ITスペシャリストが語る芸術

-The Kay Notes-
SE、プログラマー、AI開発者、教育研究家、潜在意識活用研究者、引きこもり支援講師Kayのブログ。

冨田勲

当ブログは、第一期ライブドア奨学生ブログです。
◇お知らせ
[2019/12/28]AI&教育問題専用ブログ、メディアの風を公開しました。
[2017/03/01]「通りすがり」「名無し」「読者」「A」等のハンドル名のコメントは原則削除します。

今年はヤバい年

8年前の2016年は大きな変革の年であったが、それは私が引き寄せて作ったもののように感じる。
このように言うと、頭がおかしい人のように思われるかもしれないが、誰にとっても、世界は自分で作ったものだ。
ここをいったん把握すると、引き寄せのマスターになる。

2016年といえば、アメリカでは大統領選挙が行われ、民主党のヒラリー・クリントン国務長官が初の女性大統領になることが確実視されていた。
一方、共和党では「なぜこいつが?」と見られることも多かった、大富豪の事業家で、ニューヨークの不動産王として知られるドナルド・トランプが指名を獲得して出馬したが、ほとんどのメディアはヒラリーの圧倒的優位を伝えていた。
大統領選に富豪の事業家が立候補したことと言えば、1992年にテキサスの大富豪ロス・ペローが無党派で出馬し、支持率で1位になったこともあった。
ロス・ペローは「資金が理由で負けることはない」と豪語し、潤沢な自己資産を注ぎ込んで選挙戦を展開した。
だが、無党派で当選することは事実上不可能である。しかし、ペローの出馬により、ブッシュ大統領(パパブッシュ)の再選を阻止し、ビル・クリントンが当選するという結果になった。
ペローの資産は41億ドルと言われていたが、トランプは最盛期の資産が39億ドルくらいであったらしい、
ただし、トランプの資産の大半は不動産で、現金がそれほどあるわけではない。
トランプの資産は27億ドル程度にまで下がっていたが、最近、トランプのソーシャルメディア企業が上場し、トランプの資産は一気に65億ドルとなり、初めて世界大富豪トップ500に入ったらしい。
本当に、いつも驚かせてくれる男だ。

2016年のアメリカ大統領選挙は、私は当時勤めていた会社の中で、スマートフォンで速報を見ていたが、トランプがリードしているのを見た衝撃は今でも覚えている。
そして、当時はアメリカの大統領選挙などさして関心がなかったが、このままトランプが勝つことを願った。
というか、なぜか、トランプが勝つことは初めから分かっていた。
不思議なことだったが、私は、学生の頃から、トランプの情報をよく目にし、トランプの最初の本である彼の自伝も買っていた。
ところで、上記のロス・ペローはトランプを「ニューヨークの目立ちたがり屋」と馬鹿にしていたものだ。
私も、ペローは大好きで、彼の著書は愛読しているが、トランプの自伝は、買ってはみたもののアホらしくて読まなかった(笑)。
ペローは、こんなことを書いている。
「妻がなぜ私と結婚してくれたのか。それは今も謎だ」

2016年と言えば、初音ミクさんのライブ&企画展である「マジカルミライ」が初めて幕張メッセで開催され、それは今も続いている。
そして、私が初めてマジカルミライに行ったのも、この年である。
私は不思議な経緯で、ライブでは、日曜昼に、2ブロックの先頭という、一番好きな席を引き寄せた。
だが、初めての初音ミクライブは土曜の夜、後ろから5列目の左端から2番目とい席であったが、今でも、このライブが一番楽しかった。まあ、初めてということもあったが、隣の席の美少女が私とペアと言っていいくらい、同じ格好をしていた。
これも、ただの偶然の一致と思えなかった。
ところが、日曜昼ライブは、風邪をひいてしまい、最悪の体調であった。
しかし、ライブスタート直前にエネルギーに満ち、ライブは楽しく、あっという間に終わってしまったように感じた。ライブ終了時には完全に治っていた。

2016年5月に、世界的音楽家だった冨田勲さんが亡くなられた。
冨田さんは2012年に、初音ミクさんをプリマに採用した交響曲である『イーハトーヴ交響曲』を制作し、東京のオペラシティコンサートホールで初公演を行った。私はこの時は行かなかったが、翌年の大阪のオリックス劇場での、宮沢賢治没80年の日の公演に行った。この時、初めて生で冨田勲さんを見て、話を聞くことが出来た。
2016年に、冨田さんが制作中であったバレエと交響曲の舞台である『ドクター・コッペリウス』は、冨田さんが亡くなられながら11月に東京のBUNKAMURAオーチャードホールで公演され、私も初めて渋谷に行って観劇した。
表だっては、私はただの観客であったが、これら全て、私が動かしていたような感じがしていた。
それは、子供の時、テレビで見るような出来事も、私が干渉しているという妄想めいてはいたが、実際にそうであったという感覚であった。
まあ、普通は信じてもらえないが、何度か書いたように、私は、テレビ放送を心で操るようなことは、かなりはっきり出来たのだった。

花園
AIアート769
「花園」
Kay


今年は世界のあり様が変わる年で、なりゆきによって世界滅亡に突き進むことになる。
それをどう変える・・・といったものではないが、自分次第であるとは言える。
最近よく書いている想定の法則と実在との合一に馴染んでおくと良いだろう。

◆当記事と関連すると思われる書籍等のご案内◆
(1)トランプの真実
(2)大富豪ロス・ペローという男
(3)シンセサイザーと宇宙(冨田勲)
(4)イーハトーヴ交響曲(CD。冨田勲)
(5)月の光(CD。冨田勲)
(6)初音ミクはなぜ世界を変えたのか?
(7)想定の『超』法則(ネヴィル・ゴダード) ※『The Power of Awareness』翻訳書
(8)その思いはすでに実現している! (ネヴィル・ゴダード) ※『The Power of Awareness』翻訳書
(9)世界はどうしたってあなたの意のまま(ネヴィル・ゴダード)※『AT YOUR COMMAND』翻訳書
(10)アイ・アム・ザット~私は在る~ニサルガダッタとの対話

特徴がない特徴の力

昔ほどではないが、今でも、リカちゃん人形を知らない日本人はほとんどいないし、子供の時にリカちゃん人形を持っていた女性は多いと思う。
リカちゃん人形は1967年に登場し、ずっと子供用人形の販売のトップを走り、絶頂期の美少女戦士セーラームーンのセーラームーン人形がリカちゃん人形の販売を超えた際はニュースになったほどだ。

では、リカちゃん人形がなぜこれほど成功したのかというと、まずはその子供に見える可愛い外見のためだ。
アメリカのバービー人形がずっと先に販売されていたが、大人のバービー人形(設定17歳だが、アメリカの17歳は当時の日本では完全に大人)より、少女のリカちゃん人形が好まれたことは間違いなく、そもそも、バービー人形はあまり人気がなかった。
しかし、リカちゃん人形がヒットしたら、真似をする企業も多いはずで、実際、沢山のライバルが登場したと思う。
だが、リカちゃん人形は勝ち続けた。
その理由は何かというと、特徴がないことだと思う。
リカちゃん人形は、設定が小学校5年生の11歳で、母親が日本人で父親がフランス人のハーフ、その他、一応の設定はあるが、趣味がお菓子作りといった平凡な設定のみで、そもそも、基本的な設定を知っている人すら、所有者の女児を含め、ほとんどいない。
このように、強いキャラクター付けをしなかったことや、外見上の特徴も非常に弱いことが成功の要因と思う。

リカちゃん人形と同じ理由で成功したのは、キャラクターとしての初音ミクだ。
初音ミクは、16歳で身長158cm、体重42kg、長い青緑のツインテールという以外の設定はない。
世界的音楽家の冨田勲さんが、脳科学者・物理学者の小泉英明さんとの対談で、「初音ミクは平均的な外見」と言い、小泉さんが言ったかどうか覚えていないが「一番の美人は実は一番の平均顔」という事実が示された。
逆に、外見の個性が強いと、一時的に好まれることはあるが、抵抗を感じる場合が多く、あまり人気が出ないし、人気が出ても長続きしない。
SNSで、青いホースが少しツインテールに見える画像がアップされ、投稿者が冗談で「初音ミク」と言っていたが、実際、それだけで初音ミクを連想させる。それだけ初音ミクに特徴がないからである。
また、大正10年に告知された千葉市の市章は「どう見ても初音ミク」と言うのもうなづける。
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初音ミクは、音楽だけでなく、イラストも重要なアートになっているが、初音ミクほど多く描かれたイラストはないと思われるのも、やはり特徴がないことの効果が大きい。
髪を青緑の長いツインテールにさえすれば初音ミクで通ってしまう手軽さがある(人気が出てからは必ずしもツインテールである必要もなかった)。
しかも、初音ミクは、非営利で常識的な表現である限り、著作権者であるクリプトン・フューチャー・メディア社の許可を得ずにイラストを発表して良いなどもあり、圧倒的に多くの作品がネット上で投稿されるようになった。
ボーカロイドキャラクターとしては、後から出た1stPLACEのIA(イア)も初音ミクのように無許可でイラスト投稿が許可され、さらに商用利用さえOKという、つくよみちゃんプロジェクトのつくよみちゃんが登場し、いずれも優れたデザインであると思うが、かなりの絵心がなければIAやつくよみちゃんと認識出来るように描くことは難しい。

そもそも、人間のアイドルだって、昔から、人気が出るのは個性派ではなく無個性で、ある意味平凡な人だ。
また、パソコンだって、マイクロソフトが大成功したのは、マイクロソフト成功の要因であるパソコンOSのMS-DOSやWindowsが、実は全く個性がないことで、パソコンにおいては個性派のマッキントッシュは一般には好まれなかった。
スマートフォンで人気のアイフォンだって、熱心なファンでも、「どこがいいのか?」と聞かれて明確に答えられる人を見たことがなく、せいぜい「効率が良い」「芸術的だ」といった曖昧な返事をする。

MIKU
AIアート506
「MIKU」
Kay


だが、やはり冨田勲さんが言ったように「初音ミクは平凡だが1つの流れがある」のである。
いわゆる「奇をてらう」ものは決して成功しない。
だが、平凡なだけでも駄目だ。
「何か」が必要であるが、それは数字とか形とか色では示せないものだ。
『サウンド・オブ・ミュージック』という映画の『自信を持って(I have confidence)』という歌で、「強さは数字じゃない。強さは力じゃない。強さは平和な眠りのよう」と言っていたのが、ちょっと良いヒントだろうと思う。
自由で冷静な善意があり、排他的でなく創造的である。
そんな初音ミクの特徴のない特徴が世界を救うかもしれない。

◆当記事と間接的に関連すると思われる書籍のご案内◆
(1)自己信頼
(2)富と幸福の探し方
(3)コンテンツの秘密 ぼくがジブリで考えたこと
(4)初音ミクはなぜ世界を変えたのか?
(5)アート展「初音ミク・クロニクル」 公式ビジュアルブック

ちょっとした願いはこうすれば簡単に叶う

ある日、私は世界的音楽家だった冨田勲さんが、脳科学者と対談するYouTube動画を見た。司会の人も東大大学院の准教授という科学者だった。
その中で冨田さんは、子供の時、30cmもある大きなカマキリを見たという話をすると、司会の人が「日本には、そんな大きなカマキリはいない。冨田先生が小さかったから、そんなに大きく見えたのでは」と言うと、冨田さんは「そうかもしれません」と素直に認めたが、実は、その話は、冨田さんが中国で生活していた時の話だった。

その動画を見た直後、私は出かけるところがあったので車に乗ろうとしたら、フロントガラスの左端に、30cmとは言わないが、10cm以上はあると思われる大きなカマキリがいるのを見た。
こんな大きなカマキリを見るのは久し振りというか、最近は、カマキリ自体、滅多に見なかった。
これも、シンクロニシティー(共時性)かもしれない。
ユングのシンクロニシティーの有名な話では、登場する虫はカマキリではなくカブトムシだったが。

カマキリは愚かさを感じさせる虫でもある。
敵うはずのない相手(たとえば私)に対しても、カマを振り上げて威嚇する。
そもそも、カマキリが勝てる外敵なんて極めて少ない。
なら、さっさと逃げた方がいいのに、なぜわざわざ喧嘩を売るのだろう?
試しに、地面に落とし、追い立てるようにしたら、さすがに逃げたが、一目散に逃げず、嫌々逃げる感じだ。
やはり馬鹿なのかと思う。
冨田さんは、その大きなカマキリを掴んでいたら、カマキリの首が落ちてしまったが、それでも、触ったらカマを振り上げてきたという。
冨田さんの対談相手の脳科学者が解説してくれたが、虫の場合、脳神経のようなものが全身に分散しているので、そんなことがあるらしい。

冨田さんがそんな話をしたのは、脳の不思議を語るためだった。
冨田さんのお父さんは医者で、家庭も豊かだったが、戦争中は物がなく、冨田さんは中学生の時、天体望遠鏡が欲しかったが、売っていなかったので、自分で作ったらしい。材料は、おじいさんの老眼鏡と虫眼鏡、そして、厚紙だけだった。
小学4年生で天体望遠鏡を従兄に譲ってもらい、天体望遠鏡について少し知ってた私は、当時でも、それがケプラー式望遠鏡だと分かっただろう。
それを進化させたものがガリレイ式望遠鏡で、私が従兄からもらったのは、ニュートン式と言われる反射式望遠鏡だった。現在も、このニュートン式が主流だ。
私もやったが、冨田さんも、その自作天体望遠鏡で、地上のものも見たが、天体望遠鏡では上下が逆になる。
しかし、ずっと見ていたら、やがて、上下が逆という感覚が消えてしまったという。
これに関しては、上下が逆に見える眼鏡をつけて生活する実験が行われ、被験者は、最初は戸惑うが、やがて慣れてしまい、普通に生活出来るようになったという話があり、冨田さんはその実験を中学生の時に、誰にも教わらずにやったわけだ。
脳は、そんなことをやり遂げてしまうのである。
つまり、脳は、人間が楽に活動出来るよう、適応し慣れてしまうよう調整を行うのである。
大金持ちが、何かの出来事で急に貧乏になると、最初こそ辛く感じるが、きっと、脳の適応作用で、やがて貧乏生活に慣れるのだと思う。

高い空
AIアート473
「高い空」
Kay


これは天才発明家の中山正和さんの本で見たが、今の自分と違う状況を想像していたら、現実がその通りになるという、今で言う引き寄せが起こることをよく見たらしい。
これも、脳が想像に適応する働きだが、そのために、脳は外界すら改変してしまうのである。
引き寄せのことなど知らなかった中山さんだが、脳科学や量子力学、あるいは、仏教の経典などを研究しているうちに、そうなることを理屈で説明出来るようになった。
もし、願いが叶った様子を粘り強くイメージ出来れば、確かにその通りになる。
この方法は、あまりうまくいった人がおらず、私もあまり好きではないが、深呼吸し、薄目で見ることをやっていれば、割合に簡単に実現してしまう。
ただし、この方法で叶えるのは、人生がかかったような深刻なことではなく、ちょっとしたことが良いと思う。
そして、そんなことであれば、経験上、やはり簡単に実現すると思う。








ボーカロイドに見る、現実がSFを超える出来事

私は今日は、初音ミクさんのライブコンサート&企画展である「マジカルミライ」のために、千葉県千葉市美浜区の幕張メッセに来ている。
今年のマジカルミライは10周年となり、「マジカルミライ 10th Anniversary」となっている。
幕張メッセへは、関西の私の家から4時間ほどかかるので、本日は幕張メッセ近くのホテルに宿泊。

初音ミクとは何かというと、本来は、パソコン用の歌声合成ソフトウェアの名称だ。
初音ミクというソフトウェアは、15年前の2007年8月31日に、北海道札幌にあるクリプトン・フューチャー・メディアという会社から発売され、この日が、初音ミクの誕生日とされている。
このソフトウェアには、初音ミクという16歳の少女というキャラクターが設定され、世界中で大人気だ。

楽器の音を電子的に合成するシンセサイザー(昔はアナログ式だった)のことは、ぼんやりとでもご存じの方が多いと思う。
シンセサイザーは1960年代に開発され、製品として発売されたが、当初は、重装備な機械で、非常に高価だった。
1970年頃に、音楽家の冨田勲さんが個人で、モーグ博士が開発したモーグ・シンセサイザーを約1千万円で購入している。
冨田さんは苦労しながらこのシンセサイザーを使いこなし、これによって、世界的ヒットアルバムを数多く制作した。
冨田さんは、1986年の『宇宙とシンセサイザー』という本で、シンセサイザーは、いかなる楽器の音でも・・・ストラディバリの音でも完全に再現出来ると書かれていた。

だから、楽器演奏に関しては、現在では、シンセサイザーが人間を追い越したと言えるかもしれない。
尚、現在は、シンセサイザーは、パソコンソフトで実現されており、無料のものでも、相当な機能があると思う。
つまり、誰でも、かつては王侯貴族でもなければ持てなかったオーケストラを個人で所有出来るようなものだ。

ところが、人間の歌声というのは、楽器とは桁外れに難しいものだった。
『2001年宇宙の旅』(1968)で、HAL9000という人工知能コンピューターが『デイジーベル』という歌を歌うシーンがあるが、それは、2001年なんかではとても無理なことだった(まあ、あの映画の宇宙船も現在でも全く無理だが)。
コンピューターによる歌声合成の研究は、2000年に、ヤマハがバルセロナ(スペイン)のポンペウ・ファブラ大学と共同で開始し、開発されたシステムは「VOCALOID(ボーカロイド)」と名付けられ、2003年に発表された。尚、ここらの経緯はもっと複雑だが、一応、簡単にこう書く。
初音ミクの基本システムは、このVOCALOIDだが、VOCALOIDも初音ミクもどんどん進化していっている。
楽器に比べ、なぜ人間の歌声の合成がかくも難しいのかというと、簡単な言い方をすれば、人間の歌声というものは、数十もの楽器を瞬時に切り替えながら演奏するような複雑なものだからだ。

ところで、VOCALOIDシステムを使った歌声合成ソフトウェアには、クリプトン・フューチャー・メディア社にも、初音ミクの他に、鏡音リン&鏡音レン(2人で1セット)、巡音ルカ、MEIKO、KAITOなどがあり、1st PLACE社にはIA(イア)とONE(オネ)があるし、他にも、世界中に沢山ある。
世界的にも、クリプトン・フューチャー・メディアほど成功した例はないと思うが、ちょっと気が付くことがある。
それは、初音ミクの歌声、巡音ルカの歌声というふうに、歌声合成ソフトウェアごとに、丁度、人間のように歌声の性質が決まっていることだ。
だが、いずれは、1つのソフトウェアで、いろいろな声の歌声を発したり、声の質の調整や、あるいは、新しい声を作ることも出来るようになるだろう。
現在の歌声合成ソフトウェアは、人間の声をサンプリングしているので、サンプリングした人間の声に似ているのである。
しかし、AIがインターネット上の歌声・・・たとえば、YouTube動画の歌声を学習すれば、いずれは、あらゆる歌声を作れるようになる。
それが何年後かは分からないが、収穫加速の法則といって、テクノロジーの進歩の速度はどんどん速くなるので、思いのほか早く実現するかもしれない。
1960年代のモノクロアニメで、人間の少女そっくりに作られたロボットが、元の少女の声を聞いて、それを真似、やがて、全く同じ声を出すという場面があった。
そんな空想が現実になるのに随分時間がかかるものだが、SFの出来事の多くが、これからもどんどん実現していくだろう。

尚、下の一番最後にご紹介した『楽しいAI体験から始める機械学習』は私の著書で、初音ミクを含め、テクノロジーの進歩がもたらす世界の変革について少し述べた(最終章コラム)。よろしければ、ご一読願いたい。








地球は誰のものか

冨田勲さん制作で、初音ミクさんが主役歌手の『イーハトーヴ交響曲』は、 2012年11月23日に東京オペラシティコンサートホールで初公演が行われ、翌2013年には、全国5カ所で公演が行われた。
私は、2013年の最終公演である、9月21日のオリックス劇場での公演に行ったが、演奏後に舞台に上がられた冨田勲さんのお話の中で、その日が、宮沢賢治没80周年であることを知らされた。
『イーハトーヴ交響曲』は、冨田勲さんが宮沢賢治の世界観を音楽で表現することを60年もの間考え続けて作られた作品であるらしい。
私は、2014年8月19日の、大阪・中之島フェスティバルホールで公演された、大阪芸術大学の演奏による『イーハトーヴ交響曲』も観劇し、この時も、冨田勲さんが登壇された。
私は、2016年11月12日に、その年の5月5日に亡くなられた冨田勲さんの遺作となった『ドクター・コッぺリウス』を、東京渋谷のBUNKAMURAオーチャードホールに観劇に行ったが、この時、第1部として、再度『イーハトーヴ交響曲』を聴くことが出来た。

ところで、『イーハトーヴ交響曲』演奏後のアンコール曲は、本来は、冨田勲さんが作曲した、手塚治虫さん原作のアニメ『リボンの騎士』の主題歌『リボンの騎士』と、1970年から1975年に渡って放送されたNHK番組『70年代われらの世界』の主題歌『青い地球は誰のもの』である。

前振りが長くなったが、話題にしたいのは、その『青い地球は誰のもの』だ。
この曲は、ひたすら、「青い地球は誰のもの」と繰り返す、非常に珍しい楽曲である。
つまり、「青い地球は誰のもの」と問い続け、答は言わないのである。
答は、聴く人、あるいは、全人類に問うているのかもしれない。
いや・・・地球以外の存在に対してもか?

今朝、手塚治虫さんの漫画『マグマ大使』の話をしたが、この中に、まさに「地球は誰のもの?」という問いがあり、その答が非常に印象的だった。
この漫画の中で、地球は、アースという神のごとき存在が創ったことになっている。
だが、ゴアという、アースと同種とも言える存在が、地球を侵略しようとし、それに対し、アースが作った3人のロケット人が、まもる達地球人と協力してゴアと戦う。
だが、不毛な戦いに疲れたアースはゴアに提案する。
「カオス様の裁きにまかせよう」
カオスとは、宇宙万物の創造神で、アースやゴアよりはるかに上の存在だ。
さすがのゴアもビビるが、受けて立つこととした。
カオスは既に状況を把握していた。
アースの報告では、アースが作った地球を、ゴアが不当に侵略し、わが物にしようとしているのだから、ゴアの非は明確である。
だが、ゴアは反論する。
「確かに地球はアースが作った。だからといって、地球がアースのものというわけではない」
これに関し、ゴアは、こんなたとえ話をする。
「砂浜で子供が砂山を作って遊んでいました。そこに別の子供が来て、一緒にその砂山で遊ぼうとしたら、砂山を作った子は、これは自分のものだから駄目だと言います。しかし、後から来た子は、砂山を作ったのは君だが、砂はみんなのものだと言います。その通りではないでしょうか?同様に、地球はアースが作ったとはいえ、素材である原子はアースのものではありません。カオス様のものです。よって、アースに所有権はありません」
そして、カオスは判決を下す。
「ゴアの言い分が正しい」

現在、ロシアがウクライナに侵攻し、ウクライナ人は、自分達の国を守ろうと戦っている。
また、日本はロシアと北方領土の所有権で、また、中国と尖閣諸島、韓国と竹島の所有権で争っている。

確かに今、日本人が、「日本は日本人のものと言えるのか?誰のものでもないのではないか?」などと言ったら、第二次世界大戦中と変わらず、非国民のレッテルを貼られるか、良くても「社会不適合なほどの馬鹿」と見なされるだろう。
思想の自由と言ったところで、「では自由に、日本は本当は誰のものでもないと考えます」という「思想の自由」はないのである。
また、地球が宇宙人に侵略されるSFは沢山あるが、それらでは、「地球は地球人類のもの」ということが大前提となっている。
これに疑問をはさむことは許されない。
もちろん、悪意ある相手がいる限りは、防衛力を持つ必要があり、侵略者とは戦わないといけない。
だが、本当のところは、地球も、日本も、ロシアも、アメリカも、ウクライナも、誰のものでもない。
だから、「青い地球は誰のもの」と、「青い地球」と聞かれたならば、「誰のものでもない」としか答えられない。








プロフィール
名前:Kay(ケイ)
・SE、プログラマー
・初音ミクさんのファン
◆AI&教育blog:メディアの風
◆著書『楽しいAI体験から始める機械学習』(技術評論社)


当ブログは第1期ライブドア奨学生ブログです。
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