真言というのは、宇宙意識への、確実に届くテレパシーである。
確かに、世界各地の信仰や伝承により、テレパシーを送る相手は異なる。
例えば、シヴァ神であったり大日如来であったり天照大神であったりゼウスであったりだ。
だが、『バガヴァッド・ギーター』の中で、神クリシュナが、こう言っている。
「どの神に祈ろうが、結局は最高神である私に祈っているのである」
このことは、江戸末期の神道家、黒住宗忠のことを考えると、よく分る。
黒住宗忠は、天照大神(アマテラスオオミカミ)を信仰し、天照大神に常に呼びかけ頼っていたが、宗忠は、古事記や日本書紀に登場する女神である天照大神を信仰していたのではなく、天照大神を、太陽神、あるいは、宇宙の根本神としていたのである。
しかし、人間の精神の性質や限界から考え、いったんは神話の女神である天照大神のイメージを通す必要があるのである。
(そこから考えると、天照大神は実は男神であったという説もあるが、いずれでも良いことであると思う)

昔から、神や仏を絵に描いたり、彫刻で作ったりはよく行われ、それが偶像であると言って非難されることがあるが、意識を向ける対象があった方が分かり易いので、少しも悪いことではない。
親鸞だって、本当に仏に姿や大きさや色があるわけではないが、それを示さないと仏をイメージし難いので、仏を、仮に絵や仏像のように考えるのだと言ったのである。

人間は、ビジネス、恋愛、その他あらゆるもの(根本的には人生そのもの)に対し、イメージが必要だし、良いイメージのためにはストーリーが必要だ。
また、そのために、個性的なキャラクターを考え、それをうまく使う能力がある。
これらは、一言で「概念」と呼ばれる、人間が持つ高度な能力だ。
数学者、児童心理学者、コンピューター科学者、AI研究家、そして、数学やプログラミングの教師であり、MITメディア・ラボ(世界最高のデジタル研究所)の創始者であったシーモア・パパートは、人間の最大の力は概念であると言った。
彼は、子供の時から、歯車という機械のパーツを概念としてうまく使ったので、平凡な能力しか持たない自分が、数学などの分野で良い仕事が出来たのだと述べている。
概念こそが、人間が使うべき能力なのだ。
それなら、神や仏の概念は、もっと役に立つかもしれない。
だから、神や仏に個別のキャラクターやストーリーを与えるのは自然に行われたのであるが、優れたストーリーやキャラクターは何千年と受け継がれ、今日の我々もそれらを概念として持っている。
神や仏の概念のストーリーは、単に記憶として伝えられているだけでなく、人類共通の意識である集合意識に、力強いエネルギーとして存在し、悪い使い方をすれば問題もあるが、良い使い方をすれば大変な力を与えてくれる。
そして、この力を使う最高の方法が真言である。

宇宙に意識があることは、科学者も認識しつつあるし、未来の科学(現在の我々の予想とは全く異なるものに違いない)では、それを自然に理解しているだろう。
しかし、遠い過去から、真言は、その巨大な宇宙意識に想いを届けてきたのである。
私は、個人的に、宇宙意識と交信する、いわゆるチャネリングを行うチャネラーの知り合いがいて、彼が話す宇宙語と、その翻訳とを聞かせてもらったことがあり、その内容は、とても個人の作り物とは思えない荘厳なものであったが、その中で、宇宙意識は我々に、「宇宙に向かって想いを投げなさい」と言ったが、その最上の形が真言であると、今では理解している。
個別の願い(金や恋人が欲しい等)を投げても構わないし、投げる側の意識の状態によっては、それは簡単に叶うが、そのようなやり方は難しい場合が多い。
しかし、イエスが言ったように、「神は我々が必要なものなど、とっくにご存じで、良いものを与えてくれないはずがない」のである。
ただ、そのために、想いを投げないといけないが、そのためには真言を唱えれば良いのである。
本来、「南無阿弥陀仏」という念仏、あるいは、真言は、宇宙意識にテレパシーを送る最上の言葉であると思う。
何と言っても、阿弥陀如来の原語であるアミターバは「無量・無限の光」という意味であり、まさに、宇宙意識のことである。
「南無観世音菩薩」は、宇宙意識の力の作用の象徴である観世音菩薩に、その力の行使を訴える言葉とも言え、唱えれば、高い効果があることは、まさに、『法華経』の第25章『観音経』にある通りである。
また、般若心経の呪文は、言葉の響きにより、速やかに意識が宇宙意識に達し、自分の意識と宇宙意識が一体化してしまうことは、般若心経の本文中で保証されているのである。だから、般若心経は、我々は呪文の部分だけを唱えれば良いのである。

真言の力は、どんな考え方で見ても、その威力は絶大で、これを使わないことは何とももったいない。
人間が宇宙や自然の全潜在力に守られ、力を与えられる、最高の、そして、事実上、唯一の方法かもしれない。少なくとも、最も簡単で、誰にでも失敗なく出来る方法であると思う。








  
このエントリーをはてなブックマークに追加   
人気ランキング参加中です 人気blogランキングへ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 人生・成功哲学へ