まだ引退はしていないそうだが、井川慶(いがわけい)さんという悲運のプロ野球投手がいた。
井川さんが阪神のエースで日本屈指の投手だった2006年、松坂大輔さんがボストン・レッドソックスに入り、井川さんはニューヨーク・ヤンキースに入った。
松坂さんが6年5200万ドルと、当時としては超高額の契約だったので、ややかすむが、それでも井川さんも5年2000万ドルの高額契約で、活躍が期待された。
ところが、松坂さんはすぐにスーパースターになったが、井川さんはメジャーで2勝しか出来なかった。
その2勝のうちの1勝が、別の先発投手がアクシデントで降板し、緊急登板した時のものだった。
井川さんとしては、準備していない中での、実際上の先発登板なのだから、本当は投げたくなかったに違いない。
身体を壊さないよう、常にランナーを背負っている時の小さなフォームであるクイックモーション・・・いわゆる、セットポジションで投げた。
ところが、このクイックモーションから投げる球が実に良く、面白いようにバッターを打ち取っていく。
井川さんは、日本では「剛速球投手」であり、メジャーでも速い方だろうが、「そこそこ速い」に過ぎず、コースが甘ければ、メジャーのバッターには打ち易い球だったと思う。
しかもコントロールは悪いのに、本人は思いっきり投げたがるので、「そりゃあ打たれる」(『涼宮ハルヒの憂鬱』で、ハルヒの直球だけの剛速球についてキョンが言った言葉)。
井川さんは、力を抜いて投げれば、違った結果になっていたのだと思う。
あの野茂英雄さんだって、案外に、迫力あるトルネード投法より、ランナーを背負ってセットポジションで投げた時の方が良い球を投げていたかもしれない。
特に、井川さんは、全力で投げる時は上半身だけで投げているので、メジャーでは通用しない。
野茂さんだって、メジャーではそれほど速い訳ではないが、フォームではストレートと区別のつかない、そして、かなり速いフォークがあるからこそ勝てたが、井川さんの売り物はストレートだけだ。
佐々木主浩さんだって、やはり高速フォークがあったからこそメジャーでもかなり活躍出来たのだ。

イチローだって、その気になればホームランを打てるが、力を抜いて打っているから超人的なバッターになれたのであるはずだ。
人間の脳は、10兆ものニューロンが並列的に、つまり、それぞれ独自に働くという、とてつもないもので、これは、コンピューターには到底真似出来ない。
だからこそ、人間は「微妙」を使えるのであり、それが人間最大の力なのである。
全力投球というのは、ニューロン全てを同じように動かすという勿体ないことをしているのであるが、イチローは、ニューロンに絶妙なパターンを作れるようになったからスーパーバッターなのである。
発明家の政木和三さんは、50歳過ぎてゴルフを始め、60歳を過ぎても、ドライバーで軽々と340ヤード(実際は370ヤード)を飛ばすことが出来、新聞にも載ったことがあるが、私は政木さんに直接、「コツは力を抜くこと」と教わった。
力を抜くことで、全身に「微妙」が宿り、バランスの取れたスイングになるのだが、イチローのバッティングがまさにそれだろう。

あるいは、人間が力を抜くことで、潜在力が発揮されると言うことも出来る。
神にまかせることで、人間には到底不可能な力が出てくるのである。
そのためには、神に任せるための特別な言葉を持ち、それを常に唱えることだ。
私がいつも言うアファーメーションとは、そのようなものがベストだ。
極端には、ニサルガダッタ・マハラジの「私は至高の実在である」だし、L.F.ロースンの「神の他に何もない」だろう。
だが、聖書の言葉、「私を強くして下さる方によって、私はどんなことでもできる」が、最も効果を上げ易いと思う。
ポール・マッカートニーの有名な歌のタイトルでもある『レット・イット・ビー』は、聖母マリアの言葉としているが、「あるがまま」という意味で、これも素晴らしいアファーメーションである。
特別な言葉、アファーメーションの効果は、科学的、あるいは、宗教科学的根拠も十分なのである。









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