2006年に、ロンダ・バーンの著書『ザ・シークレット』が出版された後、これが大ブームになり、この本は、世界で2000万部以上が出版されたらしい。
この本は、書内の説明によれば、古代から、ごく一部の人達にのみ知られ、一般の人には公開禁止にされた願望実現の秘密の方法を、ついに一般公開したというものだ。
この願望を実現する秘密の方法を「シークレット」と呼んでいる。
だが、ロンダ・バーンは、「シークレット」を、娘がプレゼントしてくれた本で知ったというし、それは別に特別な本ではなかったはずだ。
そして、「シークレット」自体は、世の中で知られている成功哲学と同じで、特に目新しいものではないと思える。
『ザ・シークレット』は、成功哲学を整理し、分かり易くしている面もあるが、その長い本の中には、互いに矛盾する箇所もある。つまり、整理不足だ。
結局のところ、『ザ・シークレット』の中身は、クラウド・ブリストル、ナポレオン・ヒル、ジョセフ・マーフィーらのものとあまり変わらないと思う。
ただ、『ザ・シークレット』は、同じ内容だが、非常に面白いDVDを作ったり、関連書を次々出版したりで、マーケティングが非常に良く、それらの努力でヒットしたのだと思う。
書いてあることは、ナポレオン・ヒルあたりとそんなに変わらないが、現代事情を取り込んでいる点は有利なように思える。
しかし、それは表面的なことで、実際の中身は、古い教えの集大成といったところで、しかも、過去の賢者の教えを正確に反映しているかどうかは疑問だ。
つまるところ、『ザ・シークレット』も、数多ある成功哲学の書同様、実際に、それで成功した人は、ほとんどいないと思う。
「成功」とは、必ずしも、大金持ちになるとか、それぞれの分野でランキング上位者であると見なされることではなく、早い話が、幸福になることである。
ある有名人(誰かは忘れた)が、「幸福とは自己満足である」と言っていたが、全くその通りで、客観的にはどうであれ、本人が心から満足出来れば、それが成功なのである。
とはいえ、ある程度のお金や健康、人間関係といったものがないと、ほとんどの人は満足しないであろうから、そういったものを得られなければ成功哲学ではない。
しかし、『ザ・シークレット』を含めた成功哲学では、そういったものすら得られない場合が多い。
そして、本人が心から満足出来ることが成功と言ったが、それは、アブラハム・マズローの言う「自己実現」でしか得られないもので、それを得た者は稀と言うか、ほぼいないかもしれない。
さらに言えば、ナポレオン・ヒルなどの成功哲学で成功したと見なされた人達は、実際は、少しも幸福ではなく、むしろ、一般の人より惨めであることも少なくない。
ただ、一方で、世間から注目される訳ではないが、幸福になった人達もいるのである。
彼らは、健康で、必要なものは努力しなくても、自然に得られるが、そんなことより、心が安らいでいるのである。
仏教で言われるのかもしれないが、「大安心」の境地である。
何か欲しいと思った時でも、それを得るために引き寄せのテクニックを使うことはなく、ただ「これが欲しい」と思ったら、それが勝手にやってくる。
ただし、必要もないものを欲しいとは思わず、豪華なもの、贅沢なものに興味がない場合が多い。
たとえ高級車に乗っていたとしても、単にそれが趣味だったり、純粋に楽しいからで、実際は、小さな車で満足している場合が多い。
ある大金持ちの投資家が言っていたらしいが、成功の秘訣を聞かれたら、「欲張らないこと」と即答したようだ。
政木和三さんも、超人のようなものになるには、「欲望をぽーんと放り出せば良い」と言われていた。
いかに、成功哲学に金と時間をかけても、欲張りでは駄目だと思う。
そして、欲張りでなければ、つまり、不要なものを欲しがらなければそれで十分である。
そのためには、ギリシャのデルフォイ島のアポロン神殿の扉に書かれている「身の程を知れ」を忘れなければ良い。
そんなものを知るはずがない徳川家康が言った天下取りの秘訣もまた「身の程を知れ」で、孔子も同じことを重視していた。
「身の程を知る」ことの優れた解説は、プラトーンの『ソクラテスの弁明』に書かれていることであると思う。
この本は、書内の説明によれば、古代から、ごく一部の人達にのみ知られ、一般の人には公開禁止にされた願望実現の秘密の方法を、ついに一般公開したというものだ。
この願望を実現する秘密の方法を「シークレット」と呼んでいる。
だが、ロンダ・バーンは、「シークレット」を、娘がプレゼントしてくれた本で知ったというし、それは別に特別な本ではなかったはずだ。
そして、「シークレット」自体は、世の中で知られている成功哲学と同じで、特に目新しいものではないと思える。
『ザ・シークレット』は、成功哲学を整理し、分かり易くしている面もあるが、その長い本の中には、互いに矛盾する箇所もある。つまり、整理不足だ。
結局のところ、『ザ・シークレット』の中身は、クラウド・ブリストル、ナポレオン・ヒル、ジョセフ・マーフィーらのものとあまり変わらないと思う。
ただ、『ザ・シークレット』は、同じ内容だが、非常に面白いDVDを作ったり、関連書を次々出版したりで、マーケティングが非常に良く、それらの努力でヒットしたのだと思う。
書いてあることは、ナポレオン・ヒルあたりとそんなに変わらないが、現代事情を取り込んでいる点は有利なように思える。
しかし、それは表面的なことで、実際の中身は、古い教えの集大成といったところで、しかも、過去の賢者の教えを正確に反映しているかどうかは疑問だ。
つまるところ、『ザ・シークレット』も、数多ある成功哲学の書同様、実際に、それで成功した人は、ほとんどいないと思う。
「成功」とは、必ずしも、大金持ちになるとか、それぞれの分野でランキング上位者であると見なされることではなく、早い話が、幸福になることである。
ある有名人(誰かは忘れた)が、「幸福とは自己満足である」と言っていたが、全くその通りで、客観的にはどうであれ、本人が心から満足出来れば、それが成功なのである。
とはいえ、ある程度のお金や健康、人間関係といったものがないと、ほとんどの人は満足しないであろうから、そういったものを得られなければ成功哲学ではない。
しかし、『ザ・シークレット』を含めた成功哲学では、そういったものすら得られない場合が多い。
そして、本人が心から満足出来ることが成功と言ったが、それは、アブラハム・マズローの言う「自己実現」でしか得られないもので、それを得た者は稀と言うか、ほぼいないかもしれない。
さらに言えば、ナポレオン・ヒルなどの成功哲学で成功したと見なされた人達は、実際は、少しも幸福ではなく、むしろ、一般の人より惨めであることも少なくない。
ただ、一方で、世間から注目される訳ではないが、幸福になった人達もいるのである。
彼らは、健康で、必要なものは努力しなくても、自然に得られるが、そんなことより、心が安らいでいるのである。
仏教で言われるのかもしれないが、「大安心」の境地である。
何か欲しいと思った時でも、それを得るために引き寄せのテクニックを使うことはなく、ただ「これが欲しい」と思ったら、それが勝手にやってくる。
ただし、必要もないものを欲しいとは思わず、豪華なもの、贅沢なものに興味がない場合が多い。
たとえ高級車に乗っていたとしても、単にそれが趣味だったり、純粋に楽しいからで、実際は、小さな車で満足している場合が多い。
ある大金持ちの投資家が言っていたらしいが、成功の秘訣を聞かれたら、「欲張らないこと」と即答したようだ。
政木和三さんも、超人のようなものになるには、「欲望をぽーんと放り出せば良い」と言われていた。
いかに、成功哲学に金と時間をかけても、欲張りでは駄目だと思う。
そして、欲張りでなければ、つまり、不要なものを欲しがらなければそれで十分である。
そのためには、ギリシャのデルフォイ島のアポロン神殿の扉に書かれている「身の程を知れ」を忘れなければ良い。
そんなものを知るはずがない徳川家康が言った天下取りの秘訣もまた「身の程を知れ」で、孔子も同じことを重視していた。
「身の程を知る」ことの優れた解説は、プラトーンの『ソクラテスの弁明』に書かれていることであると思う。
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