チン・ニンチュウという中国生まれのアメリカの女性作家で、成功した事業家、自己啓発指導者の『誰でも小さなことで大切な願いがかなえられる』という世界的ベストセラーがある。
彼女は、瞑想している時、羊飼いがやってきて、自分は羊になったという。
そして、自分は羊飼いに、しっかりと面倒を見てもらいさえすれば良く、自分が努力する必要はないのだと悟り、喜びと安堵で涙が止まらなかったと言う。
言うまでもなく、羊飼いとは神のことで、人間は神の羊であるという、キリスト教の考え方である。
良いお話なのだが、残念な点が1つある。
このお話を、簡単な言葉にしなければならない。
でないと、覚えていられないのだ。
それで、後で、こう思うことになる。
「ああ、確かそんな良いお話があったなあ。あれを覚えていれば、私の人生はもっと違ったものになったろうに・・・」
だから、この話が意味することを、簡単な言葉にして、常に唱えなければならない。
そうすれば忘れないだけでなく、その重要な意味が、ますます分かってくるのである。
では、どんな言葉にすれば良いだろう。
それは、「私は神を信頼する」である。
すると、面白いことに気付く。
「我々は神を信頼する」は、英語で「イン・ゴッド・ウィー・トラスト(In God We Trust)」であるらしく、それは何と、アメリカの公式モットーなのだ。
アメリカ合衆国は歴史も短く、元々、イギリスの支配下にあった。
それが、短期間で異様なほどの力を持ったのは、このモットーのおかげである。
そして、今のアメリカは、この言葉の影響がいくらか残っている程度で、悲惨な状態であるが、それでも、やっぱり他国とは隔絶した力がある。
だが、アメリカ人が、その言葉を忘れてしまったので、かつてほどではないのである。
確かに、その言葉の残像だけで、今でもこれほど強いのだから凄いことではあるのだが。
どんな人も、「私は神を信頼する」と常に唱えれば、あるいは、想えば無敵なのである。
尚、神と人間を、羊飼いと羊に喩えたお話が、聖書の詩篇23で、詩篇の中で最も有名なものである。
イギリスもアメリカも、詩篇23を読まない人が多くなってからは、すっかり傾いてしまった。

チン・ニンチュウは瞑想を勧めるが、残念ながら、瞑想を続けられる人は少ない。
法然や親鸞も、それを知っていたから念仏を教えた。
念仏なら、続けられる可能性が高いが、それですら、庶民はなかなか続けられない。
だが、続けられた人達は、妙好人と呼ばれ、実際に仏の加護を受けて無敵であった。
生まれが貧しく、教養も無くても、誰も、何も、彼の行く手を遮ることは出来なかった。
それは丁度、ノーマン・ヴィンセント・ピールがよく薦めていた聖書の言葉、「私を強くして下さる方により、私はどんなことでも出来る」「神が我々の味方なら、誰が我々に敵することが出来ようか」を、そのまま表していた。
仏教もキリスト教も、本質は同じなのである。

チン・ニンチュウのその本は、カール・ユングが好きだったレイン・メーカー(雨乞い師)の話を中心にしたもので、どうすれば、我々が雨乞い師のような奇跡を起こせるかについて書かれている。
雨乞い師は、そのコツを「神の意思に身を委ねる」といったふうに言っているが、そんな難しい、抽象的な言い方では駄目なのだ。
それはやはり、「私は神を信頼する」ということなのだ。
だから、我々は、言葉を覚えさえすれば良いのである。
いくら瞑想したって、心を支配出来るようにはなかなかならない。うまくいくのは、老人になってからだろう。
けれども、心は支配出来なくても、言葉なら支配出来る。
我々は出来ることをやれば勝てるのである。
だから、我々は、言葉を覚え、それを常に使わなければならない。
「私は神を信頼する」
「私は神と1つである」
「私を強くして下さる方によって、私はどんなことでも出来る」
「南無阿弥陀仏」
どれでも、ぴったりする言葉を1つ選べば良い。
1つでなければ続かない。
もちろん、別の言葉が気に入れば、それでも良い。
「神の他に何もない」
「神に出来ないことは何1つない」
言葉を覚え、それを使う。
私には、それ以上のことは出来ない。
だが、それなら確実に出来る。
ちなみに、高度経済成長期の日本のスローガンは「所得倍増」だった。
まいいち美しさというか、センスに欠ける言葉であるが、やはり言葉の力は凄く、その効果は強烈だった。
けれども、確かに、日本経済は強くなったが、その美しさとセンスに欠ける強さは、海外から「エコノミー・アニマル」と呼ばれることとなった。
だから、出来れば、センスある美しい言葉を選んで欲しい。









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