能力はさして変わらないのに、うまくいく者とそうでない者がいる。
うまくいく者には、幸運の星みたいなものがあるのかというと、そうかもしれない。
『星のない男(Man Without a Star)』という1955年の西部劇映画があり、かなりの傑作と思うが、DVD、blu-ray化されたのは(日本では)割と最近だ。
(監督は、「西部劇の神様」と言われたキング・ヴィダー)
その映画の中で、カーク・ダグラス演じる、流れ者の凄腕ガンマン、デンプシー・レイが言う。
「誰でも1つずつ星を持っている。だが、俺の星はない」
ツイてない男の泣き言のようにも聞こえるが、デンプシーは極めて強い男だ。
しかし、そう言わざるを得ないのだろう。

星とは、ゲームでいうところのラッキーアイテムのようなものかもしれないが、なるほど、まるで、そんなものを持って生まれてきたような者がいる。
逆に、そんなものに全く縁がないとしか思えない、どう見ても見込みのないヤツがいる・・・本当にいる。

だが、星なんてものは、トランプのハートのエースに過ぎないのだ。
めくり続ければ、必ず出てくる。
だから、ハートのエースが出てくるまでめくれば良いだけのことだ。
ただ、人生というゲームのトランプは、ジョーカーを入れて53枚なんてものではなく、もっともっと多い。
もちろん、それでも、1枚目で当たる場合もあるが、いつまでも当たらず、永遠に当たらないと思うこともある。
当たる時には当たる・・・としか言いようがない。
だが、当たると信じて、めくり続けるしかない。

滅多にやれることではないが、サイコロを数千回も振ると、不思議なことに、「次は3だ」って、妙な確信がある時があり、本当に3が出る。
ギャンブルを長くやっている人には、例えば、ルーレットの目をなぜか確信を持って予測出来、実際、その通りの目が出たという経験を持つ者が結構いる。
その時の感覚を覚えていれば、トランプのカードが全部、ハートのエースになる。
腕振り運動を、合計して何万回とか何十万回とかやると、ゾクッとする1回が来る。
それが来たら、もう何をやってもうまくいく。
腕振り運動で難病が治ってしまった人って、その1回を捕まえた者なのだ。
念仏でもそうで、毎日決まった時間、何か月も唱えていたら、不意に、世界が自分の内側にあるという感覚を掴んでしまった人がいて、それ以来、全く不安がなくなってしまったらしい。つまり、何でも思い通りになるのだろう。

デンプシー・レイは、若い時に、繰り返しが出来なくなるほど、辛い目に遭ってしまい、現実から目を背けて流れ者になった。
だが、何があろうと、トランプをめくることを諦めてはならないのだ。
腕振り運動をしていると、それが分かってくるし、不意に輝く星を掴む時が来る。それがいつになるかは分からないが、せいぜいが数十万回程度だ。
あなたは、めくり足りなかっただけなのだ。