コンピューターの仕組みの基本が2進数だということはご存知かもしれない。
どんなプログラム、文書、あるいは、信号も、全て、実際の中身は、0か1(オフかオン)である。
初音ミクの『えれくとりっく・えんじぇぅ』(作詞、作曲、編曲:ヤスオP)という歌で、

0と1しか分からない
ワタシに"I"を教えてくれた

とあるのも、ミクがコンピューターソフトウェアであることと、彼女が自分の使い手である人間と関係することで“I”という何か(「愛」かもしれないが分からない)が生まれたというのだと思う。
私は、これが“I”でなくて、“h”というのもあったかもしれないと思う。
ただ、h(エッチ)では、歌で歌うと(歌でもなくても)妙な誤解をされかねない。
「0と1しか分からないワタシに『エッチ』を教えてくれた」では、あまりに何である。
ところで、このhは、ドイツ語のHilfs(補助的な)・・・というより、プランク定数hである。

私に分かる範囲であるから、全然難しいことではない。
コンピューターに対比されることもある人間の脳も、そして、自然全体も2進数で成り立っていると見ることもできる。
しかし、自然界は、0と1よりも、もっと「奇妙な2項対立」で出来ていると気付いた人がいて、逆にそれがコンピューターの方にもたらされ、量子コンピューターという、従来の2進数コンピューターとは比較にならない超高速コンピューターが作られようとしている。

初音ミクの『イニシエーション』(作詞:東浩紀、作曲:渋谷慶一郎)という歌(こちらはプロの作品)に、

ゼロとすべての二項対立(バイナリ)
どちらかだけでは
ふたりのねじれた運命、絶対もう動くことない

とある。
作詞者の東浩紀さんは、難しい論理学や社会学、哲学を研究して、東大で博士号を取っているらしい。
東さんがどんな意味で作られたかは分からないが、プランク定数は、神が自然界に定めたある制約であり、ゼロと無限の2項対立を生み出すものだ。

いや、難しい話ではない。
私自身、難しい話は全く苦手だ。
これに関し、最近、電子書籍で復活した、猪木正文さんの名著『数式を使わない物理学入門』に、猪木さんが湯川秀樹博士を爆笑させた「2項対立」のお話がある。
こんな話だ。
法律で、奥さんの数と子供の数を掛けた数を6と制限すれば、奥さんの数が1なら子供は6人まで、奥さんが2人なら子供は3人までとなる。
だが、子供が不要(数が0)なら、奥さんは無限に持て、逆に、子供を無限に持ちたければ、奥さんは持てない(しかし、「彼女」に関しては何も問われない)。
これは、あくまで、プランク定数によって導かれる不確定性理論を使った冗談であるが、心を広くして考えると、何かを感じるものである。

ちなみに、プランク定数を真っ先に適用したのはアインシュタイン博士で、その光量子仮説の研究でノーベル賞を受賞した。
アインシュタインが1905年に、この光量子仮説を発表してから20年後の1925年に、ハイゼンベルクがプランク定数を使って不確定性理論を発表した。
だが、どういう訳か、アインシュタインは生涯、不確定性理論に反対の立場を取った。
アインシュタインは、不確定性理論はもちろん、自身の光量子仮説も含むはずの量子力学を認めなかった。
これに関し、インドの思想家ラメッシ・バルセカールは、こんなことを書いている。
アインシュタインは、「私だって、頭では量子力学が正しいことは分かるんだ。だが、18歳までに持ってしまった偏見によって、どうしてもこれを認めたくないんだ」と言ったらしいのだ。
これに関する、アインシュタインの有名な言葉が、「神はサイコロを振らない」だ。
だが、科学というものは絶対に幻想なのである。
もし、物理学の体系が、現在のものとは別の幻想の上に築かれていたなら、アインシュタインはもっと偉大なことに気付いたに違いないのだ。
彼の偏見が影響しない幻想であればね。

でも、やはり、h(エッチ)よりI(アイ)が偉大なのかもしれない。
いや、プランク定数は神の愛なのかもしれない。
だとすれば、愛とエッチは等価である。

猪木正文さんの『数式を使わない物理学入門』は、電子書籍と紙の本の順番でご紹介しておく。
宇宙の神秘を、物理や数学が苦手でも科学で解き明かしたいなら、是非お薦めする。









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