私は忘れっぽくて、幸福や幸運の簡単で確実な秘訣すら忘れてしまう。
しかし、大昔から、誰もがそうなのかもしれない。
簡単な原則を忘れた時に不運になり、不幸になる。
だから、思い出した今、全部書き付けておく。

まず、最も大切なことが、生活が規則正しいことだ。
決まった時刻に起き、決まった時刻に食事し、決まった時刻に働き、決まった時刻に寝る。
これが大原則で、これだけ守っていれば、食べていくのには困らない。
起きるのが5時までなら、極めて幸福である。
子供に最低限、必ず躾けるべきはこれである。ただし、何事も自分が出来ていない限り、教えることはできない。

次に、良心に従い、親切であること。
これで余りある幸運に恵まれる。

さらに、優れた人になるには、掟を持つこと。
つまり、自己に高貴な制約を課することだ。
何でも良い。高貴とさえ言えれば。
例えば、金の貸し借りはしないこと。
トイレの下駄やスリッパはきちんと揃えること。
傘はちゃんとたたんでから傘立てに立てるとかで良い。
ある「優れたジゴロ(男妾、ひも)」を知っていたが、彼は、若い子にもモテたが、ガキに手を出さないことを掟としていた。ガキとは、概ね、学生を意味していたようだった。学生の範疇でいくら優秀でも社会に出ない限り所詮無知なのである。無知な相手を口説くのは仁義に反するのだろう。
掟を守る者に不安や恐れはない。幸運も倍化する。

最後に超人になるには、観察することと静止することだ。
意識的に観察して、観察眼を鍛えること。
岩や大木のように静止すること。
身体が静止すれば呼吸も絶対的に静かになり、鼓動と体幹を観察でき、心が静かになる。
体幹はあまり聞かない言葉で、普通は胴体のことを言うが、本当は、身体のコア…中心のことである。
立って静止すれば、概ね、腹や腰の部分に意識が向き、そこを止めれば全てが止まる。
その意識が向く部分を仮に体幹と言ったが、コア、中心、バランサー、肚、太陽神経叢(たいようしんけいそう)と呼ばれることもある。
だが、理屈はどうでもよい。
理屈だけ言って実践しない者がやたら多い。
大切なことは、観察することと静止することだ。
そうすれば、自然に分かる。

全て、謙虚で敬意を忘れない人間にしかできない。
これらの秘訣を通じ、人は身の程をわきまえる。
そうすれば神と融合し、宇宙意識と一体化し、無敵となる。
最上の秘訣は、3プラス1という意味で4つなのだ。最後のは人の領域ではないからである。









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