第二次世界大戦後、日本が独立国家として主権を回復出来たのは、奇跡だったと思う。
もし、そうなっていなかったら、日本は消滅していた。
主権が回復していなければ、日本という場所は、しばらくの間は、「日本っぽい」雰囲気でいるかもしれないが、やがて完全にアメリカ化し、アメリカの一部になっていた。
分かり易い喩えで言えば、日本全体が、「返還されないままの沖縄」になっていたということだ。
そして、そうならなかった理由は色々に言われているが、実際は、「全くの謎」なのだと考えて良いと思う。
私は、弥勒菩薩のおかげだと、半分、本気で思っている。
京都の広隆寺にある、「宝冠弥勒」と呼ばれる、弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつはんかしいぞう)は、日本がまだ主権を回復しておらず、その見込みもない1951年(昭和26年)に、国宝第一号に認定され、その存在を広く知らしめた。その後、急速な展開の中、翌年の1952年、早くも日米地位協定などが発効され、日本は主権を回復したのである。
こうなったことも、ミステリーと言ったら、粉骨砕身の努力をされた方々に悪いが、実際、努力や工作でどうなることでもなかったと思う。

ところで、近年では、「企業のM&A(ほぼ買収の意)は今どき常識」と思われているかもしれない。
これは、マスコミの洗脳というよりは、マスコミが無知なのだと私は思っている。
買収が起こると、マスコミは、「買収される○○社には、かくかくのメリットがあり」などと言うが、全くおかしな話である。
買収される側にメリットなどない。
なぜなら、買収される企業は、消滅するということであり、消滅した者にメリットがある訳がないじゃないか?
こう言うと笑われるかもしれない。
しかし、これが事実である。
買収された企業というのは、戦争で負けて主権が回復しない国と同じであり、本来なら、日本がそうなったものであり、日本に返還されなかった場合の沖縄と同じなのだ。
まさに、買収される会社というのは、日本に返還されることのなかった時の沖縄である。

企業買収の利益は2つだけだ。
1つは、買収する側の企業が、買収した企業の、技術、優秀な人材、顧客、ブランドを手に入れること。
もう1つは、買収される企業のオーナーが個人で巨大な利益を得ること。
絶対に、この2つだけなのだ。
買収される企業では、多くの場合、従業員のリストラが行われる。
リストラされた従業員に聞けば、まさか、M&Aのメリットがあったとは言わないだろう。
買収された企業は、しばらくの間は、その企業っぽさは残るかもしれない。
しかし、どんそん親会社に吸収され、伝統は否定され、独自の思想などは絶対に保てない。
そして、やがて、名前自体も消えるか、そうでないとしても、親会社の一部門でしかなくなるのである。
確かに、買収されながら、独自の企業の体を保ち、親会社が積極的に経営に介入しようとしない場合もあるかもしれない。
しかし、それは単に、親会社の賢明な子会社運営の手法の1つに過ぎず、例えば、子会社がかなり個性的な場合、徐々に体制的、および、思想的に同化した方が問題が起きないといったこともあるというだけのことで、それも時間の問題である。
子会社が本当に独立を保ったなんて話は決してない。それは当たり前である。
だから、ある企業が買収されたら、その企業は無くなったのであるとはっきり認識しなければならない。
もちろん、オーナーとしては、企業を売って、一生豪遊できるお金を得ようとするのは「常識」である。
かつて、マイクロソフトが株式公開前のグーグルを買収しようとしたことがあった。マイクロソフトが提示した買収額は一兆円とも言われ、破格と考えられた。
グーグル創業者達は富豪になって引退できたが、完全に拒否し、株式公開後も、マイクロソフトの経営参画から逃れるため、特殊な株式構造を取り、会社(グーグル)に対する創業者達の権利を絶対にしたのだ。
一方、かつて、マイクロソフト以上の世界ナンバーワンのソフト会社であったロータスは、IBMに買収されたが、しばらくの間はロータス社や、ロータス製品の名前は残った。
今でも人気のあるロータスの製品であるロータスノーツは、本当に長い間、その名前を保った。しかし、それは、ユーザーに違和感を感じさせないためであり、今ではIBMノーツという名前になっている。
ロータスは完全に消えたのである。
企業が買収されるとは、そういうことである。
そして、「M&Aは常識」なんて、とんでもないことである。
それは、「沖縄は返還されなくて良かった」とか、「日本は主権を回復しなくても良かった」と言うのと同じであると思う。









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