原発と原爆のどちらがより危ないかご存知だろうか?
もちろん、両者の目的は異なり、本来はおかしな比較なのだが、この状況なので許して欲しい。
今の状況では、食物や土壌を汚染した時の放射性物質の危険性について興味があるはずだから、そこにポイントを置こう。
この場合、放射性物質の中でも危ないのが、ストロンチウムだ。ストロンチウムは化学的にカルシウムに似ていて、骨に集まりやすいからだ。
ストロンチウムは、白血病、骨髄癌の原因の大きなものだ。原爆のきのこ雲の一部が赤いのは、ストロンチウムの炎色反応と言われる。
そこで、このストロンチウムに関して、原発と原爆の比較をすると、恐ろしいことが分かる。
原水爆実験の大半は1970年代半ばまでに行われているが、そこまでの全世界での実験でバラまかれたストロンチウムの総量は、実に、一基の原子炉が持つものと大差ないのである。
もちろん、原発事故の際、原子炉からまず放出される放射性物質は、今回の原発事故でもお分かりのように、キセノン、クリプトンなどの希ガス(第18族元素)である。
そして、次に流出し易いのが、ガス化しやすいヨウ素やセシウムである。
しかし、水蒸気発生やガス爆発が起こると、ストロンチウムのような、ガス化しない放射性物質だって、空気中に飛び出てしまう。いわゆる、これが「死の灰」だ。
その中でも、さきほど述べた通り、ストロンチウムはカルシウムに、セシウムはカリウムに化学的に似ていて、体内に溜まりやすい。
また、ご存知のように、ヨウ素は甲状腺に集まる。
そして、セシウムやストロンチウムの効果は非常に長く続く(「半減期が長い」という言い方で表すもので、これらの半減期は約30年)。
これで、セシウムやストロンチウムに汚染された土壌の危険性が分かろうというものだ。
では、原発事故は起こりにくいものだろうか?
原発が安全に作られているなんて言われると、分野が違っても私のような技術者はほとんど笑ってしまう。それは、技術者にとっては常識とも言える理由があるからだ。
これについては、自分の言葉できちんとお話したい。
例えば、人間を乗せた宇宙ロケットが数多く飛んだことはご存知と思う。
現在の宇宙ロケットは、かなり安全である。 しかし、その裏で、どれほど多くの事故があり、どれほど多くの犠牲者がいるかご存知か?
しかも、宇宙ロケットの場合は、人間を乗せる前に、無人で、あるいは、動物で、多数の実験を行ったにも関わらずである。犠牲になった動物もいるのだ。
いや、飛行機だって、自動車だって、実際は、今や話題にならないだけで、悲劇を含む膨大な試行錯誤の歴史があるのだ。
ところが、原発は事実上、実験など出来ないのだ。
実に1956年からの作品でありながら、今だ人気の高い漫画作品である、横山光輝さんの「鉄人28号」は、なぜ28号かご存知だろうか?
28号として完成するまでに27回の失敗作があったということだ。本来、漫画であれば、天才科学者がいきなり作ったロボットが活躍するものだが、完成の裏に失敗があることを、その名に示すとは、実に素晴らしいことだと思う。
だが、少し現実的なことを言うと、あれほどの兵器(鉄人は、本来、軍事用に開発された)であれば、280でも多いとは言えず、2800でも不思議は無いと思えるのだ。横山光輝さんが既に亡くなられているので無理なことだが、「鉄人28号」のタイトルは「鉄人2800号」として欲しい気がするのだ。
エジソンは、白熱電球の完成までに、数万という失敗を繰り返したと言われている。
今はガンダムなどが人気があるが、もし、ああいったロボットが出来るなら、それこそ気の遠くなるような数の失敗が悲劇的に起こるのは確実なのだ。ガンダム新作は、「ガンダム28000」ではどうだろう?
ロケットや、その他のものであれば、実験段階で数多く失敗しておく必要がある。失敗して初めて欠陥が分かるのだ。それも、本番規模でやらないと肝心なことが分からないことも多い。ましてや、模擬試験で分かる欠陥など、ほんのわずかだ。
コンピュータソフトウェアには、ベータ版というものがあるのをご存知かもしれない。正式な製品としてリリースする前に、試験目的で無償配布するものだ。数多くのユーザーに実験してもらって、実地に近い形で欠陥を見つける実に合理的な方法である。しかし、それでも欠陥(ソフトウェアの場合、バグ)が数多く残るのが常識だ。
時折、銀行や証券システムで大トラブルが起こるのは、実験(試験稼動)が足りないからだが、あれほどの規模では、実際の稼動に近い実験は不可能だ。それでも稀な事故で済むなら、技術者としては、開発スタッフの優秀さに感動するほどなのだ。
専門家として言うが、どんなコンピュータシステムであれ、欠陥が全く無いなどと言える者は絶対おらず、もしいれば、馬鹿か大嘘つきだ。原発だって、それは全く同じのはずだ。
ロケットの設計者は、決して自分ではそのロケットに(恐くて)乗れない。これは安全でないという意味ではなく、彼らは自分が神でないことを知っているからだ。そして、十分な実験など、予算的、時間的、技術的に不可能だからだ。
原水爆は、地球に大きな損傷を残すほどの膨大な数の実験が繰り返された。そして、それにより、ようやく分かったことが多いのだ。いや、まだ分からないことが多く、本当はもっとやりたいのだろうが、今はもう、そんな暴挙が見過ごされる時代ではない(過去にだって、見過ごされた訳ではないが)。
しかし、原発に関しては、実験などほとんど出来ないのだ。なされたのは、机上か、実際とは甚だしく異なる小さな模擬試験だけだ。
小さな実験などで分かることなど知れているが、本物の規模の実験など、どうしてやれようか?つまり、事実上、実験などしていないし、安全確認などなされていないのである。
安全システムがちゃんと働くなんて保証が出来る者など誰もおらず、実際、働かなかった例が多い。
つまり、原発そのものが、危険な核実験なのだ。
コンピュータシステムのトラブルでは、金の損害は出ても、命は奪われない。しかし、原発では多くの生命が、いや、国1つ、地球1つを危機に陥れる。
もし原発を推進するなら、危険を承知でやるのだと正直に言うべきであろう。
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もちろん、両者の目的は異なり、本来はおかしな比較なのだが、この状況なので許して欲しい。
今の状況では、食物や土壌を汚染した時の放射性物質の危険性について興味があるはずだから、そこにポイントを置こう。
この場合、放射性物質の中でも危ないのが、ストロンチウムだ。ストロンチウムは化学的にカルシウムに似ていて、骨に集まりやすいからだ。
ストロンチウムは、白血病、骨髄癌の原因の大きなものだ。原爆のきのこ雲の一部が赤いのは、ストロンチウムの炎色反応と言われる。
そこで、このストロンチウムに関して、原発と原爆の比較をすると、恐ろしいことが分かる。
原水爆実験の大半は1970年代半ばまでに行われているが、そこまでの全世界での実験でバラまかれたストロンチウムの総量は、実に、一基の原子炉が持つものと大差ないのである。
もちろん、原発事故の際、原子炉からまず放出される放射性物質は、今回の原発事故でもお分かりのように、キセノン、クリプトンなどの希ガス(第18族元素)である。
そして、次に流出し易いのが、ガス化しやすいヨウ素やセシウムである。
しかし、水蒸気発生やガス爆発が起こると、ストロンチウムのような、ガス化しない放射性物質だって、空気中に飛び出てしまう。いわゆる、これが「死の灰」だ。
その中でも、さきほど述べた通り、ストロンチウムはカルシウムに、セシウムはカリウムに化学的に似ていて、体内に溜まりやすい。
また、ご存知のように、ヨウ素は甲状腺に集まる。
そして、セシウムやストロンチウムの効果は非常に長く続く(「半減期が長い」という言い方で表すもので、これらの半減期は約30年)。
これで、セシウムやストロンチウムに汚染された土壌の危険性が分かろうというものだ。
では、原発事故は起こりにくいものだろうか?
原発が安全に作られているなんて言われると、分野が違っても私のような技術者はほとんど笑ってしまう。それは、技術者にとっては常識とも言える理由があるからだ。
これについては、自分の言葉できちんとお話したい。
例えば、人間を乗せた宇宙ロケットが数多く飛んだことはご存知と思う。
現在の宇宙ロケットは、かなり安全である。 しかし、その裏で、どれほど多くの事故があり、どれほど多くの犠牲者がいるかご存知か?
しかも、宇宙ロケットの場合は、人間を乗せる前に、無人で、あるいは、動物で、多数の実験を行ったにも関わらずである。犠牲になった動物もいるのだ。
いや、飛行機だって、自動車だって、実際は、今や話題にならないだけで、悲劇を含む膨大な試行錯誤の歴史があるのだ。
ところが、原発は事実上、実験など出来ないのだ。
実に1956年からの作品でありながら、今だ人気の高い漫画作品である、横山光輝さんの「鉄人28号」は、なぜ28号かご存知だろうか?
28号として完成するまでに27回の失敗作があったということだ。本来、漫画であれば、天才科学者がいきなり作ったロボットが活躍するものだが、完成の裏に失敗があることを、その名に示すとは、実に素晴らしいことだと思う。
だが、少し現実的なことを言うと、あれほどの兵器(鉄人は、本来、軍事用に開発された)であれば、280でも多いとは言えず、2800でも不思議は無いと思えるのだ。横山光輝さんが既に亡くなられているので無理なことだが、「鉄人28号」のタイトルは「鉄人2800号」として欲しい気がするのだ。
エジソンは、白熱電球の完成までに、数万という失敗を繰り返したと言われている。
今はガンダムなどが人気があるが、もし、ああいったロボットが出来るなら、それこそ気の遠くなるような数の失敗が悲劇的に起こるのは確実なのだ。ガンダム新作は、「ガンダム28000」ではどうだろう?
ロケットや、その他のものであれば、実験段階で数多く失敗しておく必要がある。失敗して初めて欠陥が分かるのだ。それも、本番規模でやらないと肝心なことが分からないことも多い。ましてや、模擬試験で分かる欠陥など、ほんのわずかだ。
コンピュータソフトウェアには、ベータ版というものがあるのをご存知かもしれない。正式な製品としてリリースする前に、試験目的で無償配布するものだ。数多くのユーザーに実験してもらって、実地に近い形で欠陥を見つける実に合理的な方法である。しかし、それでも欠陥(ソフトウェアの場合、バグ)が数多く残るのが常識だ。
時折、銀行や証券システムで大トラブルが起こるのは、実験(試験稼動)が足りないからだが、あれほどの規模では、実際の稼動に近い実験は不可能だ。それでも稀な事故で済むなら、技術者としては、開発スタッフの優秀さに感動するほどなのだ。
専門家として言うが、どんなコンピュータシステムであれ、欠陥が全く無いなどと言える者は絶対おらず、もしいれば、馬鹿か大嘘つきだ。原発だって、それは全く同じのはずだ。
ロケットの設計者は、決して自分ではそのロケットに(恐くて)乗れない。これは安全でないという意味ではなく、彼らは自分が神でないことを知っているからだ。そして、十分な実験など、予算的、時間的、技術的に不可能だからだ。
原水爆は、地球に大きな損傷を残すほどの膨大な数の実験が繰り返された。そして、それにより、ようやく分かったことが多いのだ。いや、まだ分からないことが多く、本当はもっとやりたいのだろうが、今はもう、そんな暴挙が見過ごされる時代ではない(過去にだって、見過ごされた訳ではないが)。
しかし、原発に関しては、実験などほとんど出来ないのだ。なされたのは、机上か、実際とは甚だしく異なる小さな模擬試験だけだ。
小さな実験などで分かることなど知れているが、本物の規模の実験など、どうしてやれようか?つまり、事実上、実験などしていないし、安全確認などなされていないのである。
安全システムがちゃんと働くなんて保証が出来る者など誰もおらず、実際、働かなかった例が多い。
つまり、原発そのものが、危険な核実験なのだ。
コンピュータシステムのトラブルでは、金の損害は出ても、命は奪われない。しかし、原発では多くの生命が、いや、国1つ、地球1つを危機に陥れる。
もし原発を推進するなら、危険を承知でやるのだと正直に言うべきであろう。
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神の残されたエネルギーと人間の浅知恵の戦い。やはり、人間の知能レベルでは無理があるということの証明をしたという結果になりましたか。、資源の無い、頭脳立国のおごりへの戒めだったのだろうか。
起きてしまった事、その取り返しは至難のことかも知れないと思います。
しかし、見方を変えれば、云われるとおり、実験も失敗も回数を出来ない訳ですから、今回を貴重な経験として、宝として、数段、一気により安全なものに近付くステップに、是非していただきたいと思います。今となれば、一日も早く、この過酷な試練を乗り越えていただく様、願うばかりです。
ベストな道は、いつもご提案されている通り、神の与えられた自然、エネルギーの中で、慎ましやかに、生活する事がベストと思いますが、贅沢に膨れ上がった現代人、果たして、どちらの道を選択するのでしょうか。
このまま野放しの金欲を制御できなければ、100年、地球は持つでしょうか。無駄な心配をしています。