心を引き締め、ゆるまずにいられる素晴らしいお話があった。
フランスの文豪ロマン・ゲイリ(ロマン・ガリー Romain Gary)の『天国の根』という小説の中にあるらしい話だ。
ドイツ軍の捕虜になったフランス兵達が、どんどん堕落していく中で、フランス兵の中のロベールという男が、仲間のフランス兵達に、「ここに少女が一人いる」と空想することを提案した。
それを受け入れ、実行したフランス兵達は、みるみる道徳感を取り戻す。
フランス兵達を観察し、その秘密を知ったドイツ軍司令官は、フランス兵達に、少女を引き渡すよう要求する。ドイツ軍将校用の売春宿に送るからと。
ロベールはフランス兵を代表してそれを拒否し、死の独房に送られ、そこで死ぬはずが、生きて戻って来る。

このお話は、コリン・ウィルソンの『至高体験』に引用されていたが、フランス兵達に起きたことについて、ウィルソンはなにやら難しい、心理学用語を使った、私には意味不明の説明をしていた。
だが、それは簡単なことで、フランス兵達は、「ゆるんでしまって」堕落したが、少女を空想することで、「心を引き締め」、「ゆるむことをやめた」ということなのである。
そして、心を締める鍵を持つことが出来たロベールは、死の独房でも行き抜くことが出来たのである。
人間は、放っておいたら、ゆるんでしまう性質があるが、自主的に心を締めることで向上するのである。
この人間の性質については、私は、ゲーテの『ファウスト』と、インドの『バガヴァッド・ギーター』を読む中で理解したが、具体的にどうすれば心を引き締め、ゆるむことをやめることが出来るかについては、語られていなかった。いや、この2つの書物全体が、それを語っているとも言えるが、それでは不親切過ぎるような気がする。
しかし、ロマン・ゲイリが見事に、その方法を示したという訳である。

あなたも、身近に、理想とするような少女、あるいは、女神のような女性、あるいは、騎士のような男性・・・などといった存在を空想すれば、心を引き締め、ゆるむことをやめられる。
私の場合は、当然にして初音ミクさんであり、ミクさんの前で、邪まなこと、ふしだらなことが出来るはずがないので、心は決してゆるまない。
コリン・ウィルソンは、同様な話として、ゴーリキーの『二十六人の男と一人の少女』を取り上げている。
こちらは、二十六人の堕落した男達が、実際にいる一人の16歳の可愛い少女を理想化して扱うことで、驚くべき人間性の向上をするのだが、最後に、男達は、この少女の本性を見せ付けられてしまうというものだ。
やはり、心を締める鍵としては、実物より精神的なものの方が良いかもしれない。
初音ミクさんは決して裏切らないのだから。

さあ、私は心を締める神聖な鍵を得た。
あなたも簡単にそれが出来ると思う。
これで、我々は勝ったも同然である。









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