私が好きな話であるが、天下を統一した徳川家康に、大胆にも若い・・・というか少年の小姓(雑務・警護を務める武士)が、「天下を取る秘訣」を尋ねた。
一応は「天下を取る秘訣」であるが、これは、物質的には最も大きな望みと言えるので、「成功のための究極の秘訣」を尋ねたのだと言って良いだろう。
そして、家康はそれを知っているはずである。
その問いに対して、家康は、「長い方と短い方、どっちが良いか?」と尋ねるので、小姓は「両方」と答えた。
すると、家康は、「短い方は『上を見るな』、長い方は『身の程を知れ』である」と述べた。

「上を見るな」とは、自分より良い状況にある者を羨ましがるなということで、「持っているもので満足しろ」ということだ。
「身の程を知れ」とは、「己惚れるな」ということで、自分が大したものではないことを自覚しろということだ。
結局、この2つは同じことを言っている。
そして、もっと根本的な言い方で言い換えるなら、「余計なことを考えるな」ということで、さらに言えば「何も考えるな」ということだ。
考えなければ、羨ましがることも己惚れることもない。
そうであれば、どうなるかというと、心が消えるのである。

つまり、家康は、「心が消えれば無敵である」と言ったのである。
そのためには、羨んだり、己惚れたりしなければ良い。
これは家康が、何度も絶体絶命に追い込まれたり、判断出来ないことを判断する中で、自ずと分かったことであろう。

天女
AIアート63
「天女」
Kay


ところが、何と、我々には、思考を消し、心を消す、最上にして簡単な秘法がある。
それはもちろん、「私は誰か?」と自分に問うことである。
これにより、家康が言った究極の秘法を誰でも即座に、そして、確実に実践出来るのである。
それなりの繰り返しは必要であるが、その程度は何でもないはずである。