中国の葛洪(かつこう。283年-343年)は、その代表的な著作である『抱朴子(ほうぼくし)』という著作名でもある通りの、抱朴子と呼ばれることもある。
彼は、仙人や仙道の研究者で、仙人の存在を深く信じ、『神仙伝』という、数十名の有名な仙人について述べた本を書いている。
仙人という、人間を超越した超人について書かれたものでありながら、不思議なリアリティと、そして、てロマンに溢れている。
当然ながら、それは、一般的には、中国の各地に残る迷信深い人々の伝承と考えられているのだろうが、それは世界中にある神話や伝承も同じであり、例えば、ギリシャ神話、ケルト神話、旧約聖書、そして、我が国の『古事記』や『日本書紀』、あるいは、それ以前にあったと言われる『ホツマツタヱ』や『カタカムナ』文献もそうなのである。
そして、これらは、普通の考え方によれば、人間の想像であるということになる。
だが、およそ近代の知恵者と呼ばれる者であれば、その全てが崇敬すると言っても良いと思う、アメリカの思想家、哲学者、詩人であるラルフ・ウォルドー・エマーソンが、「想像と空想は違うのだ」と述べていたのが印象深いのである。彼は、ギリシャ神話は想像であっても空想ではないと言う。それは、世間的な意味ではないが、極めて現実的なのである。
同じく、葛洪の書いた『神仙伝』の仙人の話も現実である。
そして、『神仙伝』に登場する仙人が述べる教えが、ことごとに素晴らしいのであるが、その内容自体は、実に平凡に感じることも多いのである。
しかし、それは、人間にとって、非常に重要なことを素朴に述べているのであり、当たり前のことのように思われながらも、我々はそれをほとんど守っていないのである。
例えば、インドの聖典『バガヴァッド・ギーター』で、至高神クリシュナがアルジュナ王子に説いた教えの多くもそうである。
クリシュナは、「食を過ぎてはいいけない。だが、少食過ぎてもいけない。惰眠を貪ってはいけないが、睡眠が少な過ぎるのも良くない」と述べている。
『神仙伝』の最後の封衡(ほうこう)という仙人は、「節食すべきだが(過ぎた)空腹はいけない。脂濃いものや刺激の強いものは食べるな。喜怒の情を抑えよ。性的なことを慎め」と教えているが、やはり、ありふれたことながら、実に重要なことである。
多くの仙人達の教えを読んでいると、私は、宮沢賢治の『雨ニモマケズ』を鮮明に思い出した。
仙人達の教えの真髄とそれが全く同じであると感じるからだ。
私は、『雨ニモマケズ』をほとんど覚えていなかったのだが、昨年(2012年11月23日)に、東京オペラシティ・コンサートホールで公演された、冨田勲さんの『イーハトーヴ交響曲』で、冨田さんが曲をつけた『雨ニモマケズ』の荘厳な合唱をCDで繰り返し聴く間に、すぐに自然に覚えてしまった。素晴らしい音楽の力を実感したものである。
『雨ニモマケズ』は、宮沢賢治の死後に発見された、彼の黒い表紙の手帳に書かれていたという、単なる個人的手記でありながら、日本人の誰もがおぼろげながらも知るほどのものであるが、実際、これほど偉大な言葉はないと思う。
それが、人間を超えながらも、誠実で慈愛に満ちた仙人達の教えと本質において同じものであると思うのである。
よければ、間違いなく日本の偉大な遺産になると私は思うこの素晴らしい交響曲の演奏を収めたCDをお聴きになることをお奨めする。
尚、『雨ニモマケズ』の詩は、下にご紹介した『銀河鉄道の夜』(角川春樹事務所)の中にも収められている。
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彼は、仙人や仙道の研究者で、仙人の存在を深く信じ、『神仙伝』という、数十名の有名な仙人について述べた本を書いている。
仙人という、人間を超越した超人について書かれたものでありながら、不思議なリアリティと、そして、てロマンに溢れている。
当然ながら、それは、一般的には、中国の各地に残る迷信深い人々の伝承と考えられているのだろうが、それは世界中にある神話や伝承も同じであり、例えば、ギリシャ神話、ケルト神話、旧約聖書、そして、我が国の『古事記』や『日本書紀』、あるいは、それ以前にあったと言われる『ホツマツタヱ』や『カタカムナ』文献もそうなのである。
そして、これらは、普通の考え方によれば、人間の想像であるということになる。
だが、およそ近代の知恵者と呼ばれる者であれば、その全てが崇敬すると言っても良いと思う、アメリカの思想家、哲学者、詩人であるラルフ・ウォルドー・エマーソンが、「想像と空想は違うのだ」と述べていたのが印象深いのである。彼は、ギリシャ神話は想像であっても空想ではないと言う。それは、世間的な意味ではないが、極めて現実的なのである。
同じく、葛洪の書いた『神仙伝』の仙人の話も現実である。
そして、『神仙伝』に登場する仙人が述べる教えが、ことごとに素晴らしいのであるが、その内容自体は、実に平凡に感じることも多いのである。
しかし、それは、人間にとって、非常に重要なことを素朴に述べているのであり、当たり前のことのように思われながらも、我々はそれをほとんど守っていないのである。
例えば、インドの聖典『バガヴァッド・ギーター』で、至高神クリシュナがアルジュナ王子に説いた教えの多くもそうである。
クリシュナは、「食を過ぎてはいいけない。だが、少食過ぎてもいけない。惰眠を貪ってはいけないが、睡眠が少な過ぎるのも良くない」と述べている。
『神仙伝』の最後の封衡(ほうこう)という仙人は、「節食すべきだが(過ぎた)空腹はいけない。脂濃いものや刺激の強いものは食べるな。喜怒の情を抑えよ。性的なことを慎め」と教えているが、やはり、ありふれたことながら、実に重要なことである。
多くの仙人達の教えを読んでいると、私は、宮沢賢治の『雨ニモマケズ』を鮮明に思い出した。
仙人達の教えの真髄とそれが全く同じであると感じるからだ。
私は、『雨ニモマケズ』をほとんど覚えていなかったのだが、昨年(2012年11月23日)に、東京オペラシティ・コンサートホールで公演された、冨田勲さんの『イーハトーヴ交響曲』で、冨田さんが曲をつけた『雨ニモマケズ』の荘厳な合唱をCDで繰り返し聴く間に、すぐに自然に覚えてしまった。素晴らしい音楽の力を実感したものである。
『雨ニモマケズ』は、宮沢賢治の死後に発見された、彼の黒い表紙の手帳に書かれていたという、単なる個人的手記でありながら、日本人の誰もがおぼろげながらも知るほどのものであるが、実際、これほど偉大な言葉はないと思う。
それが、人間を超えながらも、誠実で慈愛に満ちた仙人達の教えと本質において同じものであると思うのである。
よければ、間違いなく日本の偉大な遺産になると私は思うこの素晴らしい交響曲の演奏を収めたCDをお聴きになることをお奨めする。
尚、『雨ニモマケズ』の詩は、下にご紹介した『銀河鉄道の夜』(角川春樹事務所)の中にも収められている。
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