかし、架空の人物ではあるが、プロデューサーに身体を売った末に夢破れたあの少女も、それが運命であったというだけだ。そのプロデューサーも、気紛れで彼女を自殺に追い込んだ人気女優も、そうすることが運命だったのであり、避けられぬことをしたまでのことである。
我々も、現在の状況が、定められた運命である。全てをなりゆきにまかせ、気楽であることだ。
なぜ山に登るかなど、我々には決して分からないし、山に登る目的など絶対に無いのである。









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プロフィール
名前:Kay(ケイ)
・SE、プログラマー
・初音ミクさんのファン
◆AI&教育blog:メディアの風
◆著書『楽しいAI体験から始める機械学習』(技術評論社)


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