「苦しい時の神頼み」とばかりに、「神様、お助け下さい!」とお願いしても、神様は人間の願いを聞いてくれない。
このあたりについて、宗教家の五井昌久さんが良いことを述べておられた。
神というのは法則であり、人間の勝手な願いを聞いたら大変なことになってしまう。
谷川流さんの小説『涼宮ハルヒの退屈』の中の『笹の葉ラプソディ』で、ハルヒ(高校1年生女子)は、七夕の短冊に書いた願いが彦星(アルタイル)に届くのが16年後だから、16年後に叶えたい願いを書くようにSOS団員に指示するが、キョン(高校1年生男子)が「届くのが16年なら、戻ってくる時間もかかるだろ?」と問うと、ハルヒは、「そこは神様なんだから、何とかしてくれるわよ」と言うが、何ともならない。
「神様、光の速さを3%速くして下さい」とか、「重力を5%軽くして下さい」と祈っても、そんな願いを叶える訳にはいかないだろう。
もし、奇跡現象というものが本当に存在するとしても、そこには何らかの法則があるのに違いない。ただ、現在の人間の知識や理解の範囲を超えているのだろう。
そして、因果の法則というのも法則であり、運命というものをみだりに変える訳にはいかないのに違いない。

一方、仏様というのは、法則を曲げるというのではないが、かなり慈悲深いところがある。
人を救うというのが何を意味するのかはっきりしない点はあるかもしれないが、この救いに関して、仏様は大変な柔軟性を見せるようなのだ。
早い話が、願えば必ず救ってくれるのである。
まあ、本当のところを言うと、神と仏で違いがある訳でもないのかもしれないが、話の都合上、こんな言い方をすることをお許し願いたい。
阿弥陀如来という仏が自分で決めたこととして、自分の名を呼ぶ者は、死後、必ず、自分が造った浄土に迎え入れるし、霊的に優れた人達の検証により、念仏を称える者は、念仏の行を保持できるよう、仏、菩薩、そして、天の神、地の神が守るのだそうである。
簡単な言い方をすれば、阿弥陀如来は何らかの方法で、個別に即時の対応をするのである。

ところで、もし、神様、仏様が願いを聞いてくれるものだとしても、「神仏に甘えてばかりで願いを叶えてくれるはずがない。それなりの善い行いをし、善い人間になる努力が必要」というのが一般の考え方に違いない。
しかし、仏様というのは、甘えてばかりで良いのである。
親鸞は、「甘えてばかりで善いことをしないと救ってもらえないというのは大きな間違いである」とはっきり言ったようだ。
それどころか、「善いことなどするな」、「悪人の方が救ってもらえるのだ」と、世間の人と正反対のことを言うなど、徹底している。
これは、人間は思うように善いことも悪いこともできないということを、親鸞自身が身に沁みて知っていたから言えることで、親鸞はそれほどに自分を正直に、素直に見ることができたから、偉大な宗教家だったのだと思う。
ここらは、『歎異抄』で、親鸞の弟子の唯円が分かり易く述べてくれているが、まさに驚くべきものであり、常識が破壊される。西洋人だろうが、マルクス主義者だろうが、素直に読めば心酔するものらしいが、当然のことと思う。

私は念仏を称えるのが楽しみになってしまったが、皮膚病が酷くなってきた時、「阿弥陀様、治して下さい」と願ったら、すぐに身近に、『炭水化物が人類を滅ぼす』という本を届けてくれた。
本は流し読みをしただけだが、「ああ、そうか。砂糖と炭水化物・・・つまり、米、パン、ビスケット、ワッフル、ドーナッツ、芋などの根菜類、果物を食べるのをやめれば良いのだな」と了解したら、これまでのあらゆる疑問が一瞬で解けたのである。
苦しいことでもなければ、なかなか念仏を称える気にもならないかもしれないが、人間には苦しいことが沢山ある。
そして、一休さんの言うように、自分の心そのものが仏であると悟った時が、一切の苦しみを克服する時だ。
念仏に現世利益があるのかというと、親鸞自身が『現世利益和讃』という歌を書いているのだが、この中で、親鸞は、念仏を称えれば、この世の利益は「きわもなし」・・・つまり、無限と述べている。
そのために、善いことをしたり、善い人間になる必要はない。
いや、そんなことを考えるような偽善者になってはならない。
私には、どんな善いこともできないし、愚かな凡夫を脱却する術などない。

昔、日本で、「神は祟るもの。その祟りから救って下さるのが仏」と言われたのは、仏教普及の方便と思われているが、案外に真理も含まれている。
というのは、世の中には偽の神もいるからで、偽とは言っても、本当の神に抗うほど強力だ。
その偽の神が、米や麦といった穀物であり、砂糖だった。
私は、仏によって、この偽の神の正体を見破ることができ、一切の苦しみを克服したのである。









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