「バランスが大切」
と言ったら納得するが、
「妥協が大切」
と言ったら、嫌な感じがするかもしれない。
どうも一般に、
「妥協はしない」
という言葉に妙に格好良いイメージがあるのかもしれないが、本当に妥協しなかったら、この世で1秒もやっていけない。
そして、この世界では、決して悪い意味ではなく、
「妥協のうまい者が勝つ」
のである。

有名なマリー・アントワネット王妃のウエストは48cmだったという話がある。
「妥協なき」ウエストだ。
しかし、本当にそんなウエストをしていたら、不健康と言うより不気味である。
これが「妥協しない」悲惨な姿である。

コック(料理人)が、
「味に妥協はしない」
と言ったら、格好よく聞こえるが、本当に妥協しなかったら、料理なんて一品も出来ない。
コストや時間、その他さまざまなことを考慮し、妥協した結果出来た料理の総合的な質が、コックの腕前なのである。

現在、世界で最も売れている自動車メーカーはトヨタである。
トヨタの車は、昔から、「80点主義」と言われ、これを悪い意味に取る人も少なくなかった。
トヨタは、車のあらゆる部分で絶妙な妥協をしたのだ。これを、耳障りの良い言い方では「バランスが良い」になるが、「妥協」と言った方が正確だ。
ライバルのニッサンは、エンジンにこだわり、トヨタと同じクラスの車なら、より高性能なエンジンを搭載していた。
しかし、ニッサンのエンジンの性能に、まっとうなアドバンテージがあるかというと、単に趣味の問題としか言えず、それを求めるユーザーは実際は多くない。
それを理解する賢いトヨタが常に勝ったのだ。
マイクロソフトが、パソコンOSで常に勝ち続けるのも、完全なOSとははほど遠い、「大胆な妥協」の精神で作ったからだ。
性能そのものなら、アップルの方が良いかもしれないが、その分、アップルは悪いものを背負い込み、それがマイクロソフトとの大差となった。
Googleのモバイルデバイス用OS、Androidは、マイクロソフトから、そんな良い面を学んでいると思う。

ビジネス交渉で、両者が全く妥協しなければ、絶対に契約は成立しない。
ビジネスでは、「折り合いをつける」「落としどころを見つける」「譲歩する」などという言い方をするが、早い話が、「妥協」をソフィスティケート(洗練された)言い方に変えただけである。

イエスは、「女性を邪な目で見れば姦淫したも同じ」と言ったが、好みの女性を全く「穢れなき」目で見ることは、実際には不可能だ。
ある程度は妥協しなければならないが、女性の人間的価値を優先しないことが問題なのである。
初音ミクさんの熱烈なファンは、ミクさんを神聖視することも多いが、ある程度はセクシーと思って良いのである。
私も、ミクさんのライブで、ミクさんの腰のキレを称賛しつつ見惚れている(製作側も絶対狙っている)。
とはいえ、限度はある(笑)。

人間の価値や成功は、全て「妥協レベル」で決まる。
新渡戸稲造が、毎朝、水ごりをすると固く決意したらしい。
それで、極寒の日も断固、これを実施した。
ここまでは、悪くない。
しかし、風邪をひいて高熱がある日も、やはり、「妥協なく」行った。
これは馬鹿である(笑)。
医者に怒られ、本人も、馬鹿だったと気付いたのだと思う。
意思の弱い者は、寒いとか、疲れているとか、「今日くらいは」などと言って、レベルの低い妥協をするから、優れた人間にならないし、成功しない(成功は運だから、優れた人間の全てが成功するわけではないが)。

Googleのモットー"Don't be evil"は、とても良い。
あくまで、evil(邪悪)を禁じたのであり、bad(悪)を全て否定したのではない。
ある程度の悪は肯定しないと、生きていけない。
これを、「ある程度の悪いことをするのは妥協する」と言えば、聞こえは悪いが、言い訳をしない精神でいえば、この通りの言い方になる。
とはいえ、邪悪は駄目なのである。
これを「絶妙なバランス感覚」と言うのだが、やはり、「妥協レベル」と言った方が正直で、分かり易いと思う。













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