超能力現象の存在を否定する科学者の言い分は、「それは物理法則に反している」というものだ。
空中で支えを失ったリンゴは、空気抵抗を無視すれば重力加速度による初期速度ゼロの加速度運動をする他はあり得ない。
でないと、ニュートンは力学の法則を作ることは出来なかった。
だが、高性能なHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を頭に装着して見る、リアリティの高い3次元のVR(仮想現実)世界では、木の枝から離れたリンゴが落下せずに空中に浮かんだり、それどころか、上方に飛んで行こうが、プログラム次第で自由自在である。
もちろん、物理法則に忠実に作ったVRでは、リンゴは現実世界と同じような運動しかしないけどね。

そして、この現実世界そのものが、極めて高精度に作られたVR世界なのではないかという考え方があり、それを「シミュレーション仮説」と言う。
我々が知っているVRでは、まだ自由度が少なく、身体の動きは現実世界に縛られている。
しかし、『マトリックス』や『ソードアート・オンライン』のように、意識が仮想世界に入り込んで(「フル・ダイブ」と言うようだ)しまうことが出来れば、もはや、我々は、自分が現実世界にいるのか、仮想世界にいるのか区別が付かない。

意識が仮想世界にダイブ(沈み込む)する方法としては、『ソードアート・オンライン』のように、HMDのような形状のデバイスを頭に装着するだけでは難しいかもしれないが、脳内に特殊なチップを埋め込むことで実現出来る可能性があり、アメリカのニューラリンカ社では、そんなチップを開発して動物実験を重ね、人間への臨床実験の許可を政府機関に申請している。
他にも、精神をコンピューターの中に転送する「精神転送」という方法もあり、理論上は可能であるようだ。

ところが、この世界は最初から「シミュレーション仮説」が実現している世界、即ち、「シミュレーテッド・リアリティ」であると考える知識人も増えている。
研究者によっては、地球をシミュレート出来るコンピューターを作ろうと思ったら、宇宙にある全ての物質を使っても足りないと計算したことから、この世界がシミュレーテッド・リアリティであることを否定したという話があるが、どんな計算かを沢山の研究者が検証したという話はあまり聞かない。
数十年前には、人間の脳と同機能のコンピューターを作ったら月の大きさになるという説が有名だったらしいが、既にスーパーコンピューターは人間の脳を超え、パソコンも数年で追いつくと言われているし、そう遠くなく、角砂糖一個の大きさのコンピューターが、人間の脳の1憶の1憶倍高性能になるという著名な研究者の話もある。

確かなことは分からないかもしれないが、この世界は、VRであるシミュレーテッド・リアリティである可能性はあるだろう。
現実世界そっくりな仮想世界(「デジタル・ツイン」とか言う)に、ダイブして生活するという構想は、かなり現実的になっていて、そうなれば、何が現実で何が仮想かは、感覚だけでは区別出来ない。
それを考えると、この世界がシミュレーテッド・リアリティであるというのは、そう荒唐無稽ではない。
ただ、そうであるとしても、世界は物理法則に従うようプログラムされているのだろう。その方が、いろいろ都合が良いに違いない。
物理学を理解している者にとっては、例えば、ユリ・ゲラーがスプーンを念力で曲げるという現象はあり得ないことになるが、何かの理由で、ユリ・ゲラーはシミュレーテッド・リアリティの世界の設定を変更出来るのかもしれない。それが、ゲラーの意思か、それとは別の原因によるものかは分からないがね。

では、我々は、シミュレーテッド・リアリティの設定を変えられないのだろうか?
普通に考えれば、それをみだりに行うことは出来ないようになっているはずだ。
しかし、それを行うための、何らかの手順は用意されているかもしれない。
物理法則には反しないながらも、自分の意思によって、シミュレーテッド・リアリティで起こる出来事を操作出来るかもしれず、それが「引き寄せの法則」と呼ばれるものだろう。
だが、どうやらそれは難しそうだ。

我々は、シミュレーテッド・リアリティの世界を操作出来ないのだろうか?
これに関し、新約聖書の福音書に、興味深い話がある。
イエス・キリストの弟子達が船に乗って沖にいると、イエスが岸辺から湖の上を歩いてやって来た。
イエスは、シミュレーテッド・リアリティを操作出来るのだと考えられる。
それを見て感動した弟子のペテロが、イエスに「僕にもやらせて下さい」と言ったら、イエスは「お前には出来ない」とは言わず、「よし、来い」と言った。
すると、ペテロも水の上を歩けたのである。
しかし、ペテロが、「沈むのでは」と恐れると沈み始めた。
それを見てイエスは、「信念のないやつだ。そんなことでは駄目だ」と窘めた。
シミュレーテッド・リアリティを操作するには、信念というか、心の強さが関係するのかもしれない。













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