確かな実力を感じさせる人達は一様に、何事もモノにするのに十年かかると言っているように思う。
私が子供の時に読んだ、空手家の大山倍達氏の本に、
「石の上にも三年というが、三年では初心者に過ぎない。一応の形が出来るのは十年」
と書かれていたのをよく覚えている。
日本最大の思想家とも言える吉本隆明氏も、『ひきこもれ』の中で、
「物書きになりたければ、十年、毎日書け。そうすれば、必ずモノになる」
と述べられていた。書けない日もあるだろうが、それでも、書こうとすることが大事なのであるとも言われていたと思う。

十年と言ったら長いなあと思う人が多いかもしれない。
しかし、きっとそれは、人生で一番楽しい十年のはずなのだ。
つまり、青春の始まりである。
だから、60歳で始めるなら、60歳からが青春になる。
ピカソは「芸術家は60代が青春」と言っていたが、人間は本来芸術家であり、人の営為の全ては芸術であるのだから、本当の意味で生き始めた時が芸術家になる時である。
だから岡本太郎氏も、「あなたも本日ただいまより芸術家になれる」という、当然のことを言ったのだ。
『ローム太霊講和集』という、神秘的な書としては極めて実用的で面白い本があるが、これにも、
「60歳で老人になったと思うのは愚かである。人間は60歳で頭が良くなる。60歳になれば30年計画を立てるべきである」
と書かれている。
30年計画ということは、最初の10年は修行であるが、志があれば、修行期間の面倒は神様が見て下さるに違いない。
60歳で、やっと頭が良くなるのはその通りである。
何かのテレビ番組で、老人にクイズを出して、老人が珍解答を出すのを笑うと言う失礼なものがあったが、この番組は、人々に、年を取ったら馬鹿になるという偏見も与えてしまった。
年を取って馬鹿になるとしたら、それは、本来、年を取るごとに弱くすべき自我を逆に強くしたからである。
自我とは馬鹿なものであるのだから、それを支配しなければならず、支配されてはならない。
ただし、自我は必要なものである。
イエスは、「汝、敗れたり。我が後方(しりえ)に退け、サタン!」と言ったが、サタンとは自我のことである。
だが、イエスは、「消えろサタン」とは言わなかった。単に、「私の下僕になれ」と言ったのだ。
下僕としては、自我は実に役に立つのである。

さて、また「十年」の話に戻る。
作家の村上龍さんが、友人である音楽家の坂本龍一さんについて、
「坂本がなぜ音楽家で成功したかというと、才能というのもあるが、やはり3歳の時からみっちりピアノをやったからだ」
と述べられていた。
前後の文章から、ここには、暗に十年が込められている。
もちろん、坂本さんは、3歳から十年経った後もピアノをやっているが、ピアノの修行としては十年が節目だったのだと思う。
村上さんも、何事もモノにするのに必要な期間は十年であり、小学生や中学生が大工になりたければ、つまらない勉強なんかやめて大工の修行を十年やるべきだといったことを話されていたと思う。
有名なデジタルクリエイターで事業家の猪子寿之さんも、現在、最も注目されている事業家である夏野剛さんとの対談で、「人間の能力に差はない。時間をかけたかどうかだけ」と述べられていたが、この「時間をかける」も、十年が目安と考えて良いと思う。
事業家の夏目志郎氏が、生涯の仕事であるセールスに巡り会ったのは34歳くらいだったと思うが、彼はその仕事ですみやかに成功した。彼の場合は、それまでに、失敗続きであったがビジネスの修行をしたのであり、その期間もやはり十年位だったのだろうと思う。
初音ミクさんの『ありふれた世界征服』という歌(作詞、作曲、編曲はピノキオPさん)に、
「14歳も 40歳も 踊ろう らったったった」
という歌詞があるが、何歳でも、十年の修行を楽しむ気になれば良い。
もう述べたが、真に生き始めた人の十年は、神様が面倒見て下さるに違いない。
ジョセフ・マーフィーの父は80歳でフランス語を始め、90歳で専門家になったらしいが、その後、活躍したのだろう。
30歳で始めて40歳でモノにし、続く20年で活躍して60歳になったら、また次のことを始めれば良いのである。

尚、私が時々述べているように、腕振り運動でGTP(重力子が組み合わさった特殊粒子。生命エネルギーのことで、東洋では気とかプラーナと呼ばれる)を蓄え、心の微かな声の呪文を使えば、より楽しく充実した十年となる。
これらは、時間圧縮効果もあるので、あっという間に成果が出るかもしれないが、青春とは楽しいものであるのだから、あせらず行けば良いと思う。









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