仕事や芸事などには、コツというものがある。
セールスの仕事、野球のバッティング、戦争、コーヒーの煎れ方・・・上手い下手があるものであれば、全てにコツがある。
そのコツを知れば、名人、達人になれるが、コツを知らずに上級者になることはない。
だが、コツは自分で会得するしかなく、教えることは出来ないと言われることがよくある。
だが本当は、教えるのが下手な名人が多いだけなのだと思う。

あまり好きな人ではないが、船井幸雄氏という、船井総研の創業者である経営コンサルタントがいた。
神とか宇宙人とか超能力といった方面に関してはともかく、極めて優秀な経営者・経営コンサルタントであったことは間違いないだろう。
その船井氏が、船井総研の社長を他の人に譲り、自分は会長になって経営トップから退く時、彼は、新しい社長に、10だったか20だったか忘れたが、経営のコツを書いて渡したようだ。
ところが、当時は電子メールもなかった時代で、新社長は毎日、深夜まで質問のFAX(ファクシミリ)を送ってくるようになった。
それで気がついた船井氏は、新社長に「すまんすまん、前に教えたのは最高のコツじゃなかった」と言って、これも3つだったか5つだったか忘れたが、もっとシンプルなコツを教えたところ、新社長はうまく経営をやれるようになり、FAXを送ってこなくなった。
船井氏でも、コツを教えるのに失敗するのである。
また、船井氏が著書の中で、「人事のコツは、昇格はあっても降格はない(降格してはならない)こと」と書かれていたのを覚えている。

名人や達人であっても、コツを教えたがらない人も少なくないだろう。
達人レスラーだったジョージ・トラゴスは、ルー・テーズにだけはダブルリストロックのコツを教え、テーズは史上最高のプロレスラーになった。
テーズが、トラゴスやレスリングに対する敬意を持っていたから、トラゴスは教えたのだと思われる。
こういうふうに、教わる方にも、教えてもらえるだけのものがなくてはならないのだろう。
そして、やはり、コツは伝授出来るのである。

プログラミングのコツは、プログラミング作法というものを、頭の良い達人プログラマーが書いてくれている。
しかし、本1冊になるということは、最高のコツではないのだろう。
最高のコツというものがあるとすれば、アインシュタインが言ったのだと思うが、「出来るだけシンプルに、だが、度を過ぎないように」で、これは、万事に通用する万能のコツである。
改めて言うと愕然とするほどだが、「出来るだけシンプルに、だが、度を過ぎないように」は、いかなることにおいても、最上最高のコツである。
ただし、人間が理解出来る範囲で言えば・・・であるが、人間が理解出来る範囲においては、これ以上のコツはない。
例えば、ダイエットのコツは「食べ過ぎないこと」と、この上なくシンプルであるが、断食となると、度を過ぎているのである。
念仏がなぜ良いかというと、仏教の最上のコツだからである。
ちなみに、生きることの最上のコツは「心を静かにする」である。
念仏は、心を静かにするための最上のコツである。









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