ビル・ゲイツが2008年にマイクロソフトの仕事から引退した時はまだ52歳だったが、その時彼は言ったものだ。「17歳の時から、週7日、フルタイムで働いてきた。これからもそうだ」と。
彼は常々、「自分達が成功したのは、一生懸命働いたからだ」と言っていた。それは昔、パソコン用OSの開発でゲイツのライバルであり、実際上、一歩先を行っていたデジタルリサーチ社のゲイリー・キルドールに勝った要因だったということだ。キルドールは、ゲイツ達と競っている最中にも遊びに熱中し、IBMがパソコン事業に参画した際、そのOSを提供するという最大のチャンスをゲイツに奪われてしまった。そのキルドールが事故で亡くなったのが1994年で、その時の彼が52歳だった。

ゲイツに限らず、起業家で成功した者で、長時間働いていなかった者は稀だろう。いや、事業家に限らず、サラリーマンでなければ、多くは、ある期間、つまり、収入が安定するまではフルタイムで働いているものだし、本来、サラリーマンでも、仕事が出来るようになるまでは、休みは無いのが正しいのだろうと思う。だが、もう随分前から、新入社員の頃から、実際の生産活動は何もしていないに関わらず、決まった時間しか働かないのが自分の権利であるように思うのが普通になってしまったようだ。元々、日本の経済力というのは、サラリーマンの長時間労働が生み出したもので、制度的にもそれが出来ないようになった今、ビジネスや政治の仕組みを変えないなら破綻するのは当然のことである。

サラリーマンになったら、定時までは会社の仕事をすれば良いが、それ以降は、その会社の経営者になるのでもない限り、別の活動をすべきなのである。勤めている会社の定時以降に仕事をする自分の会社を作ったり、画家になるために絵を描くなどである。ところが、多くの者が、定時以降は遊んでしまい、会社を取れば、事実上、何も残らない人間になってしまったのだ。
以前、テレビで見たが、ある男性高校教師が、『スター・ウォーズ』の熱狂的ファンで、それに関するあらゆるものを収集するなどに、金と時間を惜しみなく注ぎ込んでいた。彼は、「起きている時間の全てをスター・ウォーズに捧げている」と言っていた。他人のやることをとやかく言うものではない。しかし、彼は、『スター・ウォーズ』というジョージ・ルーカスが創った幻想に取り込まれただけである。どうせなら、自分自身で創った幻想に全てを注いだ方が良いのだろう。

「お前が造った世界など、俺は欲しくない。俺は俺の手で、新しい世界を造ってみせる」
「ならば、死ね」
~「キャシャーン」(1993)より。キャシャーンとブライキング・ボスの会話~
※全4話のこの作品は、個人的には、アニメ史上屈指の傑作と思う。

仕事が出来るようになったら、例えば会社が午後5時までなら、6時からは自分の活動の予定を立て、会社は定時で帰ることだ。そして、会社を作る方も、そんな社員で成り立つ会社にしなければならない。社員はロボットと心得、社員に能力を求めてはならない。能力のある社員なら辞めるし、残る社員といいうのは、能力が無いから残るのだ。能力の無い社員を路頭に迷わせないのが経営者の義務だし、社員の方も、能力が無いことを自覚して、定時までは誠実に仕事をするしかない。そういったことが出来ていないから、今の多くの会社やサラリーマンが悲惨な状態にあるのだろう。









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