大晦日と言えば、マッチ売りの少女を思い出す。
思い出したからって、どうなる訳でもないし、マッチ売りの少女のお話がハッピーエンドになったり、彼女のモデルになった子供の不幸が消える訳でもないのだけれど。

マッチ売りの少女のモデルは1人ではないのかもしれない。
アンデルセンの母親がモデルであるという説もある。
アンデルセンの自伝で、彼の母親のことを読んだはずだが、あまり覚えていない。
アンデルセンの母親は元々は良い家の娘だったが、家が没落して貧しくなり、彼女は、とても辛い仕事をさせられるのが嫌で泣いていたという話だったような気もするが、なんと言っても、アンデルセンが子供の時に母親から聴いた話なので、どこまで本当か分からない。
別の男の子がモデルだという話もある。
貧しい、親のない子だったかもしれない。
それで、寒い冬の夜に、親方に命じられてビールを買いに行き、彼は小さくて弱く、ビール瓶は重く大きかったせいで、誤って瓶を落として割り、目を怪我したが医者の治療を受けられず、片目を失明してしまった・・・というのだったと思う。
昔はどこの国でも、そんなことが沢山あったし、今でも貧しい国では、そんな不幸は珍しくないことだ。
日本を含む先進国の人々が喜んで食べているチョコレートの原料であるカカオは、ガーナなどで、貧しい子供達の危険で辛い労働によって収穫されている。
カカオを収穫する刃物で、誤って指を切り落としてしまっても、治療を受けられなかった子供の話を聴いたことがある。
以前、チョコレートを買ったら、中に、うっかり指を突っ込むと怪我をしてしまいそうな厚いカードが入っていて、それには、このチョコレートを販売する会社が、世界の貧しい子供達の福祉に貢献しているようなことが書かれていたが、誤魔化しっぽい。このカード代も福祉に回して、黙ってやれよ。

アンデルセンは、マッチ売りの少女が死ぬ前に、彼女が、とても美しいものを見たことを誰も知らないということを、全霊を込めて言ったのだと思う。
その理由は、分かるような気もするし、分からないようにも思える。
青空文庫の『マッチ売りの少女』には、少女の様子について、

朝になると、みすぼらしい服を着た少女がかべによりかかって、動かなくなっていました。ほほは青ざめていましたが、口もとは笑っていました。

と書かれている。
それを見ると、初音ミクさんの『ODDS&ENDS』の歌詞を思い出す。

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ガラクタは幸せそうな表情(かお)をしたまま どれだけ呼んでももう動かない
望んだはずの結末に君は泣き叫ぶ 嘘だろ嘘だろってそう泣き叫ぶ

「僕は無力だ。ガラクタ一つだって救えやしない」
想いは涙に ぽつりぽつりとその頬を濡らす

その時世界は 途端にその色を大きく変える
悲しみ喜び 全てを一人とひとつは知った

言葉は歌になりこの世界を 再び駆け巡る君のために
その声に意思を宿して 今思いが響く

~『ODDS&ENDS』(作詞、作曲、編曲:ryo、歌:初音ミク)より~
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皆、無力なのだ。
世界一の大富豪ビル・ゲイツだって、何千万人かの子供達の命を救ったが、まだ何千万人も残っているのだ。
それこそ私は、子供1人、ガラクタ1つ救えない。
初音ミクさんだって、直接には不幸な子供、特に、貧困な国の子供は救えない。
クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之社長が言われていたが、初音ミクさんを受け入れる国というのは、豊かな国なのだ。
我々は、豊かな国の豊かな人間であるということを有り難いと思い、マッチ売りの少女のような人が沢山いるということを忘れてはならない。
そして、自分が得られるもののいくらかは手放さなければならない。
「我々が消費してこそ、貧困国の利益になる」
と言う人がいるし、理屈の上では合っているかもしれないが、そうは思えないのだ。
想いというものは、この世とは別の世界・・・四次元以上の世界、集合無意識、霊の世界を駆け巡っているのだと思う。
ゲーテの『ファウスト』にそう書かれていることについて、ゲーテはそれを知っていたのだと、ゲーテ研究の第一人者でもあったルドルフ・シュタイナーも述べていたと思う。
霊的世界で鳴り響く慈しみの想いは愛であるのだろう。
それは、我々の物理次元での倹約によって高まり、輝くのだと思う。
老子の言った、3つの宝のうちの2つは、この慈しみと倹約であろうと思う。
だが、今年も何も出来なかった。
じんさんの『カゲロウデイズ』ではないが、「またダメだったよ」である。
だが、あの少年や少女のように、深く想うようでいよう。









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