太田裕美さんの楽曲『しあわせ未満』(1977年)の中の、
「ついている奴いない奴 男はいつも2通り」
「陽のあたる人 かげる人 人間なんて2通り」
という歌詞で虚しくなる人がいるはずだ。
つまり、「本当にそうだ」と実感している者だ。

何をやってもすいすいとうまくいく者がいれば、いくら努力しても、辛い結果にしかならない者は実際にいる。
こげどんぼさんの漫画『ぴたテン』で、紫亜という少女の、
「がんばってうまくいかなくても、それは無駄なことではなく、この雪のようにちゃんと積もっていますよ」
という言葉に救われた気になるのは、せめてそう思わないかぎり、やっていられないからというのが本当のことだろう。

人間に、星の巡りあわせ・・・つまり、生まれつきの運はないというのが希望的な信念かもしれないが、それは甚だ疑わしい。
抱朴子によれば、あの孔子すら、自分の生まれた星は哀しいものだと悟っていたらしい。
孔子は、老子のような聖人になりたかったが、実際に老子に会い、生まれつきの器の差を思い知ったという。
この話は伝説である可能性が高いが、孔子の実体をよく表しているように思える。
しかし、だから、『論語』は、凡人の哲学として有益であるとは言えるのだ。
『老子』は君子のためのもので、『論語』は凡人のためのものと言われることは、実際に多いが、『老子』の方は、実際はそうではない。
ただ、『老子』は、人間が本質的に君子であると気付いた者のための書であるとは言えるだろう。
いずれにしても、『論語』が無難で、『老子』は危険とは言えるかもしれない。
(ちなみに、抱朴子は本当に残念なやつだったと思う)

私は昔から、星の巡りあわせの良い、選ばれし者達(エリート)を「優良星人」、私のような劣る人種を「不良星人」と呼んでいるが、優良星人と不良星人の差は、「ハンデ」などという生易しいものではない。
ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズと実際に交流があった人は皆、「いくら努力したって、ああなれるものではない。彼らはつまり・・・全然違うのだ」
と口を揃えて言う。
ビル・ゲイツどころか、私など、たかがクラスの優等生にすら手も足も出なかった。

・・・と、随分否定的なことを書いたし、妙な「うまいこと」を言ってあなたを慰める気もない。
だが、実際の話として、上記に述べたことは、あくまで世間の範囲でのことなのだ。
話を簡単にするために比喩的に言うが、世間というものは、ある種の悪魔に支配されている。
その中では、どうしても「しあわせ未満」のような悲哀に満ちているのだ。
悪魔達に悪意はないが、ただ、私のような、生まれつきの「優良星人手形」を持っていない者は、悪魔の束縛を逃れることができない。
だが、無になった者は、不良星人でも、(これも比喩だが)神的な力が出てきて、悪魔の力を圧倒する。
よって、心を完全に静め、想念を起こさず、思考が現れない状態になれば、人間を超えた超人、神人になる。
ただ、難を言えば、それはとても難しいということだ。
そして、これが分からない者が多いのだが、想念はなくても、眠っていてはならない。
つまり、意識が冴えていなければならない。
イエスが、祈るために山に入る前に、弟子達に「眠るな」と言ったのに、帰ってきたら、弟子達は眠っていて、イエスが落胆したというのは、そのことを比喩的に言っているのである。
道元が、釈迦の教えを一言で「仏道とは自己を忘れることなり」と言ったが、自己を忘れても、眠っちゃいけないのだ。

ビートルスの『Let it be』も、アナと雪の女王の『Let it go』も、本質では同じ意味なのだが、多少、『Let it go』の方が、「自由にやれ」という動きを感じるかもしれない。
しかし、同じだ。
あるがままで「いろ」か、内なる声のままに「やれ」だが、いずれにしても、うまくいくためには、自我が消えていないと・・・つまり、無でなければならない。
自我は無いが、意識は冴えている状態・・・それが無だ。
私は、アナと雪の女王は一度も見ていない。
こんなものを映画で本当に描けるとは、とても思えず、誤解して不幸への道を進むだけだろう。
つまり、この映画は、少なくとも数百万人を不幸にする・・・ことはないと願っている。

無になるには、至高者の姿を正しく感じることができる感性を磨かなくてはならない。
これは、いつも書いていることだ。
例えば、星を見るとか、星に匹敵する何かを見るとかである。
そして、自分自身が至高者であることを覚えていることだ。
これらは同時にやるべきものだ。
両方、まとめてやれる方法としては、心身も時空も超えた存在として振舞う・・・有体に言えば、真似をすることである。
ただ、これらは、あくまで一例である。
自分の気質に合うものがあるはずだし、それを見つけるのは難しいことではない。
どれでも大抵合うのだからだ。
だから、大抵の場合、最初に巡りあったものをやれば良い。
ただ、粘り強くやるかやらないかだけである。









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