何かになりたい時に、それになれる一番簡単で強力な方法は、
「私は〇〇だ」
と宣言することだ。
しかし、これについて、悲惨な間違いがまかり通っている。

例えば、金持ちになりたければ、
「私は金持ちだ」
と宣言すれば、ただちに金持ちになり始める。
しかし、「そんなの、効果ありませんでしたよ」と言う者も多い。
すると、成功法則の本や、かなり有名な自己啓発トレーナーやセミナー講師などが、
「『私は金持ちだ』と、いくら言ったところで、実際はそうではないので、心が『私は本当は貧乏だ』と反発して、葛藤が起こる。そして、結局、『私は貧乏だ』を強く認めることになり、ますます貧乏になる」
などと言ったりする。
あなたも、そんな論を、見たり聞いたりしたことがあるかもしれない。
そう言われると、そんな気がしてくる。
そして、そんな説を唱える者は、
「だから、『私は金持ちだ』ではなく、『私は金持ちになりつつある』と言えば良いのです」
などと言う。

もう、聞いていられないほど馬鹿げた話だ。
「私は金持ちだ」で、心が反発するなら、「私は金持ちになりつつある」でも反発する。いや、むしろ大きく反発するかもしれない。
そもそも、「私は金持ちになりつつある」なんて、いかにも誤魔化そうとする感じの言葉など、言ってて嫌になると思う。

実際、「私は〇〇だ」という宣言は、実に強力なもので、人間に与えられた偉大な魔法なのである。
これを使わないで何とするか。
しかし、こう言うと、
「でも、『私は金持ちだ』と何度言っても、金持ちにならなかったよ」
と言う者がいるだろう。
だが、そんな者達は、何回言っただろうか?
百回?二百回?
せいぜい数千回?
数回とか、数十回なんて者もいるだろう。
それは、バットを数回、数十回振って、一流バッターになれなかったと言うようなものだ。
つまり、単に、数が少ないのである。

本当にそうなりたいなら、常に唱えないといけない。
生活しながら唱えるのではなく、唱えながら生活するようでないといけない。
いつでも、どこでも、どんな時でも唱えないといけない。
それが出来ないなら、本気でないのだ。
無論、実際には、1日1時間でも難しいが、1日10分でかなり唱えている気になる者が多いのである。

そして、重要なことだが、声に出して唱えてはならない。
本やセミナーや自己啓発教材では、
「声に出して言え」
「大きな声で言え」
と言うのが好きなようだ。
しかし、これは悲惨なまでに拙いやり方だ。
確かに、家が大きく、声に出さないと何も伝わらないという認識が強いアメリカでは、それも必要な面もあるかもしれない。
しかし、本当は、アメリカでも、まして、日本では、声に出してはいけない。
大きな声で、力を込めて、情熱的に・・・なんて、まさに、失敗する愚か者を絵に描いたようなものだ。
そんな者の姿を想像すれば、いくら何でも、その滑稽さを感じると思うのだが・・・
まあ、そんなやり方でも、十年もやり続ければ、本当になるかもしれない。しかし、普通は3日(実際は1時間も)続かないし、驚異的な根性がある者でも、せいぜい持って3か月で、しかも、その偉大な根性でもって「やっぱり俺は貧乏だ」という確固たる信念を持つに至るのだ。

唱え方は、心で、丁寧に、おだやかに唱えることだ。
あえてテクニックを言えば、静かに呼吸しながらやることだ。
達人は、微かな呼吸と共にやるが、初めは、微かな呼吸に慣れていないかもしれないので、まずは、静かな呼吸を心がけると良い。
ただし、丁寧に、おだやかに唱えていれば、自ずと呼吸も静かになる。
そして、出来るだけ多く唱えることである。多ければ多いほど良く、それだけ早く成果が現れる。

私は、社会人になって、最初の仕事はセールスマンだった。
駄目なセールスマンだったが、ある日、一流セールスマンが同行してくれたことがある。
1日、私のセールス振りを見た一流セールスマンは、こう言った。
「私のトークとお前のトークに差はない。違いは件数だけだ」
その日は、一流セールスマン同行ということで、多く訪問したが、私の様子を見ていたら、普段はもっともっと少ないというのはバレバレだっただろう。
尚、それで私は、新人ながら、強豪セールスマンを押しのけて、セールスコンテストで優勝したが、元々がセールスマンに向いていないことが分かって、別の仕事に変わったのである。
無理のない範囲で良いが、何でも一度は真剣にやってみるものだ。

また、ある優良企業で、社長が幹部達に向かって訓話をしていた。
その社長が凄い人だということは、皆、認めているので、幹部達は真剣に聞いていた。
「俺とお前達で能力の差はない。違いは素振りの数だ」
その社長は野球ファンだったので、そういう言い方をしたのだろうが、意味は伝わっただろうし、伝わらない者に見込みはないだろう。
イチローと、他のバッター達の差は、素振りの数だけである。
チームラボ社長の猪子寿之氏と、今はドワンゴ社長をしている夏野剛氏の対談書『「大企業の時代」は終わったか』(わずか百円の電子書籍)で、天才と言われる猪子氏は、
「生まれながらの天才はいない。人間の能力に差はない。注ぎ込んだ時間の差だけが結果の違いになる」
といったようなことを語っていたが、物質世界においても、だいたいそうである。
ましてや、物質世界を作り出す精神の世界の領域に影響を与えるには、普通の人間では絶対にそうである(いずれは、一瞬で成し遂げるようになるかもしれないが)。

声を出さずに唱えることの重要性は、ネヴィル・ゴダードの『世界はどうしたってあなたの意のまま』が参考になると思う。








  
このエントリーをはてなブックマークに追加   
人気ランキング参加中です 人気blogランキングへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人生・成功哲学へ