アインシュタインの脳の大きさは標準的であったらしい。そして、彼の脳は今日に至るも研究が続けられているらしいが、脳そのものに天才の秘密は見出せないらしい。
ところが、時々、「彼の脳はこんなところが普通の人と違っており、これこそが彼を天才にした」などという報道があるが、それらはただのこじつけだろう。研究成果を発表した研究者の方も、マスコミの断定的なものの言い方に呆気にとられているといったところなのだ。
ちょっと似たようなことに、こんなことがある。
プロレスで史上最強と言われたルー・テーズというレスラーがいるが、彼について、「彼の筋肉は非常に柔らかいが、ひとたび力を入れると鋼鉄のごとく堅くなり・・・」などと言う者がおり、あたかもそこにテーズの強さの秘密があるような言い方であるので、それを聞く者も「なるほど!」と納得する。しかし、力を入れたら筋肉が堅くなるのは当たり前だ。
福島原発事故報告書の中に、戒める意味があるのだろうが、「人間は見たくないものは見えない」と警告されているそうだが、裏を返せば「人間は見たいものだけ見る」ということだ。
アインシュタインがなぜ天才か、ルー・テーズがなぜ最強かといったことにも、自分の狭い了見の中で納得したがるものなのである。

アインシュタインは、もちろん、英才教育を受けたような人ではない。
そして、アインシュタインが天才であった理由は、「決して英才教育を受けなかった」ことだ。
物理学とプロレスなんて全然違うようだが、アインシュタインとルー・テーズの能力の秘密は、共に意識の拡大なのであるが、分かりやすく言うなら「加速」だ。
アインシュタインは普通の人にとっての1秒の間に数千秒考えることが出来たし、テーズは相手の動きがゆっくり見えたのだ。
彼らは共に、子供の頃は吃音症(きつおんしょう)だった。つまり、言葉が流暢に出てこなかった。そもそも、言葉を話し始める時期が共に遅く、両親を心配させた。
吃音症は、声帯の問題よりは精神的なものである。
頭の中で言語を組み立てるのが苦手なのだが、別の方法で考えているのだ。その方法では思考スピードが速過ぎ、言葉がついてこれないのだ。
内面的思考と外部世界との折り合いを付けられれば、吃音は自然に治る。
それには、話すのとは異なることをしなければならない。
学校では、「この計算問題を10分でやること」などと指示されて、子供達は罰や叱責、他の子供達の前で恥辱を与えられることを恐れて必死でやるが、これが、頭を悪くする最大の原因なのである。
それは、言葉で話す程度の速さに思考を固定化してしまうという、愚かな調教である。
エジソンもアインシュタインも、そんな勉強は大の苦手で、対応しようとなどしなかった。
エジソンは「1たす1は1になるかもしれない(2つのものがくっつけば1つだ)」と考えたし、アインシュタインは、「磁石は北を指す」と言われても、それを試験の答として覚えるよりも、「なぜそうなる」の方に興味があった。
テーズは子供の頃から始めたレスリングで、ふと相手の動きが鮮明に見える瞬間があることに気付き、のめり込んでしまう。彼は加速を覚えたのだ。
後にテーズは「私の唯一の才能は反射神経だ」と述べたが、加速能力という言葉は一般的でないので、そのような言い方をしたのだろう。
そして、アインシュタインは学校の勉強はなおざりだったが、光と一緒に飛ぶといった思考実験をしていた。大変な加速訓練だった。

ラマナ・マハルシは16歳で悟りを開いた後、3年にも渡って沈黙の行をした。
彼は、あまり熱心でなかったとはいえ、それまで西洋式の教育を受け、その影響で頭が悪くなっていたので、そんなことをする必要があったのだろう。
医者でシャーマンであるドン・ミゲル・ルイスも述べているが、力を解放する鍵は、頭の中のおしゃべりをやめることだ。
仙道家の高藤聡一郎氏も同じことを著書に書かれていたのを覚えている。
そして、自主的に口を閉ざせば、頭の中も静かになるものだ。(強制的な沈黙はそうでない場合が多い)
イエスもこのことを象徴的に、「人は口から入るもので汚れない。口から出るもの(言葉)で汚れる」と言ったのだ。

とっておきの加速方法を教えよう。
速読というものがある。どの速読法でも、視線の動きが教えられるが、それがことごとに異なる。
ある流派では、視線を上下左右に素早く動かせと述べるし、別の流派では、本が縦に細く見えるような視線を・・・とか奇妙なことを指示する。
全部嘘である。
単に、読まなければいいのである。
普通に見ればいいのだ。ただし、音読するように頭の中で読むなということなのだ。
それだけだ。
本のページを見ると、我々はつい、頭の中で音読を始める。
それがいけない。
そうではなく、絵でも眺めるように、風景を見るように、美少女の美しさに魅せられるように、ただ見ればいいのだ。
読んではならない。
そのためには、さっさとページをめくることに専念することだ。
本を傷めるほど乱暴にページをめくるような者は論外である。能力以前の問題だ。
丁寧に素早くページをめくる訓練のつもりでやればいい。
ちょっと難しい本が良いかもしれない(易しい本は読めてしまう)。
気が付けば、あなたは数千倍の加速者である。
加速という言葉を多様したが、良ければ、川原礫さんの小説『アクセル・ワールド』の1巻だけでいいから読むことをお奨めする。加速について、うまく説明している。「萌えは嫌いです」などと言っていると、一生、加速者になれない。
そして、H.G.ウェルズの『新加速剤』を読めば、さらに良いだろう。









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