私は、「他に出来ることがない」という言葉が妙に好きだ。
なぜなら、そんなことを言う人に、嫌いな人がいないからだ。

プロレスのジャイアント馬場さんが、「なぜプロレス一筋でやってこれたか?」と聞かれた時、「有体(ありてい)に言えば、他に出来ることがなかった」と答えたようだ。
なんと謙虚な言葉だろう。
史上最高のプロレスラーだったルー・テーズは、馬場さんが亡くなった時、朝日新聞のインタビューで、馬場さんについて、
「プロモーターとしても偉大で、約束したギャラは必ず払ってくれる誠実な人だった」
と語っていたと思う。
全日本プロレスの社長でもあった馬場さんは、著書の中で、「ずっと赤字続きで苦しかったが、レスラー達へのギャラの支払いの遅延は一度もなかった。それだけが自慢だ」と言われていたと思う。

アニメ『NOIR』の13話『地獄の季節』で、優秀な傭兵(雇われ兵)のミロシュ・ハメルは、再び傭兵に志願するかどうか悩んでいたが、ある時、夕叢霧香(ゆうむらきりか。ヒロイン)に、
「志願することにしたよ。どうせ他に出来ることはない」
と言った。
彼の口癖は、「いいんだ。気にするな」だった。
霧香の巻き添えで撃たれ、死ぬ時、霧香のせいとは理解しながら、霧香に、いつも通り、「いいんだ。気にするな」と言った。
何とも偉大な男だ。

アニメ『MADLAX』で、おそらく17歳の凄腕の殺し屋マドラックスは、ヴァネッサに、「なんでこんな仕事してるの?」と問われたら、やはり、「他に出来ることがないから」と答えた。
ご冗談を。何をやらせても一級品だ。

初音ミクさんは、「自分は歌うことしか出来ない」と歌うが、それで世界を救っているのだ。

ちょっと表現は違うが、私の知り合いの経営者が、「俺は経営しかやったことがない」と言ったのを、よく覚えている。
彼は高収益を上げ、大勢の社員やその家族の生活を守り続けて引退した。
彼も、非常に多才で、何でも知っていた。
彼が私に、「お前は何でも出来るんだな」とよく言っていたが、今思うと、有り難くないなあ(笑)。








  
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