武術においても、音楽演奏においても、舞踊やダンスにおいても、秘儀中の秘儀とされるものに、思考のスイッチをポンとOFFにするというものがある。
室町時代の猿楽師、世阿弥が知らないはずはないと思い、『風姿花伝』を読んだが、そんなことは書かれていなかった。
至近距離で銃を撃たれたって、それをやれば、弾は飛ばないし、悪魔だって手出しは出来ない。
ただ、矢追純一氏の本を読むと、矢追氏が死のギリギリの場面で、何度も普通にやっている。それで彼は死ななかったわけだが、彼には、どうやら、死の恐怖というものがないらしい。

私が、そのやり方を一番イメージし易いのは、楳図かずおさんの漫画『おろち』の『ふるさと』というお話で、謎の敵(多分、宇宙人だ)に操られた人間の目を、ヒロインのおろちが眩ませるために、それをやった場面だ。
おろちは、全身の力を抜き、考えることを一切止めたのだが、その時の、蝋人形のようになったおろちの姿が、まさにそうだった。
楳図かずおさんという人は、子供の時から天才的な絵を描いたが、シンプルな漫画の絵でも(シンプルだからこそ?)、その深さが伝わった。
余談だが、私は、子供の時から、誰か嫁を1人と言われたら、おろちと思っていた(笑)。

つまるところ、人間が、宇宙との扉を開ける鍵が、それ(思考のスイッチをポンとOFFにする)なのである。
心と呼吸は連動しているので、呼吸を止めれば良いのだが、ただ止めても駄目なのだ。
つまり、思考の流れを止めるように、呼吸の流れを止めるのである。
だから、練習の仕方としては、首から上の筋肉を使わずに呼吸の流れを止めるよう工夫すれば良い。
普段、肺は自動的に呼吸するが、意図的に、肺を膨らませたり、萎めたり出来る。
その要領で、肺への空気の出入りを止めれば良いのである。
簡単なのは、吸い切ってそれ以上、息が入らない状態に留まったり、逆に、吐き切っても呼吸を吸わないという状態だ。
ただし、適度に肺に空気が入った状態で呼吸の流れを止めないといけない。

そして、本番では、思考の流れを止めることで、呼吸が勝手に止まるようでないといけない。
ただ、それは、呼吸の流れを止める練習をすれば、自ずとコツが分かると思う。








  
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