ある日本人男性が、やや政治的に不安定な国で電車に乗っていた。彼はトイレに行くが、使用中だったので、別の車両のトイレに行った。その時、元いた車両が戦闘機に爆撃されて破壊された。そこのトイレが使用中でなければ、彼は死んでいたところだった。この出来事により、彼は、人生の全ては偶然なのだと悟った。
だが、彼がトイレに行きたくなったのも、自分のいた車両のトイレが使用中で、彼が他の車両に行かざるをえなくなったことも、そして、その後で、元居た車両が爆撃されたことも、全て、最初から決められていた神のシナリオである。
人の立場から見れば偶然であっても、深い見地から言えば全て必然である。

私は中学生の時、以前見た、あるテレビドラマのある回をどうしても、もう一度見るだけでなく、ビデオ録画したいと思った(ビデオの時代だった)。
それで何をしたかというと、ただ、ビデオ装置の録画リモコンを握り、その番組が放送されるのを待った。その番組が再放送されるという情報を調べもしなかったし、何のあてもなかった。
しかし、その番組はすぐに放送され、私は楽々と録画できた。そういうことは何度もあり、失敗した記憶はない。
1つの考え方として、私が予知能力を発揮し、その番組が放送されることが分かった時に、それを見て録画したいという衝動が起こったと言えるかもしれない。
だが、実際はこうだ。その番組が再放送されることや、私がそれを見たいと思うことも、そして、録画しようと考えることも、全て、あらかじめ決められた運命だったのだ。
逆に、こういうこともあった。
私は、あるテレビコマーシャルを気に入っていて、それを録画しようと思って、やはり、録画リモコンを持って待っていた。
よく放送されていたCMだし、こちらに関しては、普通に考えて、そのうち録画できるはずだった。
しかし、そのCMは、それ以降、一度も見ることはなかった。
私が録画リモコンを持って狙ったその時に、放送終了したかのように、世界から消えてしまったのだ。
そして、これもまた、神の決めたシナリオだったのだろう。

今はもうほとんどいないと思うが、少し前には、戦争中、捕虜の敵兵の首を切った経験を話す老人がいた。日本軍はそんなことをよくやっていたのだ。
彼は、「あれは戦争だから仕方がなかったのだ」と言う。
このようなことに関して、丹波哲郎さんが、著書で、やはり「罪なし」と書かれていたのを憶えている。ただ、そこで命令拒否をすれば、非常に霊格が向上するとも書かれていた。
捕虜の首を切ったり、あるいは、目をつぶすなどの残虐行為をした者の中には、罪の意識に苦しむ者も多いだろう。
しかし、そのような状況になり、自分がそんなことをすることもまた、避けられぬ運命である。
そうすることが、神の決めたシナリオであったなら、どうあってもやったことだ。言うなれば、捕虜の首は既に神によって切られていた。それをやった人が悩む必要はない。
ただし、逆に自分が首を切られることになっても、首を切る者を恨むことはできない。相手もまた、神の意志の通りに動いているだけである。

ところで、人生経験の豊富な人ほど、人の一生の運のトータルは、みな同じであると感じるものだ。
幸運なところもあれば、不運な部分もある。大きな幸福を得た者は、同時に大きな不幸も背負うものだ。
ハワード・ヒューズは、長身イケメンで、俳優、映画制作、事業で大成功し、世界屈指の富豪になったが、重病になり、190cmを超えていたが体重は30kgほどしかなくなり、ベッドから動くことも出来ない身体になって、何も食べられず、そして、ほとんど誰にも看取られずに孤独に死んでいった。
アンデルセンは青年時代までは苦難が多く、また、一生女に縁がなかったが、偉大な詩人・作家としての名誉を得、決して豊かではなかったが、国王から年金をもらうことが出来たので働く必要もなく、生涯、世界旅行をして過ごした。
平凡な人間でも、やはり、たとえば、家族運や結婚運はないが、一生安楽に過ごすといった人もいるだろうし、その逆に、モテモテだったり、家族には恵まれても、生涯、金に苦労し、心労が耐えないという人もいるだろう。
ある程度の年齢にならないと分からないだろうが、やはり、人間の運勢はバランスが取れていて、、一見、凡人か傑出した人物の違いはあっても、そうは変わらないものかもしれない。
だから、不運なところは、出来ることならむしろ喜べばいいし、恵まれたところがあれば、それを他人に回すとか、かえって慎み深くすることで、大きな不幸を免れるかもしれない。
だが、やはり、人の一生の運命は決まっていて変えられない。自分には、人生を支配するどんな力もないことを知り、どんな出来事も受け入れるなら、たとえどんなに不幸に見えても、安らかでいられる。そして、神はそんな人間の自我を破壊してくれ、その者は、魂の束縛を解き放つことだろう。









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