特殊な才能や訓練された能力によって、普通の人には全く不可知な霊的世界のものごとや理(ことわり)について知ることができた、エマニュエル・スウェーデンボルグやルドルフ・シュタイナーのような偉大な人達もいるが、シュタイナーによれば、訓練すれば、それは誰でも可能なことであるらしい。

ところで、特別な人間ではなく、むしろ、世間的には小人物でしかないが、理由は分からないが、仙人や導師、あるいは、天狗といった力ある存在に気に入られて、秘密の術を教わったような人もいるのだと思う。
また、やはり、天才だとか、高い地位にある訳では全くないが、天使とか、他の惑星から来た人からの接触を受け、特別な教えを受けることのできた人達もいるはずだ。
それは、たまたまの幸運であったのかもしれないが、やはり、それらの高い存在達は、我々の世間の基準とは異なる条件で人を選んでいるのであろうと思う。
その中でも、天使や宇宙人とは少し異なり、普通の人間として過ごした記憶が色濃い仙人や導師が、どんな人を選ぶのかは、直感で分かるような気がするのである。
選ばれるのは、とても愚直(いわゆる馬鹿正直)な人間であるに違いない。
そして、個人としての自分には何の力もないと思っている者であるのだと思う。
そんな者は、成功しても、喜びはするがあまり誇らないし、失敗しても、それが当然だと思うので、ことさらには悔やまないのだ。
彼らは、長年やってきた仕事については、自分だって少しはできると思っているが、全然大したことはないと思っている。世の中には、自分より上なんていくらでもいると分かっているのだ。
どんなことも、自分はすごくできると思っている者は、間違いなく低レベルである。
私のようなコンピューターシステム開発者の場合、良い開発者は、個々の依頼物件に対しては、良い結果を出す自信があることもあるが、さほど難しい仕事と思われていなくても、それが自分の手に余る(自分の能力以上だ)と感じることがあるものだ。
私は、他の開発者に仕事を回す際、その開発者が思い上がっていて、仕事を甘く考えている様子なのをよく見てきた。私はちっとも偉くないので、私の思いに反し、そんな者に仕事が回されることもあるが、その場合、確実に誰にとっても不幸な結果に終っているのである。
もっと大きな範囲の高いレベルではあるのだが、本質的には、きっと、仙人や導師も同じなのだ。
彼らの優れた直感が、力を授けるべき相手を、自然に自分に気に入らせるのだ。

ところで、最近の私は、休みの日は、1日中、本当に頻繁に腕振り運動をしているのである。
普段も、決まった3つの時間(朝4時半と7時、夜は仕事の都合で10時から11時位の間)は、一度に200~500回は、1年365日、1日も欠かさないが、今は、家に居る時は、少なくとも1日に数千回はやっていると思う。
何事も、向上のコツは熱心にやること以外にはないが、熱心にやるなら何かの理由があるものだ。
その理由が個人的なものである場合、例えば、金を儲けるとか、自分が良い思いをするためであれば、さほどの熱意を持てるものではない。
そして、自分では、「世のため人のため」と思っていても、それが案外にエゴイズムである場合は少なくない。その場合、揺るぎないほどの強い力で自分を動かすことはない。
私の場合、内なる神に通じる方法としては、他に何かできる訳ではないので、ただ、馬鹿の1つ覚えをやっているに過ぎない。
ところが、あの親鸞ですら、そんなことを言っているのである。
「先生の法然上人の教えが嘘で、念仏を唱えても地獄行きになるとしても、私のような凡人では、他に何かできる訳ではないので、とにかく信じてやっているのだ」
と弟子の唯円に言ったらしい。
親鸞が凡人だなどと、誰も信じないが、彼は自分では、確実にそう思っていたのであると思う。
親鸞は、私より百倍は愚直であったのだと思う。
江戸時代の観相の大家で、食の慎みによる幸運の秘訣を説い水野南北は、牢屋敷に入れられるような人間ではあったが、極めて愚直であった。だから、文字は読めなくても、多くの仙人達が直接に接触し、口頭で教えを授けた。
身の程を知る愚直な人間であれば、仙人も可愛いと思い、気安く術を授けることもあるだろう。世間で天才と言われる人間には、そのような者もいるのだろうと思う。ただ、やはり彼らは、ニュートンのように、「自分の才能は、授けられただけの預かりもの」と言うのである。
徳川家康が、天下取りの秘訣を「身の程を知ること」と言ったのは、別に特別なことではないと思う。天下など、人の力で得られるものではない。つまり、人が天下を選ぶのではない。身の程を知る愚直な人間を天下の方で選ぶのである。









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