昨日、私は幼稚園の時、自分の上空を飛んでいる旅客機に乗っている人達と一生会うことはないことを悲しく思ったという話を書いた。
そして、その想いは誤解で、その飛行機の乗客達に会っていることが明確に分かって安心したということも述べた。
しかし、実は、私は、十数年前から、飛行機の乗客達のことより、もっと心残りなことがあった。
有名な童話作家であるハンス・クリスチャン・アンデルセンは、作家・詩人として成功した後、ヨーロッパ中を広く旅行していた。
成功したと言っても、今のような著作権とか印税とかいったものはなく、作家としての収入は知れていたが、作品の評価により、デンマーク国家から生涯年金を得ることが出来た(大した額ではないが)ので、働く必要がなかった。
それで、アンデルセンは、ヨーロッパ中を放浪の旅をしていたのだが、鉄道や客船などはあったらしいが、快適な旅や宿泊が出来る時代では全くなかったはずだ。
それでも、アンデルセンは旅をせずにいられなかったのだ。なぜかは分からないが。
それで、アンデルセンがスペインに行った時、おそらく、生涯忘れられない出会いがあった。
それは、神殿の石段に座っていた、粗末な服を着た、貧しい黒い髪の少女だ。
彼女の歳は11歳くらいだが、アンデルセンは、彼女を美の女神の化身とまで書いている。
それほどの美少女だったが、彼女は盲目だった。
アンデルセンは、『即興詩人』という小説で、その少女をモデルにしたララという名の、やはり盲目で貧しいが絶世の美少女を登場させ、自分を投影した主人公に、彼女に銀貨の施しをさせている。
アンデルセン自身は、あの少女に施しをすることが出来なかったのだ。

AIアート75
「お姫様」
Kay
私は、アンデルセンの自伝で、その少女のことを読んだ後、彼女がその後、どんな生涯を送ったのかという想いが、頭を離れなくなった。
もちろん、それはさっぱり分からないことだし、何の記録も残っていないだろう。
だが、私は、あの旅客機の乗客のこと以上に、彼女のことが分からないことを理不尽に感じた。
「そんな馬鹿な!」である。
だが、やはり、彼女のことも分かったのだ。
彼女を構成していた電子は全て、私を構成している電子でもあるのだから。
ひろさちや氏の本に書かれていたが、ソクラテスの身体を構成したことがある原子を、我々は皆、10万個程度は持っていると、科学者が計算したことがあるらしい。
しかし、そんなものとはレベルが違う。
ララのモデルになった少女を構成していた電子と私を構成している電子は、そっくり同じなのだ。
なぜなら、この宇宙に電子は1個しかなく、その電子は、過去、現在、未来を通して同じものだからだ。
そして、電子はタイムトラベルする。
だから、今でも、私は彼女と一心同体である。
それが分かって、私は安心することが出来たのである。
尚、『即興詩人』を森鴎外訳で読むことはお奨めしない。
彼の格調高い文語訳は、私にはさっぱり読解出来なかった。
よほど文語に慣れた人でない限り、避けた方が良いと思う。
そして、その想いは誤解で、その飛行機の乗客達に会っていることが明確に分かって安心したということも述べた。
しかし、実は、私は、十数年前から、飛行機の乗客達のことより、もっと心残りなことがあった。
有名な童話作家であるハンス・クリスチャン・アンデルセンは、作家・詩人として成功した後、ヨーロッパ中を広く旅行していた。
成功したと言っても、今のような著作権とか印税とかいったものはなく、作家としての収入は知れていたが、作品の評価により、デンマーク国家から生涯年金を得ることが出来た(大した額ではないが)ので、働く必要がなかった。
それで、アンデルセンは、ヨーロッパ中を放浪の旅をしていたのだが、鉄道や客船などはあったらしいが、快適な旅や宿泊が出来る時代では全くなかったはずだ。
それでも、アンデルセンは旅をせずにいられなかったのだ。なぜかは分からないが。
それで、アンデルセンがスペインに行った時、おそらく、生涯忘れられない出会いがあった。
それは、神殿の石段に座っていた、粗末な服を着た、貧しい黒い髪の少女だ。
彼女の歳は11歳くらいだが、アンデルセンは、彼女を美の女神の化身とまで書いている。
それほどの美少女だったが、彼女は盲目だった。
アンデルセンは、『即興詩人』という小説で、その少女をモデルにしたララという名の、やはり盲目で貧しいが絶世の美少女を登場させ、自分を投影した主人公に、彼女に銀貨の施しをさせている。
アンデルセン自身は、あの少女に施しをすることが出来なかったのだ。

AIアート75
「お姫様」
Kay
私は、アンデルセンの自伝で、その少女のことを読んだ後、彼女がその後、どんな生涯を送ったのかという想いが、頭を離れなくなった。
もちろん、それはさっぱり分からないことだし、何の記録も残っていないだろう。
だが、私は、あの旅客機の乗客のこと以上に、彼女のことが分からないことを理不尽に感じた。
「そんな馬鹿な!」である。
だが、やはり、彼女のことも分かったのだ。
彼女を構成していた電子は全て、私を構成している電子でもあるのだから。
ひろさちや氏の本に書かれていたが、ソクラテスの身体を構成したことがある原子を、我々は皆、10万個程度は持っていると、科学者が計算したことがあるらしい。
しかし、そんなものとはレベルが違う。
ララのモデルになった少女を構成していた電子と私を構成している電子は、そっくり同じなのだ。
なぜなら、この宇宙に電子は1個しかなく、その電子は、過去、現在、未来を通して同じものだからだ。
そして、電子はタイムトラベルする。
だから、今でも、私は彼女と一心同体である。
それが分かって、私は安心することが出来たのである。
尚、『即興詩人』を森鴎外訳で読むことはお奨めしない。
彼の格調高い文語訳は、私にはさっぱり読解出来なかった。
よほど文語に慣れた人でない限り、避けた方が良いと思う。