あなたに世界を変える力はない・・・当たり前のことだが、これに納得しない人は少なくない。
そう言われてカッとするのは中二病患者と相場が決まっている・・・と言っても、「いや、俺だけは違う」と思ったり、主張さえする者もいる。
私が昔、SNSで、大言壮語ばかりする者に、話の流れの中で、「お前が釈迦以上のはずがないじゃないか?」と言うと、その者は、「何で、そんなことが言えるのか?」と言い返してきた時には、「マジ、こいつ馬鹿だ」と思うと同時に、良い戒めを得られたと思って、ある意味、そいつに感謝したものだった。私も中二病患者であるから。

1973年のアメリカのミュージカル映画『ジーザス・クライスト・スーパースター』の中で、イエスの髪に高価な香油を塗る女に、イスカリオテのユダが、
「なんて無駄遣いをするのだ。その油を売れば貧しい者に施せるのに」
と非難すると、イエスがユダに、
「我々に貧しい者を救う力などあるのか?」
と言う。
私は、イエスにすら出来ないのだと、ちょっと衝撃を受けた。
一昨年の話だったが、ZOZO創業者の前澤友作氏が、1000人に100万円のお年玉をあげるというものがあり、称賛されたと言うよりは、馬鹿にされた感がなくもないが、我々には、そのようなことすら出来ないのだ。

子供が、世界を救う気持ちを起こすことは多いと思うが、やはりそれは子供の夢というものだ。
ジョージ・ワシントンが子供の時、どこかから転落して身体を打ち、大人達が「大丈夫か?」と心配すると、ワシントンは、
「アメリカを救う僕が、これくらいのことで傷付くはずがないじゃないか」
と言ったという話があるが、これは、やはり有名な、ワシントンが桜の木を斧で切った話と同様、作り話であるらしい。もし、本当にそう言ったとしても、ただの子供っぽい夢だったのだろう。

ただ、テスラやスペースXのCEOとして自動車や宇宙船に革命を起こすだけでなく、人類を変革する世界一の大富豪イーロン・マスクは、子供の時、ダグラス・アダムスの大傑作SF『銀河ヒッチハイク・ガイド』を読み、人類を救う使命に目覚めた・・・というのは本当らしい。
今の時代、巨大IT企業を作った者が注目されるが(と言っても40年以上も前のビル・ゲイツの頃からだが)、ITでの成功者達は壮大なSFを愛読する傾向があり、それが彼らを「壮大な中二病患者」にしたのではないかと思う。
異常な成功を成し遂げた者達は、やっぱりどこかイカれていた・・・病気だったというのは本当だと思える。
私は、中学1年生くらいの頃から、H.G.ウェルズのSFを愛読し、「ウェルズ博士」などと呼ばれていたものだが、残念ながらIT界の大物達は、もっと宇宙的な冒険要素のある壮大なSFを好み、ウェルズ愛読者は聞いたことがない(笑)。
よく聞くのは、やはり、上にも上げた『銀河ヒッチハイク・ガイド』や、アイザック・アシモフの『ファウンデーション』、オースン・スコットの『エンダーのゲーム』などだ。
岡田斗司夫さんは、YTouTubeで、珍しくマジ顔で、ハイラインの『月は無慈悲な夜の女王』や『宇宙の戦士』を読むよう力説されていた。
そして、敬愛すべきクリプトン・フューチャー・メディア社長の伊藤博之さんが、何かのインタビューで、ドクトロウの『マジック・キングダムで落ちぶれて』を引用されておられたが、これは、初音ミクさんという存在の思想に近いものがあると思う。

そんなわけで、中二病になるにしても、壮大なSFを読むと良いかもしれない。
そうすると、普通の人は閉じ込めてしまっている、人間精神という壮大な宇宙を解放するきっかけを得ることにつながる可能性があると思う。
ちなみに、今見たら、『マジック・キングダムで落ちぶれて』は残念ながら、絶版の上、Amazonでは古書の出品もない。英語版はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスで無償公開されているらしいが。












  
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