童話の『シンデレラ(灰かぶり姫)』では、魔法使いは、シンデレラのボロボロの古着を美しい高級な衣装に変え、ネズミを立派な黒い馬に変え、カボチャを豪華な馬車に変えた。
しかし、たとえば、馬車について言えば、馬車の車輪1つ作るにも熟練の技術が必要なのに、そんなものが、技術的なことを知っているとも思えない魔法使いの魔法で一瞬で作られることは不合理なことだと、私は子供の時でも思った。
1966年のアニメ『魔法使いサリー』のオープニングで、少女(小学5年生)の魔法使いであるサリーが、木の切り株に魔法をかけると、それが見る見る豪華な屋敷に変わる有名な場面があるが、家なんて複雑で精密な技術やノウハウが集まったものなのだから、魔法とは、恐ろしくも強大な力であると思わざるを得ないのである。
そして、『ヒマラヤ聖者の生活探求』の中で、ヒマラヤ大師達の母親(少女にしか見えない)が、瀕死の怪我を負った幼い少年を一瞬で完全に治癒させ、さらに、この少年が住んいるあばら家を、新しい快適な家に一瞬で変えてしまう話がある。
こんな話が数多く収められたこの書を胡散臭く思う者は多い。

しかし、これらは、AI分野で現在注目されている「プロンプトエンジニアリング」と呼ばれるものに近い。
「プロンプトエンジニアリング」とは、言葉で指示を出して、AIにものを作らせるというものだ。
現在、プロンプトエンジニアリングで可能なこととしては、AIによるイラスト作成がある。
たとえば、「白いパラソルを持った、15歳のセーラー服を着た少女の絵を描け」とAIに指示を出すと、見事なそんな絵を描いてくれる。
実際には、うまく指示を出すほど良い絵が描かれ、プロ並み、あるいは、それ以上の出来になることもある。
今のところ、イラストの他に、音楽や文章などでも発達しているようだが、いずれは、あらゆることで、プロンプトエンジニアリングが実現する。
建築でも、設計においては、素人が言葉で指示を出せば、AIにより、一流のプロの技術と高度なセンスを持って、短時間で設計が行われるようになる。
さらには、かなり先のことかもしれないが、ロボットによる自動建築作業も可能になると思う。
それは、医療、ファッション、料理、教育、その他、あらゆる分野で実現する。
そうなれば、『シンデレラ』や『魔法使いサリー』や『ヒマラヤ聖者の生活探求』のようなことが、現実になる。

物理世界のことに関しては、これらの実現には、かなり高いハードルがあるが、コンピューターゲームのようなVR世界に関しては、現在でも実現が可能で、精度を問わなければ、メタ・バース世界で既にかなりのことが行われている。
そして、我々のこの世界が、実は三次元仮想世界であるメタ・バースであるという「シミュレーション仮説」を、多くの優秀な人達が支持するようになってきた。
つまり、我々に出来ないだけで、『シンデレラ』のような魔法は、実は、今すぐ、完全に可能かもしれないのである。
私は、それが事実である可能性は極めて高いと考える。
そして、そういった魔法のようなことは、必ずしも我々に無縁ではなく、やり方さえ分かれば、かなり自然に行えるのだと思う。
私は、そのごく一端かもしれないが、確実に実践したことがあると思っている。
やり方だって、実験と検証の結果として、ある程度のことは分かるのである。
まずは、そんな事実だけでも、理解しておくと良いと思う。