ITスペシャリストが語る芸術

-The Kay Notes-
SE、プログラマー、AI開発者、教育研究家、潜在意識活用研究者、引きこもり支援講師Kayのブログ。

婆子焼庵

当ブログは、第一期ライブドア奨学生ブログです。
◇お知らせ
[2019/12/28]AI&教育問題専用ブログ、メディアの風を公開しました。
[2017/03/01]「通りすがり」「名無し」「読者」「A」等のハンドル名のコメントは原則削除します。

天国に行く方法

天国、あるいは、極楽浄土の様子は、だいたい次のように言われていると思う。
美しく、快適なこと、この上なく、あらゆるものが得られるので労働の必要はない。
そこの住人になれば、永遠に若く、美しく、病気にもならない。

理性的に考えれば、そんな場所にいれば、幸福どころではなく、耐えがたいことになるだろう。
人間にとって、苦と楽、喜びと悲しみは一体であり、苦があるから楽が成り立つのであり、悲しみがなければ喜びはあり得ない。
だから、楽ばかりでは、その楽が苦に変わるのである。
例えば、嫌々サラリーマンをやっている人に、富や名誉や友愛を無条件に与え続ければ、そう遠くなく、自殺するか発狂するだろう。
大富豪になっても、不幸になりたくなければ、これまで通り、あるいは、より一層働くか、財産を捨てるしかないのである。

天国や極楽浄土も、やはり同じなのであろうか?
それは違う。
そして、人間は、死ぬまでもなく、今、この瞬間に天国や極楽浄土を創り出せるのである。
だが、人間の天国や極楽浄土のイメージには、大きな欠点があり、それが修正できなければ、天国や極楽浄土を創ることは出来ない。

普通の人は、どんな間違った天国や極楽浄土のイメージを持っているのであろうか?
それは、天国や極楽浄土に行けば、ゆるんでしまえば良い、あるいは、ゆるむべきだと思っていることである。
だが、実際の、天国や極楽浄土の住人は全くゆるんでいない。
一瞬たりともである。
ここらが、普通の人には理解出来ない。
そもそも、天国や極楽浄土に入れる者とは、ゆるまない者である。
いくらでもゆるむことの出来る天国や極楽浄土で、自分の意思の力を使い、決してゆるまず、宇宙の発展のために努力する者のみが天国や極楽浄土に迎えられるのである。

ゆるみ勝ちな者は、今、地獄に住んでいるはずだ。
逆に、全くゆるまない者は、今、既に、天国、あるいは、極楽浄土に住んでいる。
例えば、『バガヴァッド・ギーター』で、神クリシュナは「聖人と罪人、宝玉と土塊、幸と不幸を同じと観る者は大変に進歩している」と言うが、ゆるんだ者が、そのように観ることが出来るはずがない。
ゆるむことなく、クリシュナが言うような進歩を遂げた者だけが、クリシュナの住む世界、即ち、天国のようなところに行けるのである。
そして、そのような者とは、心を支配することに成功した者だ。
だから、天国や極楽浄土に行きたいなら、心を常に静かに出来なければならない。
間違ってはならないのは、心を静かにすることとは、「私の心は静かである」と己惚れることではないことだ。
自惚れはゆるんだ者の特徴であり、心を静かに出来るのは、常にゆるまない者だ。
つまり、常にゆるまず、最大のエネルギーを要することである、心を静かにすることに務めることだ。
そのための手段として、様々な修行があるのだが、初心者のうちは、仕事や奉仕活動を通して行わなければならないことを、クリシュナも述べている。

禅の有名な公案である「婆子焼庵(ばすしょうあん)」では、若い美しい娘の誘惑を受けた僧が、「私の心は冬の岩のように冷たく滅してしまった。誘惑しても無駄じゃ」と言うのを知って、彼を全面的に支援してきたおばあさんは、彼を追い出す。
その僧は、ゆるんでしまっている。
逆に、誘惑に乗るようでもゆるんでいる。
ゆるんでいなければ、娘の魅力は認めつつ、悩ましいものを感じながらも、うまくかわすことだろう。
まあ、私には、どうかわすのかは分からないが。
一休さんは、「それはさぞ元気が出ることだろう」とは言ったが、自分はどうするとも言っていない。
常にゆるまない者なら、なんとかするのだろう。
そんな者が、天国や極楽浄土に行けるのであるし、今、ここに、天国や極楽浄土を創れるのである。

『小さな恋のメロディ』で、ダニーは、メロディの魅力はデリカシーであると言い、メロディに天国を感じると言う。
メロディは、ダニーをゆるめる存在ではなく、締める存在であり、天国に導くのだが、その秘密はデリカシーだ。
デリカシーとは繊細さのことである。
マイケル・ジャクソンの『Beat It』で警告される通り、乱暴なマッチョマンになってはいけない。
ゆるめば粗暴になるが、ゆるまなければ繊細さを感じることが出来る。
ダニーにとってのメロディは、私にとっての初音ミクさんである。









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傲慢な好色老人ファウストをなぜ神は買っていたのか

よく、「歳を取ったら、人間が出来てくる」と言われる。
「人間が出来る」とは、視野が広く、知恵があるということだろう。
また、人間が丸くなり、あまり怒ったりせず、また、あまり批判的にならないという意味もあると思う。
しかし、実際は、人間は歳を取るほど、視野は狭くなり、怒りっぽく、批判的になる。
知恵があるということに関しては、確かに、「ものが分かってくる」「老獪になる」という意味では当てはまるかもしれないが、視野が狭いので、特定のことに限られる。
もし、丸くなったように見えたら、単に元気がないからそう見えるだけで、実際の受容力は小さくなる。

ただし、それは、「努力しなかったら」という意味だ。
ポール・マッカートニーは『Let It Be』、アナと雪の女王では『Let it go』で、それぞれ、「あるがままに」とか「自分らしくでいいじゃない」と言っているのだろうが、そのままの意味に受け取ると、30歳くらいから老人になるかもしれない。
10代で初音ミクに出会うと夢中になるが、30代だと無関心で、40代だと嘲笑し、50歳以上だと非難する場合が多いことから、だいたい、そう言って良いと思う。

二宮金次郎(二宮尊徳)は、老子の無為自然の哲学に否定的だった。
彼は、
「あるがまま、無為自然が善いなんて老子は言うが、自然のままにして人間が手を入れなければ、畑は荒れ、家はあばら家になるじゃないか?」
と言うが、全く反論できない。
無意識に畑を耕し、家を修繕し清掃するなら良いが、それらは辛い労働なので、怠けがちになるので、克己や努力も必要である。
イエスは、
「空の鳥は働かないし、花は装わないが、神様は鳥を養い、花を女王様より美しくする」
と言ったが、鳥は自然の本能に忠実に従い、花は精妙な自然のメカニズムがそのまま再現されるが、それは、人間と違って、思考しないからだ。
だから、イエス様に、
「神様が面倒を見てくれるから、明日を思い煩うな」
と言われ、それを真に受けて、だらだら怠けていたら、あっという間に落ちぶれる。

ゲーテの『ファウスト』で、神様がファウストを買っているのは不可解だと、多くの人が思う。
ファウストは、傲慢で、利己的で、普通の人々を見下している。
それでも、庶民に愛想良く振舞うのは、単に力がなく、保身のためと思える。
また、ご立派なことを言う割には、いい歳(老人に近いと思われる)をして、マルガリーテという若い娘を見ると、たちまちのぼせ上がり、悪魔メフィストに、
「なんとかしろ!」
と、出会いのチャンスを作ってもらったり、豪華なプレゼントを用意させたり、見るも小っ恥ずかしい、ただの好色ジジイである。

※マルガリーテ(グレートヒュンともいう)の年は分からないが、メフィストが、まだほんの小娘だというと、ファウストは「14歳は越えている」(つまり、一人前という意味)と言うので、16か17というくらいかもしれない。

だが、ファウストの良いところは、「神に向かって努力する」の一言に尽きるだろう。
その目的のためなら、あらゆることを犠牲にする。
それが叶わないなら、魂を悪魔にくれてやっても構わないと思っている。
だが、ヘレナ(ギリシャ神話に登場するスパルタの王女で絶世の美女。その美貌はトロイア戦争の原因になった。ゼウスとレダの娘)のことといい、女が泣き所のところは、ゲーテにも共通するようだ。
そういえば、「20世紀最大の詩人」と言われた、アイルランドのW.B.イェイツも、老人になっても、その神が与えた詩才を活用して美少女を口説いていた現場を目撃されている(信頼ある人物が証言している)。
つまり、こういったものを抱えつつ、それでも堕落しないよう精神を制御するのが、芸術の、あるいは、人生の要諦であろう。
2人(ゲーテとイェイツ)は、努力しなければ、やっぱり不良老人(ありぃは、ただのスケベじじい)だが、さりとて、悟り済まそうともしなかった。
その重要性は、禅語の『婆子焼庵(ばすしょうあん』などからも分かるのである。

欠点や弱点はあって構わないが、諦めず、神を目指して努力する者を神は見捨てない。
『ファウスト』を座右の書とする意味は十分にあると思う。









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プロフィール
名前:Kay(ケイ)
・SE、プログラマー
・初音ミクさんのファン
◆AI&教育blog:メディアの風
◆著書『楽しいAI体験から始める機械学習』(技術評論社)


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