引き寄せの法則では、叶えたい願望を出来るだけ具体的にするよう言われる。
例えば、お金であれば、具体的金額と、入手期限だ。
これが西洋の成功哲学の大きな特徴なのであるが、なぜ、そうしないといけないのかというと、だいたい次の通りとなる。

(1)目標を明確にするため。
(2)緊張を高めるため。
(3)イメージし易くするため。

(1)であるが、自動車でどこかに行く時、具体的な目的地をはっきりさせないと到着しないのと同様に、具体的な目標が定まらないと目標は達成されないという理屈である。
(3)については、西洋流ではないはずの、合気道家で神道家の佐々木の将人(まさんど)氏も、「金が欲しい時、具体的な金額の札束を思い浮かべた方がリアリティがある」と、これを肯定していた。
だが、数値目標や達成期限に抵抗を感じる人が多いのではないかと思う。
私もそうなのだが、実は、数値目標と達成期限を決めることでうまくいったことがある。
セールスマンをやっていた、それも、駆け出しの頃、セールスコンテストで、売上金額と達成期限を設定したところ、金額も期限もピタリで達成し、セールスコンテストで優勝した。
しかし、その緊張感は、あまり楽しいものではなく、その後、やる気がなくなってしまった。
一言で言うと「しんどい」のである。
それを続けるには、よほどの執念が必要だが、たとえエネルギーがあっても、そんなことをやればやるほど疲弊するように思う。
また、セールスコンテストのように、条件がはっきりしている場合は良いが、やりがいある目標というのは、案外に未知の部分が多いので、目標を立てると、固定観念とか制限といったものが出来てしまうのではないだろうか。

ベルベル・モーアの『その望みは宇宙がかなえてくれる』に面白い話がある。
著者のモーア(女性)は、彼氏を宇宙に注文する際、望みの彼氏の条件として、「ベジタリアン」「太極拳が出来る」「タバコを吸わない」他の具体的条件を上げ、期限も何月何日と決めた。
すると、確かに、期限通りに条件通りの彼氏が出来た。
しかし、すぐ別れた。自分に合ってなかったのだ。
そこで、宇宙に注文し直した。
「私にぴったりの彼氏、頂戴」
今度はうまくいった。

世界的に有名なロンダ・バーンの引き寄せ書『ザ・シークレット』でも、目標金額や入手期限を設定することや、具体的イメージを絵に描いたり、ビジョン・ボード(ボードに、具体的目標を書いた紙や、望みのものに出来るだけ近い写真・絵を貼る)を作れと言うが、ビジョン・ボードでは期限が曖昧な成功事例を取り上げていたり、ある面では明確(彼女が5人欲しいなど)ながら、別の面では曖昧(どんな彼女がいつ出来るか)は問題にしていないなど、矛盾を感じたものだ。
『ザ・シークレット』は、面白いし、参考になるが、混乱させられた人も少なくないのではと思う。
一方、神道と最新テクノロジーから研究を行っている大野靖志氏の『和の成功法則』では、達成期限もビジョン・ボードも、さらには「ワクワク」も全部、明確な理由で否定するが、私には、こちらの方が納得し易かった。
つまり、やはり、それら(期限など)を設定すると、制限をかけてしまうのである。おそらく、それは窮屈で歪(いびつ)さも生むのだと思う。

私は昔、目標設定には数値や期限などの具体性を徹底して設定するという、ある世界的成功プログラムを購入し、そのプログラムの世界的セールスコンテストで優勝したセールスマンや、その人が所属する会社のトップと親しく付き合ったことがある。
しかし、そのセールスマンは、その会社をやめ、その会社の社長もぱっとせず、そもそも、その成功プログラムを開発した世界的成功者も、その実態は決して幸福ではなかった。

明確な目標は必要である。
しかし、特に未熟なうちに目標を具体化すると、やっぱりおかしなことになる。
研究の結果、願望を叶えるのに必要なものは「決心すること」だと分かっている。
そして、期限を決めて緊張するのではなく、ソフトタッチが必要なことは、数日前の記事、「【4月26日】ソフトタッチこそが極意」で説明した。
要は、上で述べた、ベルベル・モーアのように、宇宙に向かって「私にぴったりの彼氏ちょうだい」というノリが良いのだと思う。
ただ、モーアも、期限の設定や具体性は否定していなかったように思うが、彼女は、その後、あまり活躍せず、若くして亡くなっているように思う。
緊張や制限を避け、ゆったりとした気持ちでやることが必要である。
「画家になる」「可愛い彼女を作る」「健康になる」と、軽く決意すると良いのだと思う。








  
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