何度かご紹介した、教育学者の七田眞さんの著書に書かれていた奇跡の口癖(これをずっと唱えていたホームレスが宝くじで1憶円を2回当てた)「神様の奇跡が起こる」は、人によっては馬鹿げていると思うかもしれないが、私は理に適っていると思う。
エミール・クーエの有名な自己暗示「毎日、あらゆる面で私はますます向上していく」と似た面もあるが、むしろ、「神様の奇跡」の方が少なくとも日本人には合っていると思う。
ところで、この「神様の奇跡が起こる」で、ちょっと気になることを思い出す。
Mitchie Mさんによる初音ミクさんの歌『FREELY TOMORROW』の中で、「奇跡は起きる」と歌われていることである。
これは、考えてみると、意外と面白いし重要だ。
1億円の口癖「神様の奇跡が起こる」
FREELY TOMORROW「奇跡は起きる」
まず、最初に言っておくと、日本語的にはどちらも正しい。
NHK放送文化研究所の「最近気になる放送用語」の「起きる?起こる?」によれば、元々は、
人・動物が主語の場合「起きる」(例:早く起きる子供)
出来事が主語の場合「起こる」(例:偏食が原因で起こる病気)
であったようだ。
ただ、「早く起こる子供」は駄目だが、「偏食が原因で起きる病気」は問題ない。
「早く起きる子供」で、どうしても「起こる」を使いたければ、「子供の早起き」を主語にし、「子供の早起きが起こった」とでも言うしかない。
そもそも、「起きる」とは、横になった状態から縦になる(上半身を起こしたり、立ち上がったりする)ことで、病気、地震、台風の「起きる」は「発生する」という意味である。
「起きる」は、本来は、「起き上がる」専用。
「起こる」は、「発生する」「生じる」「芽生える」「産まれ出でる」等の言葉を代用する。
「奇跡が起きる」には、少し、人為的な雰囲気があると思う。
一方、「奇跡が起こる」には、非常に珍しいことが偶然起こった、あるいは、神様が起こしたという印象があるのではないかと思う。
例えば、正義のヒーローが、絶対勝てないと思える強い悪に立ち向かい、奇跡の勝利を得た場合、「奇跡が起こった」では、全くの偶然の勝利のように感じ、頑張った正義のヒーローに対し、失礼かもしれない。
だが、「奇跡が起きた」なら、正義のヒーローの頑張りがあってこそという意味合いが感じられるような気がする。
まあ、これも微妙なのだが。
まとめると、私見かもしれないが、
「奇跡が起きる」=「人と神の共同作業」
「奇跡が起こる」=「神の業」
と思えるのである。
1億円を当てたホームレスは、自分は何もせず、ただ「神様の奇跡が起こる」と唱えていたので、仏教でいう「絶対他力」であり、まさに、「神様の奇跡が起こる」が合う。
一方、『FREELY TOMORROW』の「奇跡は起きる」は、特にミクさんのような溌溂とした少女が歌っていると、人間も頑張っているのだと感じるし、歌全体を聴いてもそう感じるように思う。
口癖にする場合、完全に神にまかせるなら「神様の奇跡が起こる」「神様の奇跡」、神と自分とのパートナーシップを想う場合は「神様の奇跡が起きる」「奇跡は起きる」で良いかもしれない。
そういったこと(自分と神の協力関係)を感じる話がある。
ザ・ケルン・コンサートだ。
1975年にドイツのケルンで行われた、ジャズピアニスト、キース・ジャレットのピアノソロ演奏会である。
この時、ジャレットはスイスのチューリッヒから563キロを5時間かけて運転してきたばかりで、しかも、数日間の不眠もあって、体調は最悪だった。
さらに、演奏用に用意されていた、会場の広いオペラハウスに合わない小さなピアノは壊れていて、高音部と黒盤とペダルは使えなかった(手違いで正式のピアノが届かず、そこにあったこのピアノしかなかった)。
ジャレットはそのピアノを見て、いったんは演奏を断ったが、主催した少女の立場を思いやって気力を奮い起こした。
ジャレットは、この小さなピアノで大きな音を出すために、中腰で力強く鍵盤を叩かなければならなかった。
だが、演奏が始まると、すぐに、奇跡が起きていることが分かった。
この演奏の録音こそが、400万枚を売り上げた、最も成功したジャズのソロアルバムである。
偶然に奇跡が起こったのではないし、ジャレットが奇跡を起こした訳でもない。
ジャレットに神が味方して起こった奇跡・・・奇跡が起きたのである。
初音ミクさんが歌う『FREELY TOMORROW』にも、私はそんなことを感じる。
2011年8月20日、『FREELY TOMORROW』は、初音ミクさんのよく知られた静止画1枚だけの動画としてニコニコ動画に登場し、わずか20日と6時間ほどで100万回再生したのは、2017年7月にハチさん(米津玄師さん)の、「マジカルミライ2017」のテーマ曲として大いに宣伝されたアニメーション付の『砂の惑星』が記録更新するまでの約6年の間、最速記録だった。
『FREELY TOMORROW』はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスにより、著作権者により利用を許可されている。
FREELY TOMORROW (楽曲ファイルの無料入手もこちらから)
以下に、 Mitchie Mさんの最新アルバム『バーチャル・ポップスター』と、初音ミクさんがライブで『FREELY TOMORROW』を歌う『マジカルミライ2014』をご紹介しておく。
エミール・クーエの有名な自己暗示「毎日、あらゆる面で私はますます向上していく」と似た面もあるが、むしろ、「神様の奇跡」の方が少なくとも日本人には合っていると思う。
ところで、この「神様の奇跡が起こる」で、ちょっと気になることを思い出す。
Mitchie Mさんによる初音ミクさんの歌『FREELY TOMORROW』の中で、「奇跡は起きる」と歌われていることである。
これは、考えてみると、意外と面白いし重要だ。
1億円の口癖「神様の奇跡が起こる」
FREELY TOMORROW「奇跡は起きる」
まず、最初に言っておくと、日本語的にはどちらも正しい。
NHK放送文化研究所の「最近気になる放送用語」の「起きる?起こる?」によれば、元々は、
人・動物が主語の場合「起きる」(例:早く起きる子供)
出来事が主語の場合「起こる」(例:偏食が原因で起こる病気)
であったようだ。
ただ、「早く起こる子供」は駄目だが、「偏食が原因で起きる病気」は問題ない。
「早く起きる子供」で、どうしても「起こる」を使いたければ、「子供の早起き」を主語にし、「子供の早起きが起こった」とでも言うしかない。
そもそも、「起きる」とは、横になった状態から縦になる(上半身を起こしたり、立ち上がったりする)ことで、病気、地震、台風の「起きる」は「発生する」という意味である。
「起きる」は、本来は、「起き上がる」専用。
「起こる」は、「発生する」「生じる」「芽生える」「産まれ出でる」等の言葉を代用する。
「奇跡が起きる」には、少し、人為的な雰囲気があると思う。
一方、「奇跡が起こる」には、非常に珍しいことが偶然起こった、あるいは、神様が起こしたという印象があるのではないかと思う。
例えば、正義のヒーローが、絶対勝てないと思える強い悪に立ち向かい、奇跡の勝利を得た場合、「奇跡が起こった」では、全くの偶然の勝利のように感じ、頑張った正義のヒーローに対し、失礼かもしれない。
だが、「奇跡が起きた」なら、正義のヒーローの頑張りがあってこそという意味合いが感じられるような気がする。
まあ、これも微妙なのだが。
まとめると、私見かもしれないが、
「奇跡が起きる」=「人と神の共同作業」
「奇跡が起こる」=「神の業」
と思えるのである。
1億円を当てたホームレスは、自分は何もせず、ただ「神様の奇跡が起こる」と唱えていたので、仏教でいう「絶対他力」であり、まさに、「神様の奇跡が起こる」が合う。
一方、『FREELY TOMORROW』の「奇跡は起きる」は、特にミクさんのような溌溂とした少女が歌っていると、人間も頑張っているのだと感じるし、歌全体を聴いてもそう感じるように思う。
口癖にする場合、完全に神にまかせるなら「神様の奇跡が起こる」「神様の奇跡」、神と自分とのパートナーシップを想う場合は「神様の奇跡が起きる」「奇跡は起きる」で良いかもしれない。
そういったこと(自分と神の協力関係)を感じる話がある。
ザ・ケルン・コンサートだ。
1975年にドイツのケルンで行われた、ジャズピアニスト、キース・ジャレットのピアノソロ演奏会である。
この時、ジャレットはスイスのチューリッヒから563キロを5時間かけて運転してきたばかりで、しかも、数日間の不眠もあって、体調は最悪だった。
さらに、演奏用に用意されていた、会場の広いオペラハウスに合わない小さなピアノは壊れていて、高音部と黒盤とペダルは使えなかった(手違いで正式のピアノが届かず、そこにあったこのピアノしかなかった)。
ジャレットはそのピアノを見て、いったんは演奏を断ったが、主催した少女の立場を思いやって気力を奮い起こした。
ジャレットは、この小さなピアノで大きな音を出すために、中腰で力強く鍵盤を叩かなければならなかった。
だが、演奏が始まると、すぐに、奇跡が起きていることが分かった。
この演奏の録音こそが、400万枚を売り上げた、最も成功したジャズのソロアルバムである。
偶然に奇跡が起こったのではないし、ジャレットが奇跡を起こした訳でもない。
ジャレットに神が味方して起こった奇跡・・・奇跡が起きたのである。
初音ミクさんが歌う『FREELY TOMORROW』にも、私はそんなことを感じる。
2011年8月20日、『FREELY TOMORROW』は、初音ミクさんのよく知られた静止画1枚だけの動画としてニコニコ動画に登場し、わずか20日と6時間ほどで100万回再生したのは、2017年7月にハチさん(米津玄師さん)の、「マジカルミライ2017」のテーマ曲として大いに宣伝されたアニメーション付の『砂の惑星』が記録更新するまでの約6年の間、最速記録だった。
『FREELY TOMORROW』はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスにより、著作権者により利用を許可されている。
FREELY TOMORROW (楽曲ファイルの無料入手もこちらから)
以下に、 Mitchie Mさんの最新アルバム『バーチャル・ポップスター』と、初音ミクさんがライブで『FREELY TOMORROW』を歌う『マジカルミライ2014』をご紹介しておく。