私は、毎日、朝晩2回必ず運動をしているのだが、いつの頃からか、楽しくないなあとか、さらには、シンドイなあとか思うようになっていたのは、怠惰というのではなく、身体の声なのではないかと思う。
運動とは、それが軽いものであるか、ハードなものであるかを問わず、「身体が喜ぶ」ようなものでなくてはならないのだろう。
そのような運動であれば、毎日やるのが楽しみで、決して、シンドイとか、嫌だとかは思わないものだろう。
私も、筋トレ(筋力トレーニング)に未練があって、やめられずにいたが、少し前から、ほとんどやらないようにしたら、運動が楽しみになってきた。
筋トレのようなものは、本当は(少なくとも私には)良くないことは分かっていたのだが、特に男の場合は愚かなもので、強い腕力や脚力、盛り上がった筋肉や割れた腹筋なんてものに未練があるのだろう。
しかし、筋トレなんかしなくても、これらも必要なだけは得られる。それに、必要以上の筋肉、筋力があっても、それは何の益にもならず、むしろ、害になるのではと思う。例えば、最高の肉体を持っているはずのプロスポーツ選手が、簡単に肉離れを起こしたり、腰を痛めて休養しなければならないのは、おそらく筋トレのせいだろう。
怪我のない、あるいは、休暇が必要なほどの深刻な事態に追い込まれないスポーツ選手は、筋トレを全く、あるいは、ほとんどしないのではないかと思う。大相撲の横綱である白鵬は、筋トレを全くせず、四股、鉄砲、摺り足などの相撲の基本訓練を熱心にやるらしい。
合気道の達人だった、佐々木の将人(まさんど)さんは、「いまどき、ハアハア言うようなトレーニングをやってるようじゃ駄目」と言っていたのも、筋トレの弊害と共に、筋トレなんかより、もっと良い運動があるのだということを示していたのだろう。
昔は、プロ野球選手でも、腕立て伏せすら、肘を痛めるからといってやらなかったらしい。
特定の超一流のプロレスラーやプロボクサー、あるいは、無敵の柔術家ヒクソン・グレイシーのように、器具を使ったトレーニングはしないというアスリートはよくいる。彼らは、体重以外の負荷は使わない腕立て伏せやスクワットならやるらしいが、彼らのやり方は、ただ、うんうんと曲げ伸ばしをするのではなく、1回1回がゆっくりで、身体を自然に動かす工夫があるのだと思う。

それで、私は、腕振り運動や、手振り運動を主体にした運動に替えたが、今のところ、運動が楽しみになったし、身体のあちこちの故障が治ってきた。
特に、首の痛みはずっと前からだったが、筋トレをやめて数日で嘘のように消えた。
アキレス腱炎はまだあるが、一昨日来、普通に歩く限りは痛みが出ないことに驚いているが、まだ走ると痛みがある。しかし、やがて治ると思う。

腕振り運動も。1回1回をじっくりと丁寧にやることが大切と思う。
必然的に、1回1回に時間がかかる。
一度に300回と決めたら、それをノルマのように思って、早く終わらそうと、せかせかやり勝ちになっていたが、ゆったりと丁寧にやることを心がけたら、腕振り運動が実に楽しいものだと気付き、早く終わらせるなど勿体無いと思うようになった。
後ろに振る時には適度に力を入れるが、前に振る時は力を抜き、自然に振られるようにするということも、きちんとやらないといけない。そのためには、やはり丁寧にやらなければならないと思う。
何かの本に、「柱を押すのも立派な運動」「輪ゴムを引っ張るのだって立派な運動」と書かれていたのを覚えているが、腕振り運動も、運動としては楽であるが、立派な運動である。
特に、腰や背中の筋肉を微妙に動かし、仙骨や背骨を調整する働きは、他の運動ではちょっとまかなえないものであると思う。
毎日、なるべく決まった時間に、決めた回数を根気良く行えば、仙骨や背骨を中心に身体全体が調整され、筋肉も程よく鍛えられ、身体が軽くなると思う。
他にも、はっきりとは証明されないが、気やプラーナ(関英男博士によればGTP)を取り込み、身体を若返らせ、いかなる病気も治す効果があるのだと思う。

また、しばらく前から、手振り運動も熱心にやっているが、こちらは力も相当強くなる。
これは、自然に立った状態から、両腕をまっすぐ上に一気に上げ、上げ切った状態では、指先まで真直ぐに伸びていなければならない。
その時、腕は真直ぐで、腕が耳の後ろにつくほどの感じになるのが良い。
腕を上げた後、一気に脱力し、手についた水を切るかのように振り下ろす。振り下ろすとは言っても、自力で降ろすのではなく、脱力して自然に降ろすのである。
腕は前に下ろすのか横に下ろすのかと質問された方がいたが、あくまで脱力して振るのであるから、真下にしか下りないはずである。
自分の力で振り下ろすのではなく、完全に脱力して下ろすことで、力を抜くコツも覚えられるのである。
人間、力を抜くことが出来れば無敵なのである。
合氣道家の藤平光一さんは、アメリカでも実演されていたが、力自慢の大の男数人が全力で押してきても、小指1本で軽く受けられるのである。それは力を抜いているからであるという。
政木和三さんは、ゴルフのアイアン・ショットで370ヤードという常識外れの距離を飛ばしたが、コツはやはり、力を抜くことであると言われていた。
手振り運動は、その無敵の力を修得するものであると思う。
また、この手振り運動で重要な点に、「なるべく速く」というのがあるが、それは、腕を上に上げる速さである。
これは、腕の筋力というよりは、全身の力でやるのであるが、あくまで身体は、ほぼ真直ぐに自然に立った状態のままでなければならない。
それで、腕をなるべく速く上げようとすると、腹や背中、肩、腕の筋肉を、バランスよく、柔軟に、そして、程よく使うことになり、これらの筋肉が適切に鍛えられるが、決して無理をせず、丁寧にやらなければならない。そうであれば、多少ハードでも、身体は気持ちが良く、毎日やるのが楽しみになるのである。









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