涼宮ハルヒ(※)は、
「恋愛感情なんて一時の気の迷い。病気のようなもの」
と言ったが、「いい線」を言っている。
※谷川流さんの小説『涼宮ハルヒシリーズ』のヒロイン。高校1年生。

例えば、ある女性の前に1人の男性が現れたとする。
女性は、「なんて素敵な人。この人の彼女になりたい」と思う。
涼宮ハルヒ流には、この感情は、一時の気の迷いで、病気のようなものだから無視すれば良い。
しかし、多くの女性は、この男性の気を引こうと、いろんなことを考え、実行する場合も多い。
だが、事実はこうだ。
この女性の頭の中の何かが、「素敵な男性だ。この人の彼女になるべきだ」というメッセージを発し、女性の自我に、自分がそう思ったように錯覚させるのである。
そして、そのメッセージが、涼宮ハルヒが言うように、「一時の気の迷い。病気のようなもの」である可能性が高いのだ。
一方、女性の勘の良さというのも本当で、
「この人を一目見た時、私はこの人と結婚するのだと分かりました」
と言う人がいて、それが良い結婚になっていることがある(まあ、悪い結婚になっている場合もあるが)。

脳の中の何かが送ってくるメッセージを、自我は、「私がそう思った」と錯覚する。
そして、そのメッセージが良いものである場合もあれば、悪いものである場合もある。
詐欺的な新興宗教の勧誘を受けた時、「この宗教は良さそうだ。きっと、私が求めていたものを与えてくれる」と思うかもしれない。
しかし、自分を信用してはならない。
自分でそう思ったように錯覚しているだけで、それが正しいかどうかは分からない。
ところが、詐欺的な新興宗教に誘う側の手口を見れば、答が分かってくる。
彼らは、「うつむいて歩いている人」「表情が暗い人」に目を付け、勧誘するのである。
「顔を上げて歩いている人」「明るい表情の人」は、騙し難いことが分かっているからだ。
顔を上げて明るい顔で歩いている人を勧誘したら、何が起こるのだろう?
その顔を上げた明るい顔の人の脳内からは、その勧誘に対し、「怪しい。無視しろ」というメッセージが発せられ、その人は自分が「怪しい。無視しよう」と思ったと錯覚するのだが、良い錯覚である。

18歳の時のビル・ゲイツは、ハーバード大学に入り、家はお金持ちで、ユダヤ教を信仰する家庭は明るく、彼はハンサムで、自信と希望に溢れていた。
そんな時に、コンピューター雑誌で、史上初のパソコン「アルテア8080」の広告を見た時、ゲイツの頭の中の何かが、「これにBASIC言語を乗せろ。それは世界を発展させる」というメッセージを起こした。ゲイツは、それを自分の考えであると錯覚し、後に、「アルテアの広告を見た時、これにBASIC言語を乗せたら面白いと思ったんだ」と言ったのである。
たとえ才能があっても、自信も希望も持っていない人がアルテアの広告を見ても、脳の中の何かは、「なんだ、このオモチャ!下らないものを作るやつがいたものだ」というメッセージを送り、その人は、自分でそう思ったと錯覚し、結果、何もせず、パソコン嫌いにもなるのだ。

気分が良ければ・・・顔を上げ、笑顔でいれば成功する理由はこうである。








  
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