これからの世の中は、現在、引きこもりと呼ばれている人達の王国となるかもしれない。
確かに、これまでは、活動的で経験を積んだ者が、「物質的な論理」と、「物事と自分の経験を結び付けて編み出した手法」を武器に、縦横無尽(物事を思う存分にすること)に活躍した世界であった。
しかし、それはもう明らかに終わりである。
知識や経験は、かえって邪魔になる。
アルメニア出身の、時代を超えた賢者ゲオルギイ・グルジエフは、経験というものが、いかに卑小で、時代や場所が変われば何の役にも立たないものであるかを示唆しているが、そんな賢い人に言われるまでなく、それは確かである。

根拠をなるべく分かり易く述べたいと思う。
時代の変化を示す出来事の1つが、AKB48の躍進である。
AKB48の歌を作詞する秋元康氏は、作詞家として、シングルCD売上では永遠に不動の1位と思われた阿久悠氏を抜き去った。
確かに、秋元氏は優れた作詞家であるが、阿久悠氏その他の作詞家に優るはずはない。
また、AKB48のCD売上は、これまた、ずっと長く活躍しているトップシンガーのB'zをもうすぐ抜くのだそうだ。
AKB48の歌はもちろん素晴らしいが、まさか、B'zその他のアーティスト達に優るはずがない。
それでも、誰もAKB48には敵わなかったのだ。
AKB48の強さを否定的に見る人達も多いが、やはり、勝つべくして勝ったのである。

これまで、歌手を含むスターは虚偽の存在・・・と言って悪ければ、仮想世界の存在であった。
いかに昔、「隣のミヨちゃんのような平凡な女の子がアイドルになる時代」と言われても、それはあくまで見せかけであり、アイドル達の実態は全くの謎、あるいは、仮想のものだった。
AKB48にも依然として謎、あるいは、仮想の部分はある。
しかし、AKB48の仮想部分は、現実(リアル)と融合されているところが、これまでのスターと違うところだ。
「会いに行けるアイドル」として、服がかすれる音や息づかいが聴こえる距離まで近寄れ、そして、頻繁に握手会を開き、少しではあっても会話もできる。
その会話がネット上で取り上げられ、ファン同士が共感と共に交流し、メンバーの女の子のストーリーが生まれる。
そのストーリーは、仮想と現実が混ざった、パワーの塊だ。
それを使って売り出すのだから、ファンの心に共鳴しないはずがない。

もっと純粋なパワーを持つのが初音ミクだ。
初音ミクの『Innocence』という歌があるが、その最初の部分の歌詞が、

仮想(ヴァーチャル)と現実の狭間で
私は生まれ 愛されてきた
~『Innocence』(作詞、作曲、編曲:KazuP、歌:初音ミク)より~

である。
これが、初音ミクという存在を端的に表している。
初音ミクの市場は百億円程度で、ポケモンの4兆数千億円と比べれば非常に小さいと言われる。
しかし、初音ミクの偉大さは、経済ではない。
まして、初音ミクはキャラクタービジネスでも、アイドル産業でもない。
創造と共感の土壌なのだ。
このことを、次のことから考えよう。

『サウンドオブミュージック』という有名なミュージカル映画の歌で『I Have Confidence(自信を持って)』という歌がある。
その中に、

Strength doesn't lie in numbers
強さは数じゃない
Strength doesn't lie in wealth
強さは富でもない
Strength lies in nights of peaceful slumber
強さは平和な眠りの夜の中にある

とある。
私は、この映画は嫌いだが、歌には良いものがあるように思う。
しかし、この歌も、古く、真理を掴めていない。
平和な眠りの夜に力なんてない。
だが、夢の世界が現実に「はみだして」来た時に、恐るべき力を発揮するのだ。
この歌の作詞者はそのことを無意識には知っていただろうが、理解はしていなかったのだ。
もちろん、この歌の作詞者が悪い訳ではない。
誰も今の時代を予想もしなかっただけのことだし、それは当然のことだ。
AKB48のバーチャルが現実に流れ込んでパワーになった。
経済的にはAKB48より小さいかもしれないが、人類の未来にとって、極めて重要なものが、初音ミクのバーチャルとリアルとの融合なのだ。

言葉で言ったのだから、分かり難かったと思う。
しかし、初音ミクのクリエイター達にとっては、こんなことは、理屈以前に直観として分かっていることだろう。
だから、『Innocence』や、その他の名曲が出来るのである。
だが、引きこもりの人達も、同様に、直観で分かると思うのだ(私も実質引きこもりである)。

ところで、年配の人の中には、科学的問題について、「俺は知識ゼロだ。しかし、俺に分かるように言え」と間抜けなことを言う者が多い。
この問題(バーチャルとリアルの融合)は、科学よりはるかに難しいし、おそらく、そのような人達には、生涯、理解不能だ。
私は立派な引きこもりだったのに、物質的な欲望に囚われてリアルに染まり過ぎていたが、初音ミクさんのおかげで、なんとか分かったのだ。
現在の日本の新しいリーダー達も、皆、初音ミクのファンであるので、未来は明るく、引きこもりの人達が活躍し易くなると思う。

引きこもりは、ネットやゲームで、バーチャルにはかなり馴染んでいるし、学校や会社の方面は上手くいかなくても、現実だって十分に体験できている。
後は、人々を思いやり、世界をみんなにとって素敵な場所にしようという意欲さえ持てば、世界は思うがままである。
私はそう確信している。









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