もうすぐ全国で行われるのだろうが、会社の入社式の風景ほど憂鬱にさせられるものはない。
新入社員の代表が、元気いっぱい絶叫して、会社のために粉骨砕身、努力して励むのだと宣誓し、他の新入社員は「しおらしく」している。
それは何を意味するのかというと、新入社員は「会社の奴隷になる」ということなのであり、入社式とは、それを確認するための儀式である。
実際、どれほど学校の成績の良かった者であろうと、その会社のどれほど駄目なダサいおじさんより仕事が出来るってことは絶対にあり得ない。
いや、仕事そのものより、その会社独自の、(奇妙なこともいっぱいある)しきたりやルール(それは確実に存在する)を身に付けなければならないし、少なくとも関係する部署の部長や課長、係長等の顔と名前を覚えないといけない。
私は、数年のキャリアを積んで大手企業の新入社員になったことがあるので、そこらのことをより強く感じたものだった。
だが、私は会社のルールにいつまでも(いや、最後まで)馴染まず、他所の部署の部課長の名前はさっぱり覚えず、また、役員の名前を1人も覚えなかった。
上司に、「これ、○○課長に渡して来い」とか言われても、それがどこの部署の誰か全く知らないので困ったものだった。
私は、入社した時には、スキルそのものは他の大抵の社員よりも高かった(としばらくしてから分かった)。
入ったのは大手だが、零細企業でモマれていたので、鍛えられ方が違っていた。
無論、謙譲の美徳は備えてはいたが、先輩達の、「先に入ったものが優先される」という高慢な態度は、やはり気に食わないものだった。
だが、横柄な先輩こそ、先輩であるということや、社内事情に通じているということの他には取り得は何もなく、また、彼ら自身、本当は自分がそうだと分かっているので、不安な分、態度が傲慢になるのである。

最初から、あまりに強くそう思うのも問題かもしれないが、会社に入る目的とは、その会社が傾いても潰れても困らない、どこでもやっていけるスキルを身につけることである。
それを肝に銘じ、会社の中でうまくやることばかり考えないことだ。
残念ながら、実際に仕事をしないと、仕事ができるようには絶対にならないので、そのためには、ある程度は社内のつまらないルールを覚え、それに従わないといけない。
自分が先輩の立場になった時、新入社員に慇懃な態度を取られて満足し、彼らを恫喝して快感を感じるような惨めな先輩になってはならない。
その会社の社内でうまくやれるようになったら、スキルはさっぱり伸びない。
早い話が、「もう終わり」である。
会社の業績はむしろ下降一方の方が、少なくとも若い社員にとってはメリットだらけである。会社がそうであるほど、本当は若い社員に限らず、皆が貴重なことを学べるのだからである。
会社の業績が悪い時ほど、若い社員も含め、全員が個人的スキルの必要性を感じることができるはずなのである(経営者は会社のあり方そのものを反省するのだろうが、今回の話題ではない)。
業績低下に対し、偉い方から、その事態に正面から真摯に向き合う会社というのは、良い会社になり、長く存続する。
だが、そんな会社は少ない。
少なくて良い。
会社など潰れても、他でやっていける能力をつければ良いのである。

ところで、スキルも身に付き、年齢も高くなっても会社にいる目的といえば、修行というか、やはり、魂を磨く実践の場とするためである。
その目的のために特に会社が良いという訳ではないのだが、どんな会社でも、十分にその役に立つし、その会社に居るってことは、神様が特にその職場を用意してくれたのだから、有り難く使わせていただくのが良い。
ちっとはシンドイこともあるだろうが、神様は本来、非常に慈悲深いのであり、正しく魂を磨いていれば、さほどの苦労はさせられない。
だが、快適一方であるはずもない。

総じて考えれば、会社に不満などあろうはずがない。
若い人は、会社がロクでもないほどスキルが身に付き易いのだし、年を取っていても、自分にとって良い(安楽な)会社であれば、さっぱり魂が磨けない。
自我にとって都合の悪い、嫌な会社ほど素晴らしいのである。
会社の不満を口にする者は、若かろうが、年配だろうが、本当に下らない者ばかりである。
言い換えれば、会社や上司・同僚の文句ばかり言う者に大したやつは絶対にいない。
だからあなたは、会社の中で決して不満を言ってはならない。
不満を言っている時、あなたは人間として、坂を転げ落ちていることは絶対に確実なのである。
本当に良い会社とは、これらのことが暗黙に了解され、ある種の緊張感の中にあるのだろう。









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