真に偉大な人間で、賞賛しか受けない者など存在しない。本物の偉人には必ず非難や悪評があるし、偉大であればあるほどそれが大きくなる傾向があるに違いない。
エマニュエル・スウェーデンボルグは、かつてはスウェーデン国家にとって国賊であったが、死後3百年を経て、彼の遺体は英雄として帰国し、国葬が行われた。しかし、必ずしも彼のように名誉が回復するとは限らない。

アメリカのSF作家L.ロン.ハバートも奇妙な評判を持つ人物だ。
出版された著書は1億冊以上と言われ、SF分野に限らず、作家としてヘミングウェイやスタインベック以上と評価される調査もあれば、主に、カルト宗教の教祖としての非難や、悪業の噂も多い。一方、どうしても、トム・クルーズやジョン・トラボルタといった芸能分野の有名人の名が上がる場合が多いが、他にも、著名な芸術家、科学者、建築家、教育家などが、彼の教えを信奉している。教育分野の著書では、稲盛和夫氏も推薦の言葉を書いてもいるが、一方、アメリカの著名な批評家で数学者のマーティン・ガードナーのように、ハバートや彼の思想を危険で劣悪なものとして厳しく批判している者もいる。

結局のところ、何が正しく、何が間違っているか、他人の意見を聞いても仕方がないのである。
ふと、「A PRIME DAYBREAK」という、杉山清貴さんの歌(作詞は青木久美子さん)の中の詩、「何が正しいか 何を信じるか 真実(ほんとう)の自分にしか 判らない」を思い出した。

ところで、そのL.ロン.ハバートの自己開発のための研究成果は「ダイアネティックス」という著書に完全に収められ、誰でも入手でき、誰でも実践できる。この本は世界で2千万部程が出版されているらしい。
これによれば、人間の本性は、善良で極めて優秀である。ただ、その素晴らしさを歪め、抑え付けているものがあるだけで、それを除いてしまえば、人は無限の能力を発揮でき、おそらく、病気にもならず、事故にすら遭わなくなる。
この、人間が本来持つ力を阻害しているものを、ハバートはエングラムと呼び、科学的に説明している。エングラムというのは、マイケル・タルボットの「ホログラフィック・ユニヴァース」にも、同じような意味で使われていたと思うが、心理学、あるいは、精神分析学用語であるのかもしれない。
「ダイアネティックス」には、上に述べたガードナーを含め、批判も多いが、そのガードナーもだが、彼らは「ダイアネティックス」をちゃんと読んではいない。ごく一部の記述を恣意的(勝手きまま)に解釈しているだけとしか思われない。つまり、単に世間的でないものの考え方は認めないと言っているだけのように思えるのだ。

ダイアネティックスの理論自体は高度で複雑なので、ここでいい加減に解説することは避けるが、人間の中に、その能力や行動の力を奪う因子があることは予想できるのではないかと思う。
フロイトは、人間は本能が壊れてしまっているので、生きるために、本能を補完する目的で自我を作ったが、それは自然に立脚しない幻想であると言った。わが国の著名な精神分析学者の岸田秀さんは、フロイト論をほぼ肯定して「唯幻論」を唱え、人間は幻想の中で生きている、いや、幻想の中でしか生きられないものだとし、幻想を除けば何も残らないと言う。
だが、ハバートは、エングラムを除けば、理想的な人間が現れるとしている。

だが、「ダイアネティックス」の問題点は、自分1人ではエングラムを除くことが出来ず、エングラムを除く作業(オーディティングと言う)は、他の者にやってもらうしかないというところだ。オーディティングは「ダイアネティックス」を読めば、基本的に誰でも出来るが、おそらく、それは中々難しい。そこで、職業的にオーディティングを行う者(オーディター)もいるらしいが、オーディターが信用できるかどうかを判断することもまた難しい。実際は、怪しげなオーディターも多いと思う。
結論を言えば、私は、エングラムは自分で除けると確信するに至った。天才的知能を持つハバートが長い年月と膨大な資金を注ぐ込んだに違いない研究成果の根本をひっくり返すのは大いに気が引けるのであるが、そうとしか思えない。それは無料で出来、特に準備もいらない。分かりやすく説明できれば、取り組みやすいと思う。それは、食の慎みと睡眠、呼吸に関することであるが、またお話しようと思う。







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