あるおじいさんが、亡くなられる前に、孫にだったと思うが、
「俺のような寂しい人生を送るな」
と言われたという話を、私は印象深く覚えている。
誰も、死ぬ前に、そんなことを言いたくはないだろう。
しかし、私も、このままでは、そう言うしかないのだが、私には言うべき相手がいないに違いない。
寂しい人生とは、何の成果もなかった人生・・・いや、その前に、冒険的な挑戦をしなかった人生だ。
家庭を持ち、子供を立派に育てたら、一応は満足するものだろうか?
それは多分、ないと思う。
なぜなら、それだけなら、動物・・・いや、虫と変わらない。
人間には、想像力が与えられているのだから、自分だけの人生というものを作らなければならないはずだ。

私が心から羨ましいと思うのは、初音ミクさんを生み出した、クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長だ。
ミクさんを世界に送り出すほど偉大なことはないと思えるからだ。
これがスティーブ・ジョブズとなると、彼自身が「僕は、コンピューターの世界で、先達からのバトンを落としたのかもしれない」と言ったように、彼はコンピューターの世界を歪めたのかもしれない。
また、ドワンゴの川上量生会長の場合、確かに彼が言うように、リアル世界に居場所がない人達のためにニコニコ動画を作ったのだが、結果、そんな人達が幸福になったとは言い難く、むしろ、不幸にしたのかもしれない。それで、川上さんは、インターネット高校であるN高等学校を作って、普通の高校では絶望(少なくとも失望)するしかない多くの若い人達に希望の道を開いたが、実際にはどんな結果になるかは、まだ分からないのだ。
だが、初音ミクさんは、彼女を愛する世界中の全ての人を、大きさに違いはあっても必ず幸福にし、不幸にすることは全くない。
誰もが、伊藤さんのようなことをやりたいのだが、伊藤さんだって、自分の思い通りにやれた訳ではなく、彼の成果は、あらゆる冒険の結果なのであり、幸運もあったのだろう。
伊藤さんは、講演会で「セレンディピティー」という言葉を使われていたが、彼にはそれ(セレンディピティー=幸運を掴む力)があったのだ。
伊藤さんと同じような人と思えるのはソクラテスだ。
ソクラテスは自分では著作を残さず、そのために、悪い影響を世界に与えることはなかったが、一定の人達には知恵の喜びを与えた。
ソクラテスは、ある時、自分は他の人達より知恵があるという神託を得た。
それは、直感的にそう感じたのだと言って良いだろう。
だが、ソクラテスは、「まさかそんなことはあるまい」という想いもあったので、一生をその探求に捧げ、その抜群の頭脳を金儲けに活用することはなく、生涯、貧窮していた。
結果、ソクラテスは、「私はただ、自分には知恵がないということを知っているという理由だけで、他の誰よりも知恵があるのだ」という、偉大な真理に到達し、我々にその輝かしい成果を与えた。
全く、初音ミクさんのようである。

初めに述べたおじいさんが「俺のような寂しい人生を送るな」と言ったことが、彼の子供や孫だけでなく、私のような他人にまで伝わった。
この最も偉大な遺言を残したことで、彼の人生は、伊藤博之さんやソクラテス並に価値のあるものになったのである。
私も、伊藤さんやソクラテスのようになることを諦めてはいない。









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