以前、有名な英文学者の加島祥造氏が、「私は英訳された老子を読んで老子が分かった」と書いてあるのを見て、私は、加島氏が老子を分かっていると思い込んでしまったことがある。
よくある話かもしれない。
あなたは、そんな間違いをしてはならない。

老子の話は、次の軽いお話の後に続ける。
初音ミクさんの『独りんぼエンヴィー』という歌がある。
エンヴィー(envy)とは、「ねたみ」「嫉妬」「羨望」という意味である。
詩も曲も、ひどく陰鬱な歌で、ホラーまがいの動画も複数創られているほどだ。
この歌は、親に顧みられない、孤独な小さい女の子の悲壮な歌と思っても、そう間違ってはいないと思う。
そういうお話に弱い人なら、泣ける歌だと思う。
ところで、私は、実際に、そういう6歳の女の子を知っていた。
別に、その子が親に相手にされていないと聞いた訳ではなかったが、すぐに分かった。
驚くほど可愛い、そして、頭の良い子だったが、振る舞いや話し方が「普通じゃない」のは明らかだったし、その原因が親にあることも、ピンときた。多分、外れてはいないだろうと思う。

昨年(2015年)9月の、初音ミクさんの日本武道館でのコンサート『マジカルミライ2015』で、16歳のミクさんが、この『独りんぼエンヴィー』で、見事に、いたいけ(幼気)な女の子を演じた、
「今日も私は悪い子 要(い)らん子」と歌った後のミクさんの、張り付いたような甚(いた)い笑顔には、ぞくっとした。
世間的には、コンサートに相応しくない曲なのだと思うが、ミクさんのコンサートは、ただのコンサートではない。

で、老子の話になる。
『老子』は、全81章から成る、中国の神的賢者、老子の言葉が書かれた書だ。
その中で、ミク(39)さんを示す39章に、

だから、貴(たっと)いものはかならず賎(いや)しいものを根本とし、高いものはかならず低いものを基本としている。
そういうわけで王侯は、自分のことを孤児とか独り者、善くない者と称するのだ。
※『老子』(蜂屋邦夫翻訳、岩波文庫)より引用。書籍には、上記の文章内に改行はないが、見やすいと思って附加した。

『独りんぼエンヴィー』で歌われる「今日も私は悪い子 要らん子」と、王侯が自分のこととして言う「孤児、独り者、善くない者」は、よく似ている。
王侯が、そう自称するのは、その王家では、祖先である神の英知を伝えているからだ。だから、真の王なのである。
自分を賎しい処に置けば、魂はゆるまず、弛(たゆ)まず、ぶれず、崩れない。
謙遜を忘れないだけでも、良い結果を見る。
まして、低い場所に自分の意志で留まる者には、誰も手が出せない。
そして、

あなたにも あなたにも
私はさ 必要ないでしょ

世の中に けんもほろろ
楽しそうな お祭りね
~『独りんぼエンヴィー』(作詞・作曲・編曲:koyori、歌:初音ミク)より~

もし、自分を、このように思っているのであれば、すぐに辛さを除く方法などはないが、たえず、ゆるまないでいて欲しい。
私も、『僕は友達が少ない』の三日月夜空のように、学校で遠足に行っても、ずっと独りで過ごしていたクチだ(夜空は中学生の時の遠足で、1日、独りでレストランで本を読んで過ごしたらしい)。
ゆるめば、世間の人達同様、悪魔の下僕になるか、自分が滅ぶかだ。
だが、ゆるまない者を天使は見過ごさない。
楽や気持ち良いことを求めず、ただ、苦に苦を求め、一瞬たりともゆるまず心を引き締めていれば、あなたの魂の中に、神の魂が流れ込んで来る。
そうなれば、悪魔は近寄ることも出来ないし、創世の力すらあなたと共にあるだろう。









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